本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。
今回は、「フランスのエスプリ ピエール・モントゥー」ということで、ピエール・モントゥーの指揮による演奏でベルリオーズの幻想交響曲、ベートーヴェンの田園交響曲、トビュッシー、ラヴェルの管弦楽曲をお聴きいただきます。 ピエール・モントゥーは、1875年パリに生まれました。パリ音楽院でヴァイオリンを学び、パリ・オペラ=コミック座やコロンヌ管弦楽団で楽員を、つまり最初はヴァイオリンを演奏していましたが、1906年にコロンヌ管弦楽団を指揮して指揮者としてデヴューします。1911年からはディアギレフのロシア・バレエ団で指揮を担当、ストラヴィンスキーの「春の祭典」「ペトルーシュカ」、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」などの初演を指揮することになります。その後2つの世界大戦を挟んで、アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団、ボストン交響楽団、パリ交響楽団、サンフランシスコ交響楽団、ロンドン交響楽団の常任指揮者になります。モントゥーが得意としたのは本日お聞きいただく、ドビュッシーやラヴェルなどのフランス音楽、7、8回録音したと言われているベルリオーズの幻想交響曲、ベートーヴェンの交響曲ですが、ブラームスを敬愛していて、交響曲第2番は非常な名演と言われています。本日は最晩年にロンドン交響楽団と録音したフランス音楽、モントゥーの幻想交響曲のベスト盤、ベートーヴェンの田園交響曲をお聴きいただきます。
最初にお聴きいただくのは、ドビュッシーの牧神の午後への前奏曲、夜想曲から雲と祭り、ラヴェルのスペイン狂詩曲、亡き女王のためのパヴァーヌです。私がクラシック音楽を聴き始めた今から30年余り前は、モントゥーと言えばこのアルバムばかりで、最初の牧神の午後への前奏曲は特に何度も聞いて、私にとってはモントゥーと言えば、この曲ということになっていたのでした。その後、モントゥーがサンフランシスコ交響楽団を指揮した幻想交響曲が非常な名演と聞き、探し求め、同じRCAレコードから出された、田園、チャイコフスキーの交響曲第5番、春の祭典なども名演と聞き購入したものでした。この演奏は生粋の巴里っ子モントゥーらしさが出た、言い換えればフランスのエスプリを感じさせるすばらしいレコードだと思います。それではモントゥー指揮ロンドン交響楽団の演奏でお聞き下さい。演奏時間は約45分です。
次にお聴きいただくのは、ベルリオーズの幻想交響曲です。ミュンシュやクリュイタンスもこの曲の名盤を残していますが、最初の2つの楽章の素晴らしさはこのレコードが他のレコードより抜きん出ている気がします。古い録音であることを除けば、今でも最も優れたこの曲の演奏だと思います。演奏時間は約49分です。
ここでしばらく休憩をいただきます。
後半の最初は、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」です。この曲にはベーム、ワルター、クリュイタンスなどの名演がありますが、このレコードの優れたところは、RCAのプレミアム盤のLiving Stereoの音質の良さです。しかも世界一のオーケストラと言われるウィーン・フィルの演奏ですので、お楽しみいただけると思います。演奏時間は約42分です。
プログラム最後の曲は、ラヴェルのバレエ「ダフニスとクロエ」全曲です。この曲には、クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団の名演があります。私はクラシックを聴き始めた当初はボレロが代表曲のラヴェルの音楽が好きになれなかったのですが、クリュイタンス盤の「ダフニスとクロエ」を聴いて、ラヴェルもいいなぁと思ったのでした。このレコードもこの曲の名演と言われていますので、お楽しみいただけると思います。演奏時間は約52分です。
本日もアンコール曲を用意させていただきました。オーケストラの曲をお聴きいただいたあとはピアノ協奏曲をお聴きいただくのがいいと考えました。モーツァルトのピアノ協奏曲第21番をマリア・ジョアオ・ピリスのピアノ、テオドール・グシュルバウアー指揮リスボン・グルベンキアン室内管弦楽団の演奏でお聴き下さい。演奏時間は約27分です。 本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。