本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団の栄光」ということで、アンセルメがスイス・ロマンド管弦楽団を指揮した色彩に富んだ名演をお聴きいただきます。
エルネスト.アンセルメは、1883年スイスのヴヴェイに生まれました。父親は数学者で、彼も最初は数学をソルボンヌ大、パリ大で数学を学び、ローザンヌの大学の数学の教授になります。一方、母親が音楽好きであったため、この頃からブロッホについて音楽の勉強も始めます。どちらの道に進むか迷ったアンセルメは、ニキシュ、ワインガルトナーの助言を求めます。そして、指揮者になることを決心し、1910年にはモントルーで指揮者としてデヴューします。1918年にはジュネーヴに創設されたスイス・ロマンド管弦楽団で指揮し、その後もこのオーケストラを牽引して行くことになります。第二次大戦後、アンセルメが指揮するスイス・ロマンド管弦楽団はデッカと専属契約し、1960年代に多くの名演を残します。本日は1960年初めにアンセルメ指揮スイス・ロマンドがデッカに録音した、演奏内容、音質共に優れた演奏をお聴きいただきます。

アンセルメはどちらかというとドイツ音楽よりもフランス音楽等のラテン系の音楽やロシアの音楽を得意とした指揮者と言えます。スイスの無名のオーケストラが生き残って行くためには、ベートーヴェンやモーツァルトを地道に演奏するより、他のオーケストラが取り上げないような管弦楽曲を多く演奏し、録音した方がよいと考えていたように思います。彼の残した録音の多くは他の指揮者、楽団が余り取り上げない曲が多いため、彼が考えた通りに今なお、いわゆる珍しい曲と言われる曲では彼の演奏がよく取り上げられます。なじみのない曲の優れた演奏を残した彼らの功績は、今後も讃えられることと思います。本日はその彼の残した演奏の中でも極め付きの名演ばかりを集めてみました。

最初にお聴きいただくのは、ファリャのバレエ音楽「三角帽子」と歌劇「はかなき人生」から間奏曲と舞曲です。「三角帽子」はスペイン音楽のエッセンスが盛り込まれたファリャの代表作です。「はかなき人生」の舞曲のメロディーはクライスラーの編曲されたものでご存じの方も多いと思います。「三角帽子」の中でメゾソプラノの独唱が入りますが、テレサ・ベルガンサが歌っています。演奏時間は約44分です。

ここで少し休憩をいただきます。

次にお聴きいただくのは、フランスの管弦楽曲4曲です。ラベルの2曲は演奏会でもよく取り上げられる曲ですが、オネゲルやデュカスの曲は余り知られていません。それでもデュカスの「魔法使いの弟子」はディズニーのファンタジアで取り上げられているのでご存じかもしれません。オネゲルのパシフィック231は蒸気機関車の名称で、SLファンのオネゲルはその勇ましく走る様子を描いています。演奏時間は約43分です。

ここで少し休憩をいただきます。

プログラムの最後にお聴きいただくのは、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」とボロディンの「イーゴリ公」からだったん人の娘の踊り/だったん人の踊りです。人気のある曲で私もいろいろな指揮者の演奏を聞いて来ましたがやはりこの演奏が一番優れていると思います。だったん人の踊りも比肩するもののない名演であると思います。演奏時間は約57分です。

本日もアンコール曲を用意させていただきました。カール・ミュンヒンガー指揮ウィーン・フィルの演奏でモーツァルトのフルートとハープのための協奏曲をお聞きいただきます。独奏フルートはウェルナー・トリップ、独奏ハープはフーベルト・ジェリネックです。演奏時間は約30分です。
本日はもう一曲アンコール曲があります。先程、オネゲルのパシフィック231をお聴きいただきましたが、もう一曲汽車をモチーフにした曲をお聴きいただきます。ヴィラ=ロボスのブラジル風バッハ第2番です。ポール・カポロンゴ指揮パリ管弦楽団の演奏で、演奏時間は約25分です。

本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。