本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「トゥリオ・セラフィンのトロヴァトーレ」ということで、セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団の演奏でヴェルディのオペラの中でも人気が高く、また内容的にも充実している歌劇「トロヴァトーレ」をお聴きいただきます。いつものように歌劇の際には曲目の紹介が長くなりますので演奏家の紹介は省略させていただきます。

歌劇「トロヴァトーレ」はヴェルディ39才の頃に初演されました。初演から人気が高く引き続いてイタリア各地、そして翌年にはフランス、イギリス、アメリカで初演され、今なお高い人気がある理由は劇的な展開と親しみやすい音楽にあるのだと思います。筋がわかり難いとも言われますが、ルーナ伯爵、マンリーコ、アズチェーナ、レオノーラの性格がうまく描かれており、特にアズチェーナについてはこのレコードではコッソットの名演もありますが、心に残る登場人物になっています。この曲では有名な第2幕のアンヴィル・コーラス以外にもいくつかの聴きどころがあり、それを紹介しましょう。第1幕のマンリーコが歌う「一人淋しく」、第2幕でアンヴィル・コーラスに続いてアズチェーナが歌う「炎は燃えて」そして一度聴いたら忘れない第3幕の最後でマンリーコが歌う「見よ、恐ろしい火を」があります。 このオペラは4幕もので、レコードでは第1幕が1面、第2幕が2面と3面、第3幕が4面、第4幕が5面と6面となっています。第1幕と第2幕をお聴きいただいた後、少し休憩をいただき後半へと移っていきますが、レコードをお聴きいただく前に場面について少し説明をさせていただきます。内容についてはチラシをご参照ください。

第1幕は「決闘」舞台はルーナ伯爵の住まい。このシーンではレオノーラに恋心を持つマンリーコが「一人淋しく」を歌いますが、それをきっかけにしてルーナ伯爵、レオノーラが現れ、やがてルーナ伯爵は自分の恋敵となったマンリーコに決闘を申し込みます。 第2幕は「ジプシーの女」アズチェーナが他のジプシーたちと焚火を囲んでいます。アンヴィル・コーラス「朝の光がさしてきた」アズチェーナの「炎は燃えて」に続き、マンリーコがどうやらルーナ伯爵の弟であることがアズチェーナの話からわかってきますが、アズチェーナはそれを否定します。マンリーコは、伯爵との決闘は組み伏せたが、不思議な力にさえぎられ、とどめを刺せなかったとアズチェーナに語ります。 第1幕が約26分、第2幕が約40分です。

ここで少し休憩をいただきます。

第3幕は「ジプシーの息子」ルーナ伯爵はカステロール要塞を攻略するために敵地に出向いている。ルーナ伯爵がレオノーラのことを想っていると部下が陣地のあたりをうろついていたアズチェーナを連れてくる。訊問するうちにアズチェーナがルーナ伯爵の弟ガルシア(後にマンリーコであることがわかる)を火にくべて殺した張本人で、マンリーコの母親であることがわかる。ルーナ伯爵はすぐに部下にアズチェーナを火刑にすることを命ずる。レオノーラと幸福に浸っていたマンリーコに、母親が火刑に処せられようとしているとの報せが入り、マンリーコは母親の救出に向かう。 第4幕は「処刑」ルーナ伯爵の住まいの外にある牢獄塔。マンリーコは逆にルーナ伯爵に捕われ、母親とともに処刑されようとしている。レオノーラが自らの身をルーナ伯爵に捧げると言ってマンリーコを解放してもらおうと思うが、果たせず仰いだ毒で命を絶ってしまう。マンリーコが処刑された時、ルーナ伯爵は処刑台をさして、「見えるか」と心地よげに叫ぶが、アズチェーナは、「あれはおまえの弟だった。かたきを討てたわ、かあさん」と言って失神する。 第3幕が約21分、第4幕が約39分です。

本日は、歌劇「トロヴァトーレ」をお聴きいただきましたが、2時間余りの演奏時間でしたので、時間がかなりあります。そこでまずヴァイオリン小品集の名盤と言われて長年親しまれていた、「クレモナの栄光」をお聴きいただきます。15台のヴァイオリンの名器で15の小品を演奏したもので、すばらしいヴァイオリンの音を堪能していただけると思います。ルジェーロ・リッチのヴァイオリン、レオン・ポマーズのピアノでお聴きください。

次にヴェルディと同年生まれの作曲家ワーグナーの曲をお聴きいただきましょう。「タンホイザー」から序曲とヴェヌスベルクの音楽、「ローエングリン」から第1幕への前奏曲、「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死をヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルの演奏でお聴きいただきます。

本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。