本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「フルトヴェングラーの3つの第9」ということで、フルトヴェングラーが指揮した、シューベルト、ブルックナー、ベートーヴェンの第9番の交響曲をお聴きいただきます。フルトヴェングラーは第14回のこのコンサートで取り上げ、その時はベートーヴェンの英雄、運命そして第7番の交響曲他をお聴きいただきました。その時と同様に、フルトヴェングラーの名演を楽しんでいただけることと思います。

ウィルヘルム・フルトヴェングラーは、1886年にベルリンに生まれました。1906年カイム管弦楽団を指揮してデヴュ−。1922年ニキシュの死後、後任としてライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団楽長、ベルリン・フィル常任指揮者に就任します。1927年には、ワインガルトナーの後任として、ウィーン・フィルの常任指揮者になります。その後第二次世界大戦をはさんで、1954年に亡くなるまでウィーン・フィル、ベルリン・フィルなどを指揮して多くの名演を残しました。

まずお聴きいただくのは、フルトヴェングラーがベルリン・フィルを指揮したシューベルトの交響曲第9番「ザ・グレイト」です。第9番の交響曲を今回のレコードコンサートでご紹介するのですが、シューベルトの場合、未完の交響曲が2曲あり、最近は未完成交響曲と呼ばれる、一般的に第8番と呼ばれる交響曲だけを数に入れるため、最近はこの曲は第8番と呼ばれることが多いようです。「ザ・グレイト」は、シューベルトの生前には発表されず、シューマンが自筆譜を発見し、メンデルスゾーンの指揮によって指揮されました。なお、「ザ・グレイト」と言われているのは、第6番も同じハ長調であるため、規模の大きい第9番をこう呼んだためのようです。演奏時間は約55分です。

次にお聴きいただくのも、フルトヴェングラーがベルリン・フィルを指揮した演奏です。ブルックナーの交響曲第9番です。未完の3楽章の交響曲で、ブルックナーは生前、『テ・デウム』を終楽章とするようにと言ったこともあったようですが、シューベルトの未完成交響曲のように未完でありながら、内容的に充実した、優れた、美しい交響曲であると思います。演奏時間は約59分です。

最後にベートーヴェンの第九をお聴きいただきますが、その前に一言。今回、フルトヴェングラーの指揮により、3つの交響曲をお聴きいただいているのですが、いずれも重厚なサウンドです。最後までお聴きいただけるのは本当にありがたいのですが、どうか聴いてしんどくなったということのないように。私のレコードコンサートはいつ中座していただいても結構ですので。では、最後にお聴きいただくのは、フルトヴェングラーがバイロイト祝祭管弦楽団、同合唱団、シュヴァルツコップ他のソリストと共演したベートーヴェンの交響曲第9番です。フルトヴェングラーはこの曲のレコードを8種類残しているようですが、このレコードこそが内容、音質共に最も優れたものです。演奏時間は約75分です。

本日もアンコール曲を用意しました。ロベール・ヴェイロン=ラクロワによるチェンバロの演奏をお聴きいただきます。クープラン作曲の修道女モニクです。演奏時間は約4分です。

本日は、さすがに最初から最後までおられた方はいなかったようです。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致します。次回予定のマタイ受難曲も長い曲です。少し聴きに来ていただくだけでも大歓迎ですので、よろしくお願いします。ありがとうございました。