本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。
今回は、「フランスのピアニスト サンソン・フランソワ」ということで、フランソワの夜想曲、前奏曲そしてピアノ協奏曲2曲の演奏をお聴きいただきます。
サンソン・フランソワは、1924年にフランス人の両親の間にドイツのフランクフルトで生まれました。5才からピアノを習い始め、早くから天才と言われました。6才になると各地を演奏旅行するまでになりました。1934年にエコールノルマル音楽院に入学し、アルフレッド・コルトーの教えを受けます。1938年には、パリ音楽院に入学し、マルグリット・ロンに師事します。1943年にロン=ティボー国際コンクールで優勝し、1947年にはアメリカデヴューし国際的な演奏活動が始まります。
フランソワは「激情的なピアニスト」と呼ばれ、演奏の出来によしあしがあったようですが、その演奏は一度聴いたらそのとりことなり、得がたい音楽的体験を得ようと彼の音楽会に足を運ぶようになった。また彼のことを19世紀のピアニストの生き残りと評する人もいて、現代社会においては異彩を放つ人だったとも言われています。
当時の彼のすばらしい演奏を聴くことができないのは残念ですが、本日は、今なお、ショパンのノクターンとピアノ協奏曲2曲の優れた演奏の最有力である彼の同曲の演奏をお聴きいただきます。
最初にお聴きいただくのは、ショパンのノクターン(夜想曲)第1番から第19番です。作品番号のない、遺作の第20番と第21番はこのアルバムには入っていません。皆様に良い音を提供しようとColumbia盤(フランス盤)を用意しましたが、残念ながら第1番のところで針とびがします。そこでColumbia盤は第2番以降をお聴きいただくこととし、別に用意したEMI盤で(フランス盤)で第1番と第2番をお聴きいただきます。有名な第2番の音の聴き比べもしていただけると思いますので、どうかご了承ください。それではサンソン・フランソワの演奏で夜想曲第1番から第19番をお聴きください。演奏時間は約92分です(これは第2番を一回お聴きいただくと考えての時間ですのでプラス3、4分かかります)が、1枚目のレコードと2枚目のレコードの間に少し休憩を入れたいと思います。
ここで少し休憩をいただきます。
後半最初の曲は、ショパン24の前奏曲です。1839年ショパン29才の頃の作品でこの他に作品45と遺作の前奏曲があります。コマーシャルで有名な第7番、この曲集の中で規模も大きく有名な「雨だれの前奏曲」、一度聴いたら忘れられない第17番など魅力的な曲がありますが、先程のノクターンのように少しずつ作曲されたものではないので、ひとつの完成された作品として24曲全曲を聴いていただくのがよいのかもしれません。演奏時間は約36分です。
後半の2曲目は、ショパンのピアノ協奏曲第1番です。この曲は1830年の10月11日に初演されました。1830年3月17日に初演された第2番と逆となっていますが、その理由としては、ショパンの自信作であり演奏会でももっぱらこの曲を演奏したからとなっていますが、この後にお聴きいただく第2番もショパンらしい哀愁に満ちたとても良い曲だと私は思います。演奏時間は約40分です。
後半の3曲目は、ショパンのピアノ協奏曲第2番です。先程も申しましたように哀愁に満ちたショパンらしい曲で特に第2楽章はすばらしいです。ショパンはピアノ曲のスペシャリストで管弦楽の扱いはいまひとつという評価がありますが、ピアノのメロディを引き立たせ、温かく包み込むように構成されているので、曲をより完成されたものにするために十分に役立っていると思います。
演奏時間は約31分です。
本日もアンコール曲を用意させていただきました。2曲用意しました。ひとつはブラームスのチェロ・ソナタ第1番、こちらはヘンリ・オネゲルのチェロ、ノエル・リーのピアノです。もうひとつはフランクのヴァイオリン・ソナタ、こちらはクリスチャン・フェラスのヴァイオリン、ピエール・バルビゼのピアノでお聴きいただきます。
ところで、私事で恐縮ですが、今年は振り返ると充実した年でした。私が自分のホームページに掲載して、ディケンズ・フェロウシップの新着情報に掲載していただいた、プチ朗読用台本「ミコーバの爆発」をこのヴィオロンで朗読会を開催されている、荒井良雄先生が朗読してくださいました(2月9日)。またディケンズ・フェロウシップの秋季総会では、「ディケンズとともに」という演題で発表させていただきました(10月19日 西南学院大学の於いて)。また7月から8月に掛けて、北海道、四国、九州の公立図書館に行き、私の本『こんにちは、ディケンズ先生』を受け入れていただくよう廻ったのですが、観光も兼ねていたので楽しい時間を過ごせました。5年分の喜びが1年の間にあったということになりますが、来年もできればこうなればと思っています。荒井先生やディケンズ・フェロウシップの先生方には、この場をお借りして感謝したいと思います。ありがとうございました。
本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。