本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、名曲喫茶ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても普通の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。
今回は、「正統派ピアニスト アルフレート・ブレンデル」ということで、チェコ出身のピアニスト アルフレート・ブレンデルの演奏で、モーツァルト、ブラームス、ベートーヴェンの作品を聞いていただきます。
アルフレート・ブレンデルは、1931年チェコに生まれました。1943年からグラーツ音楽院でピアノと音楽理論を学び、1947年にはウィーンに出てピアノの修行をして、1948年にグラーツで初めてのリサイタルを行います。1949年にはブゾーニ国際コンクールで4位に入賞します。その後、国際的な名声を獲得しますが、1970年にフィリップス社と契約して、次々にレコードをリリースし、国際的な地位を確立して行きます。ブレンデルは、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトの演奏に定評がありますが、本日は、モーツァルト、ブラームス、ベートーヴェンを聞いていただいた後に、アンコール曲でシューベルトを少し聞いていただこうと思っています。
私が初めてブレンデルを聞いたのは、今から40年ほど前です。FM大阪の夜の番組で、シューベルトのさすらい人幻想曲をコンサートの実況録音したものを放送していました。この難曲をミスなく情熱的に弾くのを聴いて、彼の演奏をレコードで聴いてみたいと思ったのでした。すぐにさすらい人幻想曲のフィリップス盤を購入しましたが、ライヴに比べて情熱的でなく物足りなく思ったことを覚えています。FM放送で彼のレコードがかかるのを待っていましたが、いつもシューベルトのピアノ五重奏曲「ます」ばかりで、モーツァルトやベートーヴェンがかけられることはほとんどありませんでした。当時の私は、FM放送で聴いて感動したものだけを購入していたので、「ます」のレコードは購入しましたが、他のレコードを購入することはありませんでした。ようやく今から10年前にモーツァルトのピアノ・ソナタ第8番と第14番のCDを購入し、ブレンデルの素晴らしさを再認識したのでした。私はブレンデルの魅力は、さすらい人幻想曲やシューベルトの最晩年の3つのピアノ・ソナタなどを味わい深く演奏することだと思っていましたが、本日の4枚のレコードを聴いていただくとわかりますが、音に輝きがあり、即興演奏の部分も美しく感動的です。今日はレコードが入手できず、聴いていただくことができないのですが、シューベルトのピアノ・ソナタ第20番は是非聴いていただきたいと思っています。これを機会にブレンデルのファンが増えることを願って、彼の名演を聴いていただこうと思います。
最初は、モーツァルトのビアノ・ソナタの第8番と第14番です。第8番の第2楽章は美しく心がやすらぐので、私の場合、いつも作業を止めてじっと聴き入ってしまいます。(ピアノ・ソナタ第14番は割愛しました)演奏時間は約44分です。
次にお聴きいただくのは、モーツァルトのピアノ協奏曲第18番と第27番です。第27番は最晩年の天国的な調べの有名な曲ですが、第18番もよい曲です。盲目の鍵盤奏者で、シシリエンヌという小品を作曲したパラディスに捧げられたと言われています。第2楽章が特に素晴らしいので、じっくりお聴きください。第27番、第18番の順でお聴きいただきます。演奏時間は約58分です。
ここでしばらく休憩をいただきます。
後半、最初にお聴きいただくのは、ブラームスピアノ協奏曲第1番です。ブラームスの若き日の情熱に溢れた曲で、あまりに熱いため第2番ほど聴くことはなかったのですが、ルビンシュタインやブレンデルの演奏を聴いてからは、第1番の方をよく聴くようになりました。イッセルシュテットが亡くなる直前の録音で、後にブレンデルは同じ曲をアバドと共演しています。演奏時間は約49分です。
最後は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタです。このレコードは、NHKラジオ音楽の泉で何度か取り上げられたことがあります。私がこのレコードを知ったのは20年ほど前で、FM放送で聴いたのでした。すばらしい演奏なので、その後ずっとこのレコードの外国盤を探していたのですが、ようやく昨年購入することができました。ワルトシュタインはバックハウスやグルダの名演もありますが、一緒に、アンダンテ・ファヴォリ(最初はワルトシュタイン・ソナタに入れられる予定だった)が聴けるこのレコードはすばらしいと思います。演奏時間は約54分です。」
本日もアンコール曲を用意させていただきました。最初のところでも紹介しましたさすらい人幻想曲をお聴きいただきます。演奏時間は約21分です。
本日も、レコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。私のレコードコンサートは少し聴いていただくだけでも、歓迎致しますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。