本日はお忙しい中、LPレコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、3ヶ月に一度、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても一般の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。
 今回は「室内楽の至宝 ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団」ということで、前半はハイドンの「日の出」とブラームスのクラリネット五重奏曲、後半はモーツァルトの弦楽四重奏曲第15番とディヴェルティメント第17番をお聴きいただきます。
 ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団はウィーン・コンツェルトハウスという演奏会場にレギュラー出演する四重奏団が1934年にウィーン・コンツェルトハウス四重奏団という名称で結成されたものです。結成当初のメンバーは第1ヴァイオリンがアントン・カンパー、第2ヴァイオリンがカール・マリア・ティッツエ、ヴィオラがエーリッヒ・ヴァイス、チェロがフランツ・クヴァルダで、1967年に解散するまでメンバーの交代がありますが、本日は、結成当初のメンバーで、しかも内容的にも優れていた時期のレコードをお聴きいただきます。
 ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団は、ウィーン情緒豊かな演奏で、1940年代後半から1950年代半ば頃に最も活躍した弦楽四重奏団で、モーツァルトやベートーヴェンの弦楽四重奏曲だけでなく、ウィーン・フィルのメンバー等と組んで演奏したモーツァルトのディヴェルティメント第17番、モーツァルトのクラリネット五重奏曲、シューベルトの弦楽五重奏曲、ブラームスのクラリネット五重奏曲、ブラームスの弦楽六重奏曲第1番などの名演を残しています。本日は特にその中からウィーン情緒豊かな洒脱な演奏をお聴きいただきます。
 まず、お聴きいただくのは、ハイドンの弦楽四重奏曲第78番「日の出」です。ハイドンの弦楽四重奏曲では第77番の「皇帝」が有名ですが、この曲も各楽章が変化に富んでいて旋律もなじみやすく、すばらしい曲だと思います。第1楽章の出だしが日の出を連想させることから「日の出」というタイトルがつけられています。ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の演奏は、明るい「日の出」を暗示させてくれる演奏です。演奏時間は約24分です。
 次にお聴きいただくのは、レオポルド・ウラッハとの共演で、ブラームスのクラリネット五重奏曲です。第2回でウラッハの特集をしその時にモーツァルトのクラリネット五重奏曲をお聴きいただきました。ブラームスの演奏なのに少し明るすぎるかもしれません
が、クラリネットと弦楽器の音がうまく調和しているすばらしい演奏だと思います。演奏時間は約38分です。
 ここで10分間休憩をいただきます。
 後半は、モーツァルトの作品をお聴きいただきます。まずお聴きいただきますのは、弦楽四重奏曲第15番です。短調の曲で特にこの曲は重苦しい旋律が多く、モーツァルトらしくないと感じられるかもしれませんが、ところどころで見られる美しく明るい旋律は重苦しい旋律の中で際立ちより心に残るように思います。ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の演奏は、ウィーン情緒豊かで洒脱でさらにこの曲を魅力あるものにしているように思います。今日は、その第1楽章をお聴きいただきます。演奏時間は約8分です。
 プログラム最後の曲は、モーツァルトのディヴェルティメント第17番です。この曲は、オーケストラで演奏されることが多いのですが、今日お聴きいただくレコードでは、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団とコントラバス1、ホルン2の編成で演奏が行われています。小編成のため、各パートが個性豊かに演奏しているのがよくわかり、より楽しく喜びに満ちた演奏になっています。ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団は、他に「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」をコントラバスと共に演奏したものがあります。コントラバスはヨーゼフ・ヘルマン、ホルンはハンス・ベルガーとオトマール・ベルガーです。演奏時間は約48分です。
 コンサートの最後にアンコール曲を用意しました。リヒャルト・シュトラウスのホルン協奏曲第1番です。演奏はホルンがデニス・ブレイン、ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮フィルハーモニア管弦楽団です。演奏時間は約15分です。
 本日は、長時間に渡り、LPレコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。今後とも、このレコードコンサートをご愛顧いただきますよう、よろしくお願いします。また、プログラムの一番下にあります、私のホームページも是非ご覧下さい。よろしくお願いします。