本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「オイストラフのベートーヴェンとブラームス」ということで、ハイフェッツと並び称される巨匠オイストラフの名演奏をお聴きいただきます。

突然、別の話から始めますが、オイストラフと少し関係がある話ですので、おつき合いください。私は2002年2月にホームページを立ち上げ、同年4月にこのLPレコードコンサートを始めました。パソコンもホームページ用のソフトもいつまでも使い続けるわけに行かず、私の場合、ホームページを始めた時から、パソコンもホームページ用のソフト(私はMacなので、ドリームウィーバーということになります)も3代目になります。この更新の作業というのが、お金と時間がかかるものなので、継続を諦める方もおられるようですが、私は何とか頑張っています。私がホームページを始めて、1年もしないうちに一人の若い女性から、「オイストラフのファンなんです」というメールをいただきました。どのようにされて私のホームページを知られたのかはわからずじまいでしたが、その頃は2週間から1ヶ月に一度メールが送られて来るのを楽しみにしていました。オイストラフの他、ワーグナーに興味を持っておられ、他のメール仲間とオフ会をしばしばされているようでした。私は関西に住んでいるので、東京で開催されるオフ会に主席できませんでしたが、ある時、その女性が私のLPレコードコンサートにやって来られたのです。同年齢くらいの男性と一緒に来店され、催しの後は隣のピッキーヌさんで一緒に夕ご飯を食べました。私の見栄えがいまいちだったためか、その後はほとんどメールが来ることもなくなり、私も彼女のホームページを見ることはなくなりました。ただオイストラフの一番の名演だと思っている、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番の外国盤を入手したら、オイストラフの特集をしようと考えていました。最近になって、彼女、どうしているかなと思って、ホームページのアドレスを入れてみましたが、繋がらなくなっていました。先に言ったように、パソコンやソフトで問題が生じ更新されなかったのだと思います。今回、オイストラフの特集を組んだのは、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番を入手したからではなく、あれから10年程経過したけれど彼女どうしているかなーと思い、企画しました。

それでは、いつものように演奏家のプロフィールから始めます。ダヴィッド・オイストラフは1908年旧ソ連(現在はウクライナ)のオデッサに生まれました。学生時代はヴィオラを引いていたようですが、1935年にヴィエニアフスキ国際ヴァイオリン・コンクールでジネット・ヌヴーに次いで2位になります。1937年にイザイ・コンクールで優勝を勝ち取り、この頃から世界的なヴァイオリニストとして活躍するようになります。オイストラフは教鞭をとっていましたし、1974年で亡くなったということもあり、活躍の時期は1950年代後半から1960年代ということになります。本日はその時期の彼のすばらしい演奏を聴いていただきます。

最初の曲をお聴きいただきます。私はオイストラフのヴァイオリンの音色を嫌いではありませんが、ヴァイオリンの音色が苦手という方も何人か知っています。特にこのレコードの日本盤はそのエッセンスが詰め込まれたようで、苦手の方にはきっと辛いだろうと思います。私は楽しんで聴いていますが、聴覚の奥まで食い込んで来るような音を長く聴くのは少ししんどいかなと思います。そういうことで、4時間近く、この後、ブルッフのコンチェルトをアンコールで聴いていただきます、続けて聴くとどうなるかと思っています。聴いていただきましょう。演奏時間は約46分です。

次にお聴きいただくのは、クロイツェル・ソナタです。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタもオイストラフの鋭い音がある意味で魅力といえますが、今から、お聴きいただくエテルナ盤はその特徴を抑え気味にして、しっとりとした情感というか味わいを出したものになっています。私はそう感じたのですが、皆さんはどう思われるでしょうか。演奏時間は約34分です。

前半最後はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番「春」、第4番、第2番をお聴きいただきます。いずれも私が好きな曲で、1枚のレコードに収められているので、聴いていただくことにしました。演奏時間は約60分です。

ここで少し休憩をいただきます。

後半の最初の曲は、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第2番です。先に述べましたように、残念ながら第1番「雨の歌」は未だ入手できていません。ほしいと思ったレコードはほとんど手に入れている私ですが、このレコードの外国盤とストコフスキー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団のチャイコフスキー交響曲第5番のデッカ盤はなかなか手に入りません。どちらもジャケットを見たことがないので、今後の楽しみにしています。この第2番は、懐かしい調べに満ちていて、私はこの曲を聴くと少年時代に帰ったような気持になるのです。演奏時間は約19分です。

次にお聴きいただくのは、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番です。ブラームスの評伝ではガイリンガーの著作が有名で、私も読んでいて私の感想文がグーグル検索で引っかかりますが、この本を読むとブラームスが「ドイツ・レクイエム」で認められる(36才)まで苦労をしていて、それから安定して作曲活動ができるようになり、交響曲、室内楽曲の名曲を生み出したということがよくわかります。この曲も55才の時に初演した曲で、いぶし銀の味わい深い曲です。演奏時間は約23分です。

本日のプログラム最後の曲は、ブラームスのヴァイオリン協奏曲です。この曲の外国盤を4枚持っていて、最終的にASD2525、ただしイギリス盤ではなくオランダ盤ということになりました。米エンジェル盤や露メロディア盤も持っていますが、音が一番いいと思い、このレコードにしました。たくさんの名演がありますが、このレコードではオイストラフが名指揮者ジョージ・セルのサポートを得て、この曲の魅力を十二分に聴かせてくれます。演奏時間は約41分です。

本日もアンコール曲を用意させていただきました。本日はオイストラフをたっぷりお聴きいただきましたが、私にとっては今からお聴きいただく、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番が入門の曲であったので、どうしても外せなかったのです。この企画をした時に久しぶりに聴いてみましたが、やはり、演奏がすばらしくアンコールで是非聴いていただきたいと思ったのでした。それではブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番をオイストラフのヴァイオリンマタチッチ指揮ロンドン交響楽団の演奏でお聴きください。演奏時間は約24分です。

本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。