第49回LPレコードコンサートの最初にモーリス・アンドレのトランペット演奏でレハールのオペレッタ「微笑みの国」から「君こそわが心のすべて」をお聴きいただきました。この曲は数あるオペレッタの中で、男性が歌うもっとも美しい曲と言われていますが、女性の方は、本日、「メリー・ウィドウ」でお聴きいただく、「ヴィリアの歌」だと私は思います。習って5年余りの私が、この曲をクラリネットで演奏していますので、録音をお聴きください。

本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「アッカーマンの「メリー・ウィドウ」とベームの「こうもり」」ということで、最も有名なオペレッタを2つお聴きいただきます。

いつもであれば、指揮者や演奏家の略歴を紹介しますが、今回は最初にオペレッタについて、少しお話ししたいと思います。オペレッタは台詞と踊りのある歌劇で、日本語に訳すと喜歌劇となります。だいたい2時間前後のもので、オペラの短いものより演奏時間が少し短くなります。オペレッタの原型を作った作曲家はオッフェンバックです。彼は、「天国と地獄」「ラ・ペリコール」などのオペレッタを作曲しましたが、「ホフマン物語」というオペラも残しました。他に有名なオペレッタをあげますと、J.シュトラウスⅡの「こうもり」、レハールの「メリー・ウィドウ」「微笑みの国」、カールマンの「チャールダーシュの女王」「伯爵令嬢マリッツア」などがあります。本日はこれらの中でも、聴かれる機会が最も多い、2つの作品を選びました。

「メリー・ウィドウ」には、10年後に録音されるマタチッチ盤が、「こうもり」には、カルロス・クライバー盤やカラヤン盤などがありますが、本日は、「シュヴァルツコップとクンツのやりとりが絶妙であり、よき時代のウィーンの陶酔的な雰囲気の香りが漂ってくる」と評価されている「メリー・ウィドウ」と「ヤノヴィッツ、ヴェヒターが見事で、ヴィントガッセンのオルロフスキーも面白い」と評価されている「こうもり」をお聴きいただきます。以前にも、お話したことがありますが、わたしにとってオペラやオペレッタは、苦手科目でいまいちその世界に入り込めないところがありますが、この2つのアルバムは耳に馴染み、私もしばしば聴くので、皆さんにも気に入っていただけるのではないかと思い、マタチッチ盤とクライバー盤のよさは重々知りながら、聴いていただくことにしました。

それではまずレハールの喜歌劇「メリー・ウィドウ」をお聴きいただきましょう。あらすじについてはお配りしたチラシを参考にしていただくとして、1つのエピソードをお話しましょう。シュヴァルツコップはこのオペレッタのヒロインハンナを得意にしており、2つのアルバムでの歌唱は甲乙つけがたいと言われています。アッカーマンでは若々しい歌声が聞かれ、マタチッチ盤ではいっそう巧みな歌が聞かれると言われています。いっそう巧みな歌というのに興味があり、アンナの役にはマタチッチ盤のような歌唱が良いのかもしれません。こちらもいつかは皆様にお聴きいただけるかもしれません。前置きが長くなりました。それでは、レハールの「メリー・ウィドウ」をアッカーマン指揮フィルハーモニア管弦楽団他の演奏でお聞きいただきましょう。演奏時間は約80分です。

ここで少し休憩をいただきます。

後半は、J.シュトラウスⅡの喜歌劇「こうもり」をお聴きいただきます。こちらも、あらすじはチラシを参考になさってください。ご多分に漏れず、私も最初はこの作品のカルロス・クライバー盤のCDを購入して聴きました。クライバーの解釈もすばらしく、ポップ、プライ、コロの歌唱も素晴らしいと思うのですが、なぜか固いイメージがあって、何度も聴きたいと思わなかったのです。ところがこのベーム盤はオルロフスキーの歌唱が誠に面白く、ベームのモーツァルト的な演奏というもの私の耳に馴染み、一度聴いただけで虜となったのでした。なぜ、オルロフスキーが面白いかというと、それは聴いてのお楽しみということで。この辺りから見ても、私の聞き方は正当派とは決して言えないと思います。ですが私はこの辺りのことから、このオペレッタに興味を持ちました。先程の「メリー・ウィドウ」もそうですが、どちらも明るく、軽い内容になっています。これらの作品ができた頃のオーストリアは、まさに音楽の都、世界の中心だったのでしょう。それを反映した、何とも言えない明るさが漂っていると言えるのではないでしょうか。それでは、J.シュトラウスⅡの「こうもり」をベーム指揮ウィーン・フィル他の演奏でお聴きいただきましょう。
演奏時間は約93分です。

本日もアンコール曲を用意させていただきました。やはり今日お聴きいただいた2つのレコードの中で秀でた歌唱を聴かせてくれた、2人の歌手の歌唱をお聴きいただきましょう。まず、シュヴァルツコップですが、こちらは、R.シュトラウスの「4つの最後の歌」をお聴きいただきたいと思います。演奏時間は約23分です。それに続いて、ヴィントガッセンがタンホイザーを演じたレコードをお聴きいただきます。それではR.シュトラウスの「4つの最後の歌」をシュヴァルツコップのソプラノ独唱セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏でお聴きいただき、続いて、ワーグナーの歌劇「タンホイザー」サヴァリッシュ指揮バイロイト祝祭管弦楽団他の演奏で冒頭の30分ほどをお聴きください。最後の5分ほど、タンホイザー役のヴィントガッセンの歌唱 が入っています。

本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。