本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、名曲喫茶ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

 今回は、エーリッヒ・クライバーの「フィガロの結婚」ということで、1955年に録音された、歌劇「フィガロの結婚」を全曲お聴きいただきます。

エーリッヒ・クライバーは、1890年ウィーンに生まれました。プラハ音楽院で指揮を勉強し、1911年に指揮者としてデヴューします。1923年にはベルリン国立歌劇場の音楽監督に就任します。クライバー自身はユダヤ人ではありませんが、妻がユダヤ人であったため、迫害を恐れ、当時5才の息子のカルロスも連れて、1935年にアルゼンチンに移住します。

第2次世界大戦終了後、ヨーロッパでの音楽活動を再開します。1954年には古巣のベルリン国立管弦楽団の音楽監督に招かれますが、東ドイツ当局と対立して辞任します。また要望していたウィーン国立歌劇場の音楽監督がカール・ベームに決まります。アメリカからの就任要請もありましたが、それから間もなくチューリッヒで急逝します。

エーリッヒ・クライバーは45〜60才の指揮者として一番充実していた時期に歴史的な制約があって活躍できなかった悲劇の大指揮者と言えます。それでも「フィガロの結婚」と「ばらの騎士」は名演と言われ、この後聞いていただく、ベートーヴェンの「田園」とともに今後も多くの人を感動させることと思います。

 本日聴いていただくレコードでは独唱者もすばらしく、特にフィガロ役のチェーザレ・シエピの歌唱は心に残ります。ウィーン・フィルの演奏も極めて美しく、「フィガロの結婚」は、カラヤン、ベーム、ジュリーニの名演もありますが、私はこのレコードが一番優れていると思います。

 本日は、あまり私の話は入れずに2幕の後に10分間の休憩を入れて聴いていただこうと思っています。通して、約172分です。そのあと時間が許す限り、ベートーヴェンの田園交響曲をエーリッヒ・クライバー指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で聞いていただこうと思っています。

 ここで10分間休憩をいただきます。

今回のLPレコードコンサートでは、レコードに付着物があったため、2度もお聞き苦しいところがありました。誠に申し訳ありませんでした。

 「フィガロの結婚」を全曲聴いていただきましたが、最初にお話ししましたようにここからは、エーリッヒ・クライバー指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」を聴いていただきます。演奏時間は約47分です。

まだもう少し時間がありますので、アルフレート・ブレンデルの演奏で、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第26番「告別」を聴いていただきます。演奏時間は約17分です。

 本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。