本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「ウィーンの爽やかな風 バリリ四重奏団」ということで、バリリ四重奏団によるモーツァルトの弦楽四重奏曲や他のアーティストとの共演でドヴォルザークやモーツァルトの作品をお聴きいただきます。 バリリ四重奏団は、1945年にウィーン・フィルのコンサート・マスター、ワルター・バリリにより結成されました。途中メンバーの交代があり、バリリの他、オットー・シュトラッサー、ルドルフ・シュトレンク、エマニュエル・ブラベッツという全員がウィーン・フィルの首席奏者という顔ぶれとなり、より水準の高い演奏をするようになりました。 1959年に右腕の神経麻痺のためバリリが引退せざるを得なくなるまでに、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ブラームスの室内楽曲の名演を残しています。またバリリは四重奏団を離れていくつか名演を残していますので、それは別の機会にお聴きいただこうと考えています。 バリリ四重奏団はウィーン最高の弦楽四重奏団と言われ、その表現した音楽は今も色褪せてはいないのですが、高価でなかなかレコードを手に入れることができないのが難点です。私としては、バリリの演奏で有名なモーツァルトの弦楽四重奏曲第1番やベートーヴェンの弦楽四重奏曲をお聴きいただきたかったのですが、残念ながら入手できず、やむなくドヴォルザークのピアノ五重奏曲を入れることになりました。でもこの曲も名演だと思いますので楽しんでいただけると思います。

最初にお聴きいただくのは、ドヴォルザークのピアノ五重奏曲です。余りなじみのない曲ですが、女流ピアニストのエディト・ファルナディがすばらしい演奏をしており、ロマン溢れる演奏となっています。後ほどアンコールでファルナディがタンホイザー序曲を引いたものをお聴きいただきますが、音が美しく、技巧も秀でたものを持っているピアニストであると思います。演奏時間は、約32分です。

次にお聴きいただくのは、モーツァルトのポストホルン・セレナーデです。セレナードは自由な形式の管弦楽曲でモーツァルトはいくつかの名曲を残しています。「グラン・パルティータ」と共に規模、内容共に充実したセレナードです。これも後ほどアンコールでお聴きいただこうと思うのですが、モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークをウィーン・コンツェルト・ハウス四重奏団がコントラバスのヨセフ・ヘルマンと共演して5人で演奏したものがあるのですが、こちらと同様、必要最小限の人員でオーケストラ曲を演奏したものです。どちらもすばらしい演奏ですので、よろしければ、アンコールまでおつき合い下さい。演奏時間は約44分です。

ここでしばらく休憩をいただきます。
後半最初の曲は、モーツァルトの弦楽五重奏曲第3番です。モーツァルトは6つの弦楽五重奏曲を残していますが、第3番と第4番の完成度が高く、よくレコードも一緒に収まっています。3番が明るい曲相であるのに、4番はかげりのある、演奏次第では非常に暗い曲です。この第3番のバリリの演奏は明るい演奏ですが、チェロの低音がしぶい音でからみつき、ひと味違った演奏になっているように思います。演奏時間は約41分です。

最後は、2曲続けてお聴きいただきます。弦楽四重奏曲第21番「プロシャ王第1番」と弦楽五重奏曲第5番です。いずれの演奏もウィーン情緒溢れる好演です。私は弦楽四重奏曲の中でこの第21番が最も好きで、この他、ウェラー四重奏団やアルバン・ベルク四重奏団の演奏もすばらしい演奏ですので、いつかお聴きいただければと思います。演奏時間は約45分です。

本日もアンコール曲を用意させていただきました。3つあります。最初は、エディト・ファルナディが演奏した、リストがワグナーの「タンホイザー」序曲です。演奏時間は約14分です。 次にお聴きいただくのは、モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークです。小編成のため各パートの音が聞き取りやすく、違った味わいを楽しんでいただけることと思います。演奏時間は約17分です。 アンコール曲の最後は最近の日本経済新聞の文化欄で取り上げられた演奏家の演奏をお聴きいただこうと思います。チェリストのクリスティーヌ・ワレフスカで、60〜70年代にフィリップスレーベルにいくつか名演を残しているのですが、結婚してアルゼンチンに拠点が移ったためにレコードも製作されなくなり日本でも忘れ去られてしまいました。実際のところは現在もアメリカでコンサートをしており、日経新聞に報告の記事を書いた歯科医の方が実行委員会を立ち上げて最近来日公演も行われたようです。私もワレフスカのチェロの音色とテクニックのすばらしさに魅せられたので、今日はハイドンのチェロ協奏曲第2番をお聴きいただくのですが、音のいいレコードが4枚入手できれば特集を組んでもいいなぁと思っています。それではどうぞ。

0本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。