本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、3ヶ月に一度、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても一般の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。
今回は、「古き良き時代のピアニスト、アルフレッド・コルト−」ということで、前半はカザルス、ティボーと共演した室内楽曲、後半はピアノの独奏をお聴きいただきます。いずれも、コルト−の全盛時代である1920年代および1930年代の演奏で、お聴きいただきます。
アルフレッド・コルト−は1877年にフランスのニヨンに生まれ、1962年にスイスのローザンヌで没したピアニストです。カザルス・トリオの一員として、ベートーヴェンの「大公」をはじめピアノ・トリオの名演のレコードを数多く残していますが、やはりコルト−と言えば、ショパンやフランスの作曲家のピアノ曲の演奏でよく知られています。また、本日は長い間にわたり「クロイツェル・ソナタ」の最高の演奏と言われて来た、ジャック・ティボーとの共演もお聴きいただきます。
まず、カザルス・トリオの演奏で、シューベルトのピアノ・トリオ第1番をお聴きいただきます。「大公」も一つの時代を築いた名演ですが、この演奏もそれに劣らない名演で、特に第1楽章は傑出しているように思います。今日は、その第1楽章をまずお聴きいただきます。演奏時間は約9分です。
次にお聴きいただくのは、ティボーとの共演で、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」です。ベートーヴェンは10曲のヴァイオリン・ソナタを作曲していますが、第5番「春」と共によく知られています。他に、第2番や第4番も愛らしい美しい曲ですので、機会がありましたらお聴きいただきたいと思います。「クロイツェル・ソナタ」はフランスのヴァイオリニスト、クロイツェルに献呈されたヴァイオリン・ソナタで、1803年ベートーヴェン33才の頃の作品です。オイストラフやハイフェッツが名演を残していますが、今なお、これらの演奏に劣らないすばらしい演奏であると思います。演奏時間は約30分です。
ここで10分間休憩をいただきます。
後半は、コルト−の独奏をたっぷりとお聴きいただきます。まずお聴きいただくのは、ショパンの24の前奏曲です。先にお聴きいただいた「クロイツェル・ソナタ」と同様に一時代を築いた演奏です。現代のピアニストに比較して技巧の点で少し物足りないのはよく言われることですが、古き良き時代を思い出させてくれるコルト−の演奏は、やすらぎを与えてくれるものとなっています。演奏時間は約34分です。
プログラム最後の曲は、ショパンの4つのバラードです。「戦場のピアニスト」という映画が上映されていますが、この映画の中で、バラードの第1番が効果的に使われています。まさにこの曲を主人公が奏でるところからぱっと世界が開けて明るくなるのです。コルト−の演奏も力のこもった演奏で、私個人もコルト−の独奏で最もすぐれたものであると思います。演奏時間は約31分です。
コンサートの最後にアンコール曲を用意しました。ヘンデルのハープ協奏曲です。中学生の時私が、ハープの音色に魅せられ何度も何度も聴いた曲です。演奏はハープがニカノール・サバレタ、フィレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送交響楽団です。演奏時間は約15分です。
本日は、長時間にわたり、LPレコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。今後とも、このレコードコンサートをご愛顧いただきますよう、よろしくお願いします。また、プログラムの一番下にあります、私のホームページも是非ご覧下さい。よろしくお願いします。