本日はお忙しいところ、LPレコードコンサートに来ていただきありがとうございます。

2002年から2019年まで開催して来ましたこのLPレコードコンサートもコロナ禍で3年余り自粛してきましたが、ようやく規制が緩和され以前のような形での開催が可能となりました。

引き続きマスクの着用など感染防止のためにご協力いただき、当面は2時間以内での開催となりますが、以前のように音の良い名盤を聞いて頂こうと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

本日は再開第1回目、通算で72回目となりますが、まずは私が好きな3つの交響曲をジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏で聞いて頂こうと思います。

ジョージ・セルは1897年ハンガリーの首都ブタペストに生まれました。幼くしてピアノ演奏に才能を表し3歳からウィーン音楽院でピアノ、指揮、作曲を学びました。16歳でウィーン交響楽団を指揮して、指揮者としてデヴューしますが、しばらくはピアニスト、作曲家としても活躍します。最終的には指揮者の道を選んで、20才の頃からはドイツ各地の歌劇場でキャリアを積んで行きます。1939年頃からはアメリカで指揮することが多くなりやがて定住します。1946年にクリーヴランド管弦楽団の常任指揮者となってからは、同楽団を鍛え抜いて全米で屈指のオーケストラにします。ジョージ・セルは今日聞いていただくレコードの他にドヴォルザークの交響曲第7番、オイストラフと共演したブラームスのヴァイオリン協奏曲、カサドシュと共演したモーツァルトのピアノ協奏曲、フルニエと共演したドヴォルザークのチェロ協奏曲も名盤と言われていますので機会があれば聞いて頂こうと思っています。

それではプログラムに入りたいと思います。最初はシューマンの交響曲第3番「ライン」をお聞き頂こうと思います。この交響曲の第1楽章が大学の入学式で大学の交響楽団によって演奏されたこともあって、私にとって懐かしい気持ちになる交響曲です。全楽章美しいメロディがあり、随所に高揚した気分になる素晴らしい曲です。カラヤン、アバド、クレンペラーなどの演奏も聞きましたが、セルの演奏は他の追随を許さない演奏であると思います。演奏時間は約33分です。

次はブラームスの交響曲第3番です。ブラームスは4つの交響曲を作曲しており、第1番と第2番は名演がたくさんありますが、この第3番はセル指揮の演奏が特に素晴らしいです。第3楽章だけでなく最初と最後の楽章も、いえ全てが緻密で完成された演奏だと思います。演奏時間は約35分です。

最後にお聞きいただくのは、ドヴォルザークの交響曲第8番です。ジョージ・セルはベートーヴェンの交響曲全集を録音していますが、私個人としては、それよりもシューマン、ブラームスとドヴォルザークの交響曲第7番、第8番、第9番がより素晴らしい演奏であると思います。特にドヴォルザークの第8番は3度録音していて、クリーヴランド管弦楽団とは1958年にも録音しており、こちらも味わい深い名演と言われています。巨匠最後の録音をじっくりお聞きください。演奏時間は約39分です。

今後も3ヶ月に一度、LPレコードコンサートを開催しますので、ご愛顧いただきますようよろしくお願いします。