本日はお忙しいところ、LPレコードコンサートにお越しいただきありがとうございます。
本日は通算で79回目となりますが、フランスの指揮者シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団の演奏をお聞きいただきます。ミュンシュは彼が生まれた1891年当時はドイツ領であったストラスブールに生まれましたが、後にフランスに帰化します。最初はライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のヴァイオリン奏者で1932年頃にはコンサートマスターも務めます。また1929年にはパリで指揮者としてデヴューします。1937年にはパリ音楽院管弦楽団の指揮者となり1946年まで勤めました。1949年から1962年まではボストン交響楽団の常任指揮者を勤め、1960年代に入ると活動の中心はフランスへと移り最晩年はパリ管弦楽団の音楽監督になりました。1968年になくなりましたが、パリ管弦楽団を指揮してブラームス交響曲第1番、ベルリオーズの幻想交響曲の名盤を残しているので、同楽団を指揮してロマン派や古典派の交響曲のレコードをたくさん残してほしかったなと思います。
私は今から47年前の4月にミュンシュ指揮パリ管弦楽団の演奏でブラームスの交響曲第1番を聞いて以来のファンですが、ミュンシュはそれまでクラシック音楽をほとんど聞かなかった私にクラシック音楽の素晴らしさを教えてくれたのでした。たまたま1978年4月はじめにFM大阪の土曜日の朝の番組でこの曲を聞いた私はそれまでなかったような感動をして彼が指揮する他の曲も聞いてみたいと思ったのでした。当時はアナログレコードの全盛時代で廉価盤と言われる1,300円くらいのレコードがたくさん出ており、RCAレコードではアメリカの交響楽団のレコードが発売されており、今日聞いていただく3枚のレコードの日本盤も小さなレコード店に置かれてあるのをわくわくした気持ちで購入したのを覚えています。他にはEMIやグラモフォンやデッカの廉価盤もそのレコード店に置かれていました。
ミュンシュの演奏は力のこもった演奏で、ウィーン・フィルやベルリン・フィルのような弦楽合奏の美しさはありませんが、素朴な響きの中で美しい旋律が奏でられると演奏に引き込まれて感動しまた聞きたいという気持ちになるのだと思います。こういったミュンシュ指揮ボストン交響楽団の響きは他のオーケストラでは体験できないものですが、本日はその演奏をさらに音の良いリビング・ステレオで聞いていただこうと思います。
最初に聞いていただくのはメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」です。交響曲第3番「スコットランド」とともに音の風景画家と呼ばれるメンデルスゾーンの魅力一杯の曲です。演奏時間は約27分です。
次に聞いていただくのはシューベルトの交響曲第9番「ザ・グレイト」です。最近は第8番「未完成」を第7番、「ザ・グレイト」を第8番と呼ぶようです(第7番がピアノスケッチしか存在せず、全集で収録されることがほとんどないため)が、ずっと第8番と第9番だったので交響曲第8番「ザ・グレイト」というのはしっくりこない気がします・この曲はブラームスの交響曲第1番とともに私が苦しかった時に励ましてくれた曲で、このレコードを聞くと当時のことを思い出してこれからも頑張ろうという気になります。演奏時間は約44分です。
最後に聞いていただくのはサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」です。全2楽章ですが、それぞれ前半と後半は曲想が違っています。第2楽章の後半部分はオルガンとオーケストラが一体になって曲を盛り上げて行きますが、私は静かな第1楽章の後半部分も好きです。オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団もこの曲の名演を残しています。演奏時間は約35分です。
本日もアンコール曲を用意しました。私がクラシック音楽を聞き始めた当時夢中になった指揮者はたくさんいるのですが、特にストコフスキーが演奏するチャイコフスキー交響曲第5番はよく聞きました。時間の都合で、今日はストコフスキー指揮ロンドン交響楽団でリムスキー=コルサコフ「シェエラザード」の第2楽章を聞いていただきます。
これからもアナログレコードの音質のすばらしさをこの名曲喫茶ヴィオロンの素晴らしいオーディオ装置で皆さんと一緒に楽しみたいと思いますので、今後ともご来店の程よろしくお願いします。