本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「シェロモ・ミンツ その美しい音色と高度な技巧」ということで、1980年代にドイツ・グラモフォンに録音された、シェロモ・ミンツの名演をお聴きいただきます。 シェロモ・ミンツは、1957年にモスクワに生まれました。2才の時にイスラエルに移住し、2才でピアノを、3才でヴァイオリンを習い始め、6才の時に多くのヴァイオリニストを育てたフェヘールに師事します。11才の時に渡米し、メータ指揮イスラエル・フィルとの共演でコンサートデヴューを果たします。その後、ジュリアード音楽院に入学しディレイに師事します。1973年16才の時にカーネギーホールにデヴューした後、1980年代にかけて、彼の演奏は高い評価をえることになりますが、1990年代に入るとドイツ・グラモフォンとの契約を打ち切り、その後は専属契約をせず、レコーディングの機会も極めて少なくなります。 本日は彼が1980年代にドイツ・グラモフォン残した、貴重な名演奏のいくつかをお聴きいただきます。

最初にお聴きいただくのは、パガニーニのカプリースから第12番から第24番です。この曲はリッチやアッカルドのアルバムも有名ですが、やはりパールマンの演奏が私自身も一時よく聴いていたことがあり、私にとっては慣れ親しんだ演奏と言えます。パールマンは私がクラシック音楽を聴きはじめた頃によく日本に来て、サミュエル・サンダースとクライスラーの小品を演奏していました。この後にお聴きいただく、フランクのヴァイオリン・ソナタもこのパールマンのレコードをよく聴いたものでした。ミンツの演奏は、高度の技巧と歌のある最高水準の演奏と言えると思います。演奏時間は約36分です。

次にフランク、ドビュッシー、ラヴェルのヴァイオリン・ソナタを続けてお聴きいただきます。いずれもすばらしい演奏でドビュッシーやラヴェルの演奏も旋律を歌わせ聞かせるすばらしい演奏になっていると思います。フランクの演奏もブロンフマンとの呼吸もぴったりで室内楽の醍醐味を味わわせてくれます。フランクのヴァイオリン・ソナタは私の大好きな曲で、先程のパールマンやティボーの演奏をよく聴いたものでした。ミンツの演奏もそれらに劣らず素晴らしい演奏ですが、音がクリアで多少デジタルらしい堅い音がします。なおこれは余談ですが、私は一度中野の名曲喫茶クラシックに行ったことがあり、このフランクのヴァイオリン・ソナタをリクエストしたことを覚えています。演奏時間は約58分です。

休憩に入る前に、少し昨年の10月3日に出版された私の本、「こんにちは、ディケンズ先生」船場弘章著 近代文藝社刊 の宣伝をさせていただこうと思います。もうすぐ出版されて1年になるこの本をなんとか多くの人に読んでいただき、ディケンズという偉大な小説家のファンを増やそうと、この1年間精一杯頑張ってきました。努力の甲斐があって、32の公立図書館と26の大学図書館のホームページに掲載していただいています。公立図書館は直接出向いて寄贈しました。また大学図書館は自分で書いたPRの文書をつけて自著を出版社に代行発送してもらいました。先月には、mr partner という女性向けのイギリス情報誌に書評が掲載され、近代文藝社のホームページにもトピックスとしてこのことが掲載されました。チラシとそのトピックスをお配りしますので、是非ご検討ください。なお、手に取ってみたいと思われる方は、杉並区立中央図書館や渋谷区立中央図書館、あと中央区、練馬区、足立区の区立図書館で私の本が借りられますので、ご利用ください。

後半最初の曲は、メンデルゾーンのヴァイオリン協奏曲とブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番です。ヴァイオリンの甘い音色、軽快な演奏をたっぷり楽しませてくれる2曲です。アバド指揮シカゴ交響楽団の演奏はどちらかというと裏方に徹した地味な演奏ですが、それに支えられてミンツが自由自在に自分の音楽を繰り広げている気がします。演奏時間は約55分です。

プログラム最後の曲はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲とロマンス第1番、第2番です。レコードではロマンス第1番、第2番の間にヴァイオリン協奏曲が入っていますので、その順番でお聴きください。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲には、オイストラフとハイフェッツの不朽の名盤がありますが、30才の若手ヴァイオリニストが確かな技巧と美しく響く音を駆使して名曲の独自の解釈をしたものと意識しながら聴くと、新たな発見があるかもしれません。 演奏時間は約64分です。

本日もアンコール曲を用意させていただきました。ヴァイオリンをたっぷりお聴きいただいたので、ピアノの独奏曲をお聴きいただきます。と言っても残念ながら、私事都合で1曲しかお聴きいただけません。夭折のピアニスト、ディヌ・リパッティが演奏する、ショパンのワルツ第4番です。

本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。