本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。
今回は、「ヴィットリオ・グイのセビリャの理髪師」をお聞きいただこうと思います。いつもであれば、指揮者のプロフィールを紹介するのですが、グイについてはイタリア人の指揮者で、グラインドボーン音楽祭で1952年から1964年まで音楽監督と芸術顧問をしていて、何度かロッシーニを振って好評だったということ以外に紹介することがありませんので、今回は歌手のことをを少し紹介したいと思います。ロジーナ役のヴィットリオ・デ・ロス・アンヘレスは、スペイン出身のソプラノ歌手でイタリア・フランス・スペインのオペラやスペイン歌曲の名盤がありますが、本日お聞きいただくレコードの他に、プッチーニの「ボエーム」、「蝶々夫人」、グノーの「ファウスト」、オッフェンバックの「ホフマン物語」は、一度は聴いておきたいレコードと言われています。またアルマヴィーヴァ伯爵役のルイジ・アルヴァは、ペルー出身のテノール歌手でアバド盤の「セビリャの理髪師」で同じ役をしている他、ヴァルヴィーゾ盤のロッシーニの「アルジェのイタリア女」でリンドーロを歌っています。
本日は、オペラのレコードをお聞きいただくので、レコードをかける前に少しあらすじをお話ししようと思っています。2幕ものですので、間に休憩を入れたいと思います。それでは第1幕。舞台はセビリャの小さな広場。アルマヴィーヴァ伯爵が楽師と共に登場。「目を覚まして下さい、私の愛しい人」と歌いますが、お目当てのロジーナは姿を現しません。そこに昔なじみのフィガロが現れたので、伯爵は取りなしを頼みます。伯爵は歌を歌ったり、泥酔した士官に変装してロジーナの気を引こうとしますが、そのことに気付いた医師バルトロに妨害されてしまいます。演奏時間は約94分です。 ここで少し休憩をいただきます。
第2幕の前に、この「セビリャの理髪師」について少しお話をしたいと思います。ボーマルシェや「フィガロの結婚」(こちらもボーマルシェの作品で「セビリャの理髪師」よりも高い評価を受けています)とフランス革命との関係を話すと長くなりますので省略させていただき、ここでは私見だけをお話ししたいと思います。私は、「セビリャの理髪師」はとても面白く思うのですが、「フィガロの結婚」は余り面白くありません。いくつか理由があるのですが、最大の理由はアルマヴィ−ヴァ伯爵の豹変にあると思うのです。前者ではロジーナに純粋な愛を持って接していた人が、「フィガロの結婚」では、ロジーナと結婚したというのにフィガロの恋人のスザンナに言い寄るという男に豹変します。私はこの伯爵の性格に我慢できないので「フィガロの結婚」を腰を据えて聴くことができないのですが、みなさんはいかがお思いでしょうか。 それでは第2幕。舞台はバルトロ家の音楽室。バルトロが突然自分の家に現れた酔っ払いの士官の身元がわからずいらいらしているところに、今度は音楽教師ドン・アロンソに変装した伯爵が登場します。ドン・アロンソは、バジリオ(ロジーナの音楽教師)の具合が悪くなったので、代わりに来たといいます。またフィガロもバルトロの散髪をしに来たと言って屋敷に入ります。なんとか伯爵はバルトロをごまかしてロジーナに近づきます。すぐにロジーナは伯爵に気付き、歌の稽古を口実にふたりは愛を囁き合います。フィガロも、バルトロの散髪の合間にバルコニーの鍵を手に入れます。そこに突然バジリオが現れ、大混乱となってしまいますが、伯爵がバジリオに財布を渡すことでバジリオは家に帰ります。それも束の間、ロジーナと伯爵が駆け落ちの相談をバルトロに聞かれてしまったため、伯爵とフィガロは逃げ出してしまいます。それでも伯爵とフィガロは準備万端整えていたので、夜にバルトロの屋敷に忍び込みます。バルトロに伯爵宛の手紙を魅せられたロジーナは、伯爵に裏切られたと思い、最初伯爵に冷たくしますが。やがて誤解が解けバルトロもふたりの仲を認めざるを得なくなり、ハッピーエンドで幕となります。演奏時間は約46分です。
本日もアンコール曲を用意しました。イタリアオペラをお聞きいただいたので、やはりイタリアの作曲家の作品をお聞きいただこうと思います。レスピーギ作曲の「リュートのための古代舞曲とアリア」第3組曲です。演奏は、アンタル・ドラティ指揮フィルハーモニア・フンガリカです。
本日はアンコールをあと2つ用意しました。次は、ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団で3曲お聞きいただきます。ボロディンのノクターン、これは弦楽四重奏曲第2番の第3楽章を編曲したものです。次にバーバーの弦楽のためのアダージョ、それから、ヴォーン・ウィリアムスのグリーンスリーヴス幻想曲です。
私は以前からグリーンスリーヴスのような曲をオーケストラの楽器で演奏したいと考えていました。それで昨年からクラリネットを習い始めました。詳細については私のホームページの中の「クラリネット日誌」に 書かれており、実演も聞けますので、よろしかったらお聞き下さい。アンコールの最後ですが、ショパンのノクターンをお聞きいただきましょう。第2番から第10番をサンソン・フランソワの演奏でお聞き下さい。
本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。