本日もお忙しいところ、LPレコードコンサートにお越しいただきありがとうございます。
2002年から2019年まで開催してきましたこのLPレコードコンサートもコロナ禍で3年余り自粛しましたが、規制が緩和されて2023年6月から以前のような形での開催が可能になりました。以前のように音の良い名盤を名曲喫茶ヴィオロンの素晴らしいオーディオ装置で聞いていただこうと思いますので今後ともよろしくお願いします。
本日は通算で77回目になりますが、ロシアのピアニスト スヴャトスラフ・リヒテルの演奏を聞いていただこうと思います。私がクラシック・ファンになった1978年頃はホロヴィッツ、リヒテルも現役で
ブレンデル、グルダ、グールド、アシュケナージは全盛期でした。私の好みで申し訳ないのですが、グラモフォンのピアニストよりどちらかと言うと他のレーベルのピアノ演奏の方が好きです。グラモフォン盤はピアノの音が硬くこもったような音に聞こえるからです。今日最後に聞いていただくチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番はカラヤンと共演した超名盤ですが、上記のような理由でムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルの演奏の方が私には聞きやすい気がします。本日は2つの演奏を比較していただくために最後のアンコールのところで冒頭のところを聞いていただこうと思っています。
スヴャトスラフ・リヒテルは1915年ウクライナのジミトールに生まれました。このように生まれは旧ソ連のウクライナですが、モスクワ音楽院を出て1950年代前半まではロシアを中心に東側諸国で活躍していたので、便宜的にロシアのピアニストとさせていただきました。彼が西側諸国で演奏するようになったきっかけは
1959年にグラモフォンレーベルに録音したラフマニノフのピアノ協奏曲第2番でした。その後グラモフォンとは1962年に本日聞いていただくチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番も録音しています。リヒテルが初めてアメリカで演奏したのは1960年でした。レコード会社はRCAでベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番、ブラームスのピアノ協奏曲第2番などを録音しています。日本には1970年の大阪万博の時に初来日してその後何回か来日公演を行いました。
最初に聞いていただきのは、グリーグとシューマンのピアノ協奏曲です。リパッティが同じ組み合わせのレコードを録音していますがこちらも名盤と言われています。ロマン派をリードした作曲家のピアノ協奏曲と詩情あふれる北欧の作曲家が書いたピアノ協奏曲をご堪能ください。演奏時間は約59分です。
次に聞いていただくのはベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番「熱情」です。第8番「悲愴」、第14番「月光」と合わせて三大ピアノ・ソナタと呼ばれています。リヒテルはRCAレコードにも「熱情」を録音していますが、本日は旧ソ連のメロディアから発売されたレコードを聞いていただきます。演奏時間は約23分です。
最後に聞いていただくのはチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番です。ブラームスのピアノ協奏曲第2番、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、ベートーヴェンのピアノ協奏曲、モーツァルトの後期のピアノ協奏曲と同様に内容の充実した楽曲です。演奏時間は約36分です。
本日のアンコール曲は最初にお話ししたようにチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の聞き比べです。ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルの演奏を時間までお聞きください。
これからも音質の素晴らしさをこの名曲喫茶ヴィオロンの素晴らしいオーディオ装置で皆さんと一緒に楽しみたいと思いますので、今後ともご来店の程よろしくお願いします。