本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、名曲喫茶ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。
今回は、「音の魔術師レオポルド・ストコフスキー2」ということで、1917年から1977年の60年にわたる録音歴の中で数多くの名演を残したレオポルド・ストコフスキーの演奏をお聴きいただきます。
レオポルド・ストコフスキーは、1882年イギリスのロンドンに生まれました。王立音楽大学を卒業して最初は教会のオルガニストをしていましたが、1909年にパリで指揮者としてデヴューします。これは私見ですが、ストコフスキーはマーラーの生前、ミュンヘンで演奏を聴いており、大きな影響を受けたと考えています。というのは第8番「千人の交響曲」のアメリカ初演をしていますし、交響曲第2番「復活」の名盤を残しているからです。パリでデヴューしてすぐにロンドンでもデヴューしますが、アメリカに渡り、1912年にはフィラデルフィア管弦楽団の常任指揮者となり、1940年までの黄金時代を築きます。数多くのレコードを残した他、「オーケストラの少女」という映画には役者として登場します。またバッハやムソルグスキー「展覧会の絵」の編曲も手掛け、オーケストラの配置の研究にも熱心でした。1960年代後半からは活動の中心がイギリスへと移り、本日、お聴きいただくレコードはすべてその頃の録音です。
本日は、前半で印象に残るドイツ音楽を、後半で彼が得意にしていたロシア音楽をお聴きいただきます。
最初は、ブラームスの交響曲第1番です。ストコフスキーは亡くなる直前までレコーディングをしておりビゼーの交響曲等を残しています。このレコードも90才の頃のライヴ録音ですが、ストコフスキーらしくない端正な演奏は強く心に残ります。演奏時間は約45分です。
次にお聴きいただくのは、ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」からいくつか聴いていただきます。「ニーベルングの指輪」は「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々のたそがれ」の4つの楽劇で構成されていて、通して聴くと16時間以上かかりますが、今日はその中のハイライトをお聴きいただきます。演奏時間は約46分です。
ここでしばらく休憩をいただきます。
後半、最初にお聴きいただくのは、組曲「展覧会の絵」(ストコフスキー編曲)です。ストコフスキーはバッハのオルガン曲の幾つかを編曲しており、レコードや映画「ファンタジア」で楽しめますが、本日は冒頭の弦楽器の演奏が印象に残る「展覧会の絵」をお聴きいただきます。演奏時間は約27分です。
次にお聴きいただくのは、チャイコフスキーの交響曲第5番です。私は長年このオリジナル盤がほしくて探していたのですが、最近になって2度手にする機会があり、その2枚を購入してしまいました。前々回にも、アンコール曲として聴いていただきましたが、ぜひ特集で聴いていただきたいと思い、もう一度、取り上げました。演奏時間は約50分です。
最後にお聴きいただくのは、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」です。最初のところで述べましたが、ストコフスキーは1912年から1940年のフラデルフィア管弦楽団の黄金時代を築きましたが、後期ロマンは以降の曲の数多くをアメリカで初演しています。ストラヴィンスキーの「春の祭典」も手掛けたと記録が残っていますので、この「火の鳥」1919年版も恐らくその頃に取り上げたのではないかと思われますが、記録は残っていません。演奏時間は約22分です。
本日もアンコール曲を用意させていただきました。最後に聴いていただいた「火の鳥」のレコードの裏面にチャイコフスキーの「スラヴ行進曲」が入っていますので、まずそれを聞いていただきます。この曲を私は一時よく聴きました。また私は最近、「マーラー - 未来の同時代者」という本ぞ読んで、マーラーの曲をもっとLPレコードコンサートで取り上げてみたいと思いました。その魁として、マーラーの交響曲第1番「巨人」をブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団の演奏で第1楽章を聴いていただきたいと思います。それでは2曲続けてどうぞ。
本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。