本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、名曲喫茶ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「華麗なる旋律 アルトゥール・ルビンシュタイン」ということで、幼くして神童と呼ばれ、90歳になっても現役ピアニストとして活躍していたルビンシュタインの演奏をお聴きいただきます

アルトゥール・ルビンシュタインは、1887年ポーランドウッチのユダヤ人の家庭に生まれました。2才の時に姉のピアノを聞いてすぐにそれを再現してみせ、4才の頃には自ら神童と自覚していたということで、幼少の頃から、人並みはずれたピアニストとしての素質を持っていたことがわかります。7才にデヴューし、10歳の頃にベルリンに出て音楽の勉強を続けます。13才の頃にバルト教授を師事しますが、ルビンシュタインの自伝「華麗なる旋律」の中でこのバルト教授とうまくいかなかったことが書かれています。自由奔放なルビンシュタインと徹底した管理主義のバルト教授とはウマが合わず、ルビンシュタインは成長するにつれ、バルト教授が構想するピアニストとしての軌道から外れて行くことになります。バルト教授の後援を得られなくなったルビンシュタインは経済的に困窮し自殺未遂をしたりしますが、1910年にアントン・ルービンシュタイン国際ピアノコンクールで優勝します。1912年からロンドンに活動の拠点を移してからは、多くの音楽家との交流が始まり、生活も安定して来ます。第二次世界大戦中はアメリカに在住し、1946年にはアメリカの国籍を取得します。

最初にお聴きいただくのは、ショパンのピアノ協奏曲第1番です。ルビンシュタインは、練習曲の一部を除いて全ての曲を録音しています。本日は、この曲の他、スケルツォ全曲とワルツ全曲を聴いていただきますが、やはり最も優れた録音はノクターンですが、残念ながら、音の良いレコードが入手できませんでした。いつか聴いていただけたらと思っています。ショパンは2曲のピアノ協奏曲を残していますが、オーケストラの部分はショパンの作曲ではないようです。それでもショパンの魅力を損なわずピアノ独奏より華やかなので、今後もピアニストの重要なレパートリーであり続けると思います。演奏時間は約41分です。

次にお聴きいただくのは、スケルツォ全4曲です。第2番が有名ですが、バラードと同様にどの曲も魅力的で4曲通して聴く価値は十分あると思います。リヒテルのレコードが有名ですが、私個人はこちらの演奏の方がよいと思います。演奏時間は約37分です。

前半最後の曲は、ワルツ全14曲です。リパッティの名盤がありますが、ルビンシュタインの演奏もよい演奏だと思います。リパッティのショパンワルツ集はブザンソン告別演奏会のライヴ録音があり、こちらはどうしても最後の1曲が演奏できなかったため、13曲の収録となっています。演奏時間は約49分です。

ここでしばらく休憩をいただきます。

後半、最初にお聴きいただくのは、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番です。映画「アマデウス」の中で、この曲の冒頭のところがかかり有名な曲ですが、第2楽章の美しさも魅力的な曲です。私が好きなのは他に、第21番、第23番、第24番、第27番がありますが、モーツァルトのピアノ協奏曲は心地よく、やすらぎに満ちていると思います。演奏時間は約30分です。

次にお聴きいただくのは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番です。私が個人的に好きなのはポリーニとベームが共演したグラモフォン盤です。ルビンシュタインは1950年代、1960年代、1970年代と3度ベートーヴェンのビアノ協奏曲の録音をしていますが、最後の録音は80代の録音となっています。演奏時間は約36分です。

プログラムの最後の曲は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」です。
数多くの名演がありますが、私は60代のルビンシュタインの溌剌とした演奏が好きです。ピアニストの最も活躍できるのが、30代から50代までとするならルビンシュタインの場合1910年代から1940年代となるのですが、ルビンシュタインがもう30年遅く生まれていれば、もっとたくさんの名演を残してくれたかもしれません。演奏時間は約43分です。

本日もアンコール曲を用意させていただきました。本日は、第60回ということで何か変わったレコードがないかと探してみました。私が初めて東京の中古レコード店を訪れたのは、1994年のことでした。お茶の水、水道橋、渋谷、代々木、新宿の中古レコード店を廻った記憶があります。またこれも定かではありませんが、今から聴いていただく、クーセヴィツキーボストン交響楽団のシベリウス交響曲第2番はこの時に代々木の中古レコード店で購入した記憶がありますが、店名は覚えていません。ご教示いただければ、ありがたいです。このクーセヴィツキ―式のレコードも、一時はシベリウス交響曲第2番の名演と呼ばれていました。

本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。