本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「クラウディオ・アバドのマーラー」ということで、1980年代に録音されたアバド指揮のマーラーの交響曲第3番と第7番「夜の歌」をお聴きいただきます。

クラウディオ・アバドは、1933年にミラノの音楽一家に生まれました。 ヴェルディ音楽院に続いて、ウィーン国立音楽アカデミーで学びましたが、同アカデミーでは指揮者ハンス・スワロフスキーに学びました。1968年にミラノ・スカラ座の指揮者について以降は、ロンドン交響楽団、ウィーン国立歌劇場の音楽監督、シカゴ交響楽団の主席客演指揮者などを歴任し、1980年にはカラヤンの後継者としてベルリン・フィルの芸術監督になりました。2000年に胃がんを発症し、その後も胃がんと闘いながら多くの名演を残しましたが、今年の1月20日に80才で亡くなりました。
アバドについては、2008年9月の第26回のLPレコードコンサートで、 ブラームスの交響曲第1番と第3番、ピアノ協奏曲第2番、マーラーの交響曲第4番をお聴きいただきました。今回は、以前から、企画したかった長尺もの2曲のコンサートをしようと思い、演奏内容、音質ともにすばらしい、この2曲を聴いていただくことにしました。
交響曲第3番については、ホーレンシュタイン指揮ロンドン交響楽団、ショルティ指揮ロンドン交響楽団、交響曲第7番には、クレンペラー指揮フルハーモニア管弦楽団の名演もありますが、壮年期のアバドの力のこもったこの2つの交響曲の演奏をお聴きいただくことにしました。

最初にお聴きいただくのは、アバドがウィーン・フィルと共演した、交響曲第3番です。この演奏で印象に残るのは、最初の楽章の豪華絢爛な響きと終楽章のウィーン・フィルのつややかな弦楽合奏、それから第4楽章のアルト独唱、第5楽章のウィーン少年合唱団の合唱でしょうか。親しみやすい旋律が多く、私はこの曲が、マーラーの交響曲の中でベストだと思うのですが、みなさんはいかがお考えでしょうか。なおこの曲は、管弦楽曲の中で最も長大な曲とも言われています。演奏時間は1時間43分です。

ここで少し休憩をいただきます。

後半の曲は、アバドがシカゴ交響楽団を指揮した交響曲第7番「夜の歌」です。
シカゴ交響楽団はショルティが音楽監督をつとめていた1970年代および80年代が輝かしかった頃で、アバドもその頃のシカゴ交響楽団と共演してこの名盤を残しています。交響曲第7番は一貫性がなく、散漫な印象を与えますが、一つ一つの楽章をじっくり聴いてみるとところどころ親しみやすい旋律がありマーラーらしい管弦楽技法も随所に見られます。本日はこのヴィオロンのすばらしいオーディオ装置でそのあたりを確認しようと私は思っています。こちらも長大な曲ですが、演奏時間は約1時間19分となっています。

本日もアンコール曲を用意させていただきました。本日、特集したマーラーがウィーンで活躍した作曲家・指揮者であったので、アンコール曲の演奏家も、ウィーンで活躍した、フリードリッヒ・グルダにしました。日本盤では、グルダ・リサイタルとアルバム名がついていたレコードですが、最近入手できたので皆様にお聴きいただこうと思います。このレコードは私がクラシック音楽を聴き始めてしばらくして、共同通信社発行のFMファンコレクション ピアノの本で推薦されていたレコードで、このLPレコードコンサートを始めてからは、外国盤が手に入ったらすぐに聴いていただこうと思っていたのでした。リサイタルなので、複数の曲で構成されています。順番に曲目を言いますと、J.S.バッハのイタリア協奏曲、モーツァルトのピアノ・ソナタ第15番、シューベルトのスケルツォ第1番、第2番、ショパンのアンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズです。演奏時間は約48分です。
多少時間がありますので、最後にグルダとアバド指揮ウィーン・フィルが共演したモーツァルトのピアノ協奏曲第21番を最後にお聴きいただきます。

本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。