本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、名曲喫茶ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。
今回は、「サヴァリッシュのタンホイザー」ということで、1962年のバイロイト音楽祭で上演された、歌劇「タンホイザー」を全曲お聴きいただきます。
ヴォルフガング・サヴァリッシュは、1923年ドイツのミュンヘンに生まれました。幼少期からピアノ、音楽理論、作曲を学び、指揮はハンス・ロスバウトに師事します。第二次大戦で徴兵されますが、大戦後すぐの1947年にアウグスブルク市立歌劇場にてフンパーディンクのオペラ「ヘンゼルとグレーテル」でデヴューします。また1949年にはヴァイオリニストのゲルハルト・ザイツとピアノで共演し、ジュネーヴ国際音楽コンクールで2位となります。しばらくは指揮とピアニスト(主に歌曲(リート)の伴奏)の両方をしていましたが、1957年にバイロイト音楽祭に初出演してからは指揮の仕事が中心となってゆきます。ウィーン交響楽団、ハンブルク・フィル、スイス・ロマンド管弦楽団の首席指揮者を歴任した後、1971年からはバイエルン国立歌劇場の音楽監督になります。サヴァリッシュはNHK交響楽団を指揮しており、日本でよく知られていますが、1964年に初来日して以来毎年のように来日し、2004年まで公演が続けられました。サヴァリッシュは1957年から1962年まで6年続けてバイロイト音楽祭に出演しており、本日、お聴きいただくのは、1962年のライヴ録音です。
今までにこのLPレコードコンサートで、オペラは、モーツァルトの『魔笛』、プッチーニの『ボエーム』、ヴェルディの『トロヴァトーレ』を聴いていただきました。いずれもわたしが好きなオペラで、独唱や合唱がすばらしく最後まで通して楽しんでいただけたと思っています。このタンホイザーも序曲から第1幕は一気に聴かせますし、第2幕は大行進曲、歌合戦がありますし、第3幕は「夕星の歌」「ローマの語り」があり、まったく飽きさせません。
本日は、あまり私の話は入れずに1幕ごとに5分間の休憩を入れて聴いていただこうと思っています。通して、約170分です。
少し私のワーグナーとの関わりを話させていただきます。クラシック音楽を聴き始めて4年ほどしてこのサヴァリッシュの「タンホイザー」を聴き、感動したので他のワーグナーの音楽もと考え、フルトヴェングラーの「トリスタンとイゾルデ」、クナッパーツブッシュの「パルジファル」、クーベリックの「ローエングリン」、クナッパーツブッシュの「ニュルンベルグのマイスタージンガー」(CD)を聴いてみましたが、その良さがわかりませんでした。2年ほど前に世界文化社「ニーベルングの指輪」を3日掛けて(16時間余りあります)を見ると物語がよく理解でき、「ワルキューレ」や「ジークフリート」をLPレコードで聴いてみようと思いました。「タンホイザー」もいろいろ聴いてみましたが、一番期待していたショルティ盤がいまひとつで、「ニーベルングの指輪」もどうかなと思っています。マスターによると「ニーベルングの指輪」はカイルベルト指揮バイロイト祝祭管弦楽団他の1955年盤がよいということです。この時にジークフリートを歌い、本日のレコードではタンホイザーを歌っているヴィントガッセンは当時大変な人気だったワーグナー歌手で、後にベーム盤の「こうもり」にも出演しています。
本日はワーグナー「タンホイザー」でしたので、アンコール曲もワーグナーから選んでみました。クナッパーツブッシュのワーグナー名場面集です。まず「さまよえるオランダ人」から"Die
Frist ist um"「ニュルンベルクのマイスタージンガー」から"Was duftet doch der Flieder""Wahn!Wahn
!Überall Wahn"「ワルキューレ」から"Leb wohl, du kühnes,herrliches
Kind!"です。
本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。