本日は、お忙しい中、LPレコードコンサートにご参加いただき有難うございます。第1回はカザルスとフルニエの聴き比べ、第2回はクラリネットの名手ウラッハの名演をじっくりとお聴きいただきました。今回は、ピアノの巨匠ヴィルヘルム・バックハウスによる二大ピアノ協奏曲を中心にお聴きいただきます。
バックハウスは、その風貌及びレパートリーの中心であるベートーヴェンの演奏で王者の風格があることから、「鍵盤の獅子王」と呼ばれています。1884年3月ドイツのライプツィヒに生まれ、10才でライプツィヒ音学院入学、16才の時には音楽活動を本格的に始めます。バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、ブラームスがレパートリーの中心でしたが、晩年は、ベートーヴェンの演奏に傾倒していきました。
本日は、前半に彼が一生を捧げたベートーヴェンの演奏を、後半に晩年彼がベートーヴェンの協奏曲第4番と共によく演奏したと言われる、ブラームスの第2番の協奏曲をお聴きいただきます。
まず初めは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番「月光」です。ベートーヴェンは32曲のピアノ・ソナタを残していますが、中でも三大ソナタと呼ばれる「悲愴」「月光」「熱情」はよく知られていますが、本日はその中の一曲「月光」をお聴きいただきます。バックハウスは1959年から69年にかけてステレオ録音による、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の完成に心血を注ぎましたが、第29番の「ハンマークラヴィーア」の一曲は録音することができず、全集には1952年に録音されたモノラル録音が収録されています。他に、ケンプやグルダの全集が有名ですが、ベートーヴェンらしい風格のある演奏といえばバックハウスに尽きると思います。演奏時間は、約14分です。
次に、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」をお聴きいただきます。「皇帝」というのは後世の人が曲のイメージから名付けたもので、この曲にふさわしいものだと思われます。バックハウスはこの雄大で、華やかな曲でいつものように威厳に満ちた、力強い演奏をしています。伴奏はハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮ウィーン・フィル。演奏時間は、約38分です。
ここで、10分間の休憩をいただきます。
後半は、ブラームスのピアノ協奏曲第2番をお聴きいただきます。ピアノ付きの交響曲といった曲相で、楽章も4つの楽章で構成されています。ブラームスの美しい旋律が、しっかりとした構成の中から泉のように溢れ出る曲で、ここでは、バックハウスは、ベートーヴェンの曲の演奏と違ってタッチも軽やかでくつろいだ感じで演奏しているように思います。カール・ベーム指揮ウィーン・フィルとの共演。演奏時間は約48分です。
本日も、アンコール曲を用意しました。ミッシャ・エルマンのグリーグのヴァイオリン・ソナタ第1番です。グリーグは、3曲のヴァイオリン・ソナタを残していますが、どの曲も心に染みる、情感にあふれた曲ですので、一度お聴きいただけたらと思います。エルマンは、SPレコード時代から、多くの名演を残しているヴァイオリニストです。特に小品の演奏では定評があります。伴奏は、ヨーゼフ・セイガーです。演奏時間は約21分です。
本日は、アンコール曲をもう1曲用意しました。ラフマニノフのヴォカリーズです。私は、プログラムの下にもありますようにホームページをしていますが、今まで内容について2つのメールをお会いしたことのない方々からいただきました。1つは、カザルスのドヴォルザークのチェロ協奏曲に関しての私の小文についてご意見のメール、もう1つはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番のページでヴォカリーズのことについて書いているのですが、以前この曲をテーマ曲に使っていた「夜の停車駅」の出だしの語りが思い出せないと書いたところ、ご丁寧にその語りを教えていただいたのでした。では、その語りを江守徹氏には遠く及びませんがさせていただき、そのあとに、レオポルド・ストコフスキー指揮アメリカ交響楽団でラフマニノフのヴォカリーズをお聴きいただきます。演奏時間は約7分です。それでは...。
本日はお忙しい中、LPレコードコンサートにご参加いただき有難うございました。今後とも、継続してまいりたいと思いますので、よろしくご支援の程お願い致します。なお、演奏家のリクエスト等がありましたら、お気軽にお申し付け下さい。