本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「フランスのオーケストラ パイヤール室内管弦楽団」ということで、フランス出身のジャン・フランソワ・パイヤールによって創設されたパイヤール室内管弦楽団の演奏で、モーツァルトの管弦楽曲と協奏曲をお聴きいただきます。

ジャン・フランソワ・パイヤールは、1928年にフランス北部のマルヌ県ヴィトリ=ル=フランソワに生まれました。ソルボンヌ大学で数学を専攻した(同じようにソルボンヌ大学で数学を専攻した指揮者にエルネスト・アンセルメがいます)後に、パリ音楽院で音楽学を、ザルツブルクのモーツァルテウム音楽大学でイーゴリ・マルケヴィッチに指揮を学びます。1953年にジャン=マリー・ルクレール器楽アンサンブルを創立。これが母体となって1959年にパイヤール室内管弦楽団が結成されます。バロック音楽や古典派の音楽をエラート・レーベルに残していますが、本日はこの曲の定番と言える、ランパルとラスキーヌによるフルートとハープのための協奏曲とランスロのソロでクラリネット協奏曲、それから1976年から1980年にかけてパイヤール室内管弦楽団が録音したモーツァルトの管弦楽曲をお聴きいただきます。 私がパイヤール室内管弦楽団に興味を持ったのは、フランス人のシャレた感覚で名曲を演奏すると、私がクラシック音楽を聴きはじめた1978年当時のFM放送やレコード芸術、ステレオ芸術の音楽誌で言われていたからですが、興味を持ちヴィヴァルディの四季、バッハのブランデンブルク協奏曲、管弦楽組曲のレコードをさっそく購入しました。その時に印象に残ったのは、モーリス・アンドレが活躍するブランデンブルク協奏曲の第2番だけでしたが、それから10年ほどして聴いた、先程ご紹介した2つの協奏曲、特にフルートとハープのための協奏曲は、当時の私はモーツァルトに全く興味がなかったのですが、この曲でモーツァルトを聴かなきゃ損だなという気持を引き起こしたのでした。その後もFM放送で今日お聴きいただくモーツァルトの管弦楽曲を聴く機会があり(たしかレンタルCDでも聴いた記憶があります)、安らぎに満ちた音楽だなという印象が残りました。最近になって、3つのオリジナルに近いレコードが入手できたので、今日はこれらをまとめてお聞きいただくことにしました。

最初は、セレナード第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」とモーツァルトが16才の頃に作曲された3つのディヴェルティメントをお聴きいただきます。どの曲も快い調べが続きますが、私は実はこのメロディーの一部を今年の1月のクラリネットの発表会で演奏しました。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第2楽章のメロディーなのですが、3部合奏のサードを担当しましたので、有名な主旋律は吹きませんでした。クラリネット演奏は私が50才になったのを機会にはじめたのですが、よい先生とよいレッスン仲間に恵まれ、始めて4年以上になります。余談が長くなりました。演奏時間は約48分です。

次にお聴きいただくのは、モーツァルトのディヴェルティメントの中で最も有名と言われる第17番をお聴きいただきます。特にこの曲の第3楽章のメヌエットはヴァイオリン独奏などで演奏され聴く機会も多いので、全曲を聴かれたことがない方も、「この曲か」と言われると思います。全体を通して弦楽合奏にホルンが加わりますが、第3楽章と第5楽章ではそれが特に印象に残ります。弦楽にホルンの音が溶け合って、極めて心地よい音楽が展開して行きます。演奏時間は約50分です。

ここで少し休憩をいただきます。

後半最初の曲は、セレナード第10番「グラン・パルティータ」です。コントラバスと12の管楽器(オーボエ、クラリネット、バセット・ホルン、ファゴットがそれぞれ2本、ホルンが4本)で奏されますが、ベルリン・フィルやウィーン・フィルのメンバーが演奏したものとひと味違った演奏と言えると思います。厳格さはありませんがおおらかさがあるくつろいで聴ける演奏と言えます。演奏時間は約50分です。

プログラム最後の曲は、フルートとハープのための協奏曲とクラリネット協奏曲です。どちらもモーツァルトの協奏曲の中でも最も優れたものの中に入りますが、フルートとハープのための協奏曲は私をモーツァルトの世界に誘ってくれた曲として私にとって大切な曲です。それまでブラームスやベートヴェンの苦悩を突き抜けて歓喜に至るような曲を好んで聴いていた私が美しい曲もただ美しいだけではなく感動も齎してくれるのだとこの曲を聴いて思ったのでした。演奏時間は約58分です。

本日もアンコール曲を用意させていただきました。フランス人の演奏家で忘れてならない人にサンソン・フランソワがいます。ノクターン集の音のいいレコードが入手できれば、すぐにでもこのLPレコードコンサートで取り上げたいのですが、なかなか手に入りません。フランソワはショパン弾きとして有名でショパンの名演をいくつか残していますが、今日はその中から幻想即興曲とバラード全曲をお聴きいただきます。演奏時間は約35分です。

本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。