本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、名曲喫茶ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「イギリスの指揮者 ジョン・バルビローリということで、イギリスの指揮者でイギリスの作曲家、ブラームス、シベリウスの演奏を得意とした指揮者のレコードをお聴きいただきます。

ジョン・バルビローリは、1899年イギリスのロンドンに生まれました。1916年にクイーンズ・ホール管弦楽団のチェロ奏者として音楽活動を始めます。1921年にはデュ=プレとも共演したエルガーのチェロ協奏曲を演奏します。1925年には指揮者に転向し、1936年にはニューヨーク・フィルの首席指揮者になります。1943年から15年間はハレ管弦楽団の音楽監督となり、多くの味わい深い演奏のレコードを残します。

私が初めてバルビローリを聞いたのは、本日最初にお聴きいただく、カッツと共演した「皇帝」でした。その次にデュ=プレと共演したエルガーのチェロ協奏曲で、交響曲の名盤がないものかと音楽誌で探していたところ、ブラームスの交響曲第2番が優れているということでした。まさにそのとおりで、私はこの交響曲のベスト演奏だと思っています。他にディーリアスのアパラチア、シベリウスの交響曲全集も味わい深い優れた演奏だと思います。

この名曲喫茶ヴィオロンで朗読会を長年されていて、2015年4月8日に亡くなられた荒井良雄先生が本日の特集のジョン・バルビローリを愛聴されていたということをマスターから聞きました。荒井先生は、私が作成したディケンズの小説の朗読用台本「ミコーバの爆発」(『デイヴィッド・コパフィールド』から)を朗読会で朗読していただいたり、ヴィオロン音盤文化賞として時計をいただいたりしました。時には厳しかったりしましたが、もっと朗読会を続けていただいて、他の私の朗読用台本も読んでいただけたらと思いますが、ここでは感謝の気持ちを述べ、ご冥福を祈りたいと思います。いろいろしていただき、本当にありがとうございました。

最初は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」です。今から40年ほど前に当時FMfanという雑誌を出していた共同通信社から「ピアノの本」という本が刊行され、その名曲名盤の中にこのレコードが紹介されていました。ミンドゥル・カッツについては、「タッチが美しく、透き通るような冴えた音を出し、鋭さとともに叙情豊かな演奏を聴かせる。」と書かれています。演奏時間は約40分です。

次にお聴きいただくのは、先にご紹介しましたブラームスの交響曲第2番です。ブラームスの他の交響曲に比べると明るい交響曲でブラームスの田園交響曲と言われる曲です。のどかな曲で最初と最後の盛り上がりは魅力がありますが、余りに心地が良いので、その他のところでは私はよく居眠りをしてしまいます。悲劇的序曲も一緒にお楽しみください。演奏時間は約55分です。

ここでしばらく休憩をいただきます。

後半、最初にお聴きいただくのは、シベリウスの交響曲第1番です。イギリスではシベリウスの人気が高く、コンサートでも取り上げられる機会が多いようです。シベリウスも生前、自身の指揮で交響曲第2番の演奏会をするためにイギリスに遠征していたようです。第1番は未消化なところがあるように思えますが、終楽章の盛り上がりはそれを補っていると思います。演奏時間は約41分です。

次にお聴きいただくのは、シベリウスの交響曲第2番です。以前から私はこの曲を愛聴していて、オーマンディ、C.ディヴィス、コリンズと聴いて来ました。バルビローリの演奏はその中のベストと言える名盤であると思います。演奏時間は約46分です。

最後はシベリウスの交響曲第5番と第7番です。交響曲第4番がシベリウスの交響曲の中で一番優れていると言われているとよく言われますが、この第5番を推すという評論家の方もいます。私はその考えに賛成で、第2番も優れていますが、最近はこの第5番も素晴らしいと思っています。第7番は単一楽章の20分余りの交響曲ですが、旋律が美しく楽しんでいただけると思います。演奏時間は約55分です。

本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。