本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「シベリウスのスペシャリストたち」ということで、オーマンディ、サージェント、バルビローリ、コリンズ指揮のシベリウスの演奏をお聴きいただきます。
シベリウスはフィンランドの作曲家で、1865年にハメーリンナに生まれました。最初、法律家を目指してヘルシンキ大学の法科で学びましたが、音楽家の道をあきらめきれず、ヘルシンキ音楽院で学ぶことになります。1891年にクレルヴォ交響曲を作曲後、交響詩「フィンランディア」、4つの伝説曲、劇音楽「カレリア」が作曲され、1899年には交響曲第1番が作曲されます。そして1902年には交響曲第2番を自身の指揮で初演します。有名なヴァイオリン協奏曲も翌1903年に作曲されており、この頃がシベリウスの音楽活動が一番充実していた時期と言えます。その後第7番までの交響曲や多くの管弦楽曲などを発表します。シベリウスの曲は彼の祖国フィンランドの自然を思い起こさせる美しい曲が多く、優れた解釈で演奏技術の秀でたオーケストラが演奏すれば、誰しもが耳を傾けたくなると思います。ウィーン・フィルがシベリウスの作品全般を積極的に取り上げてくれればというのが、私の願いです。数あるシベリウスの作品の中で私個人は、シベリウスの音楽のすばらしさが凝縮したような第7番が最も好きです。

最初にお聴きいただくのは、オーマンディ指揮の「フィンランディア」です。オーマンディは40年以上にわたって、フィラデルフィア管弦楽団を率いた指揮者で、シベリウス以外にはチャイコフスキーのバレエ音楽やレスピーギのローマ三部作などの演奏が優れていると言われています。「フィンランディア」は祖国独立のために大きな役割を果たした曲とも言われています。オーマンディは、フィラデルフィア管弦楽団に合唱を加えることでこの熱い情熱たぎる曲を、民族的色彩を持つ美しい曲にしているように思います。演奏時間は約8分です。

次にお聴きいただくのは、サージェント指揮ウィーン・フィルによる管弦楽曲の演奏です。サージェントはこのレコードの他、イギリス人の作曲家の作品の演奏で優れたものを残しています。このレコードの「カレリア」組曲は特にすばらしい演奏であると思います。重複しますが、こちらの「フィンランディア」も楽しんでいただけると思います。演奏時間は約50分です。

次にお聴きいただくのは、バルビローリ指揮ハレ管弦楽団で、交響曲第5番と第7番をお聴きいただきます。バルビローリはシベリウスの音楽の他、後期ロマン派、イギリス音楽に多くの名盤を残しています。SP時代から多くのレコードを残しており、クライスラーともベートーヴェンの協奏曲で共演しています。交響曲第5番は、最も内容の充実した交響曲という意見もあります。第7番の最後の交響曲は、20分ほどの短い曲で連続して演奏されます。短いながらも、美しい旋律が随所に見られる曲です。演奏時間は約48分です。

ここで少し休憩をいただきます。

後半は、コリンズの演奏で、交響曲第1番と第2番をお聴きいただきます。コリンズはデッカに入れたシベリウスの音楽が有名ですが、先日、神戸の中古レコード店にグルダと共演したモーツァルトの協奏曲のレコードがありました。サージェントやバルビローリ同様、イギリスを中心に活躍した指揮者で私のコレクションでは他にカルメン組曲があります。まず交響曲第1番をお聴きいただきます。土の香のする、憧れに満ちた、シベリウス34才の頃の作品です。コリンズ指揮ロンドン交響楽団の演奏でお聴き下さい。演奏時間は約36分です。

プログラムの最後にお聴きいただくのは、同じく、コリンズ指揮ロンドン交響楽団の演奏で、交響曲第2番です。私がシベリウスの音楽にのめり込んで行ったのは、最初に紹介したオーマンディ指揮の交響曲第2番とオーマンディがオイストラフと共演したヴァイオリン協奏曲を聴いてからです。いずれの曲も他の名演を求めて多くのレコードを購入しました。今のところは、交響曲第2番についてはこれからお聴きいただく、コリンズの演奏が優れているように思います。演奏時間は約40分です。

本日もアンコール曲を用意させていただきました。本日はシベリウスの音楽をお聴きいただきましたが、彼の音楽はすべて祖国を描いた音楽であり、本日のアンコール曲も同様に祖国を描いた、同じ国民学派のスメタナの曲を聴いていただくことにしました。ではわが祖国から「高い城」をお聴き下さい。演奏時間は、約14分です。

本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。