本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「1970年代のクラウディオ・アバド」ということで、40代のアバドの若々しい溌溂とした演奏をお聴きいただきます。

クラウディオ・アバドは、1933年イタリアのミラノに生まれました。ヴァイオリニストの父親はミラノ音楽院の教授で幼い時から音楽教育を受け、10才の時には指揮者になると決心しました。ヴェルディ音楽院でピアノと作曲を学び、1958年、25才の頃にはクーセヴィッキー・コンク−ルで優勝します。さらにウィーンの音楽アカデミーでスワロフスキーに指揮を学び、1963年ミトロプーロス・コンクールでも優勝します。その後世界のオーケストラで指揮をするようになり、1972年からはミラノ・スカラ座の音楽監督、1979年からはロンドン交響楽団の主席指揮者、1989年からはカラヤンの没後空席になっていたベルリン・フィルの芸術監督に就き、多くの名演を残しています。2002年にベルリン・フィルを退いた後にも多くのオーケストラを指揮し、75才になった今でも多くの聴衆に音楽を聴く喜びを与えてくれています。

本日お聴きいただくブラームスとマーラーのレコードはアバドが40才から45才の頃の最盛期の頃の録音で、この頃アバドは、ミラノ・スカラ座とヴェルディの「マクベス」「シモン・ボッカネグラ」「仮面舞踏会」。またオペラでは他にロンドン交響楽団とロッシーニの「チェネレントラ」「セビリャの理髪師」などオペラの録音もたくさん行っており、カラヤンやベームのようなオペラ、管弦楽曲どちらもすぐれた演奏のできる指揮者を目指していたように思います。アバドはほとんどのレコードがグラモフォンから出ていて、デッカやEMIのようなプレミアム盤がないのが残念なのですが、本日は若き日のアバドの溌溂とした演奏をお聴きいただけると思います。

最初にお聴きいただくのは、ブラームスのピアノ協奏曲第2番です。以前、バックハウスの演奏をお聴きいただきましたが、4つの楽章のピアノ付きの交響曲といえるような構成がしっかりした曲です。随所に美しい旋律があり、特に独奏チェロの演奏がある第3楽章は白眉と言えます。それではピアノ、マウリツィオ・ポリーニ、クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィルの演奏でお聴き下さい。演奏時間は約48分です。

次にお聴きいただくのは、マーラーの交響曲第4番です。マーラーの交響曲は好みが分かれるのですが、私自身は、最も好きなのが第3番、少し興味があるのが第4番と大地の歌で他の曲は余り興味がありませんが、第2番や第9番が名曲と言われる方も多くおられますので、いつかは観賞できるようになりたいと思っています。ウィーン・フィルとの共演でお聴き下さい。演奏時間は約58分です。

ここで約10分、休憩をいただきます。

後半最初にお聴きいただくのは、ブラームスの交響曲第1番です。この曲はテレビのドラマで取り上げられたため、最近よく聴きますが、この曲のファンである私は非常にうれしく思います。一番好きなのは、ミュンシュ指揮パリ管弦楽団の演奏でその次はクレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏ですが、その次に来るのがこの演奏です。アバドの瑞々しい解釈にも惹かれますがウィーン・フィルの美しい弦の音にも惹かれます。それではクラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィルの演奏でお聴き下さい。演奏時間は約48分です。

プログラムの最後にお聴きいただくのは、ブラームスの交響曲第3番とハイドンの主題による変奏曲です。ブラームスの交響曲の中では一番地味な曲と言えますが、それは終楽章に盛り上がりに欠けるからだろうと思います。そのためハイドンの主題による変奏曲とカップリングして最後に付けることでそれを補おうとしているレコードもよく見受けられます。この曲のもっともすばらしい演奏と言われるセル指揮クリーヴランド管弦楽団のレコードもそのようになっています。40才以上の方はご存じだと思うのですが、第3楽章はCMにも使われたことがあり、平凡な言葉で表現するのを憚るような美しくかつ深みのある心を揺さぶられる旋律です。それではクラウディオ.アバド指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の演奏でお聴き下さい。演奏時間は約57分です。

本日もアンコール曲を用意させていただきました。パブロ・カザルスが演奏する、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番です。それからアバドが演奏する「シモン・ボッカネグラ」の最初のところを聴いていただきます。

本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。