本日はお忙しいところ、LPレコードコンサートにお越しいただきありがとうございます。

本日は80回目となりますが、イギリスの指揮者レオポルド・ストコフスキーがイギリスのオーケストラを指揮したレコードを聞いていただきます。ストコフスキーは1882年ロンドンに生まれます。オックスフォード大学を卒業後、王立音楽大学で作曲、オルガン、指揮法を学びます。ドイツ、フランスに留学後、1903年にロンドンで教会のオルガン奏者として、1905年アメリカでも教会オルガン奏者として音楽活動を開始しますが、1909年にはパリとロンドンで指揮者としてデヴューします。1912年からはフィラデルフィア管弦楽団の常任指揮者となりアメリカへと活躍の場を移していきます。ストコフスキーは1940年までフィラデルフィア管弦楽団までフィラデルフィア管弦楽団に在籍し世界一流のオーケストラにします。それだけでなく、「オーケストラの少女」「ファンタジア」「カーネギーホール」に出演してクラシック音楽を身近なものにしクラシック音楽の愛好家を増やしていきます。私も「オーケストラの少女」のストコフスキーの指揮と演技を見て親近感を持ち、もっとストコフスキーのレコードを聞きたいと思ったものでした。「オーケストラの少女」は大阪人としては色々ツッコミをいれたくなる映画ではありますが、ストコフスキーの優しい人柄に接してクラシック音楽を身近にしたいと思われる方にはお勧めしたい映画です。ストコフスキーは戦後アメリカからイギリスへと活躍の場を移し、デッカレコードにいくつかの名盤を残します。本日聞いていただくレコードの他、デッカレコードではありませんが、ラフマニノフと共演した彼のピアノ協奏曲第2番、ホルストの組曲「惑星」、シェーンベルクの「浄められた夜」も名盤と言われています。ストコフスキーは90才を過ぎても積極的に活動しましたが、1977年95才で亡くなります。

最初に聞いていただくのは、ストコフスキーの代名詞とも言えるチャイコフスキーの交響曲第5番です。ストコフスキーはこの曲を3度録音したと言われますが、今日聞いていただく演奏が演奏内容、音質共に秀でていると思います。「オーケストラの少女」「カーネギーホール」でもこの曲を指揮するシーンが見られます。演奏時間は約50分です。

次に聞いていただくのはワーグナー楽劇「ラインの黄金」から「ワルハラ城への入場」と「神々のたそがれ」から「夜明けとジークフリートのラインへ旅」です。「ニーベルングの指輪」は上演に16時間以上かかる楽劇です。「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々のたそがれ」に分けられ4夜にわたって上演されます。「ワルキューレの騎行」など「ニーベルングの指輪」の中の名場面を管弦楽曲として演奏されますが、その中の2曲をお聞きいただきます。演奏時間は約20分です。

最後に聞いていただくのはリムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」です。アンセルメやカラヤンの名盤がありますが、ストコフスキーは音の魔術師らしい創意工夫で曲を盛り上げて行きます。私はストコフスキーのレコードが一番だと思うのですが、あまり聞かれていないのは残念です。演奏時間は46分です。

本日もアンコール曲を用意しました。「オーケストラの少女」の中でヒロイン役のディアナ・ダービンが父親を雇ってもらおうとストコフスキーが練習しているホールに侵入する場面がありますが、そこでオーケストラが演奏していた曲がワーグナーの「ローエングリン」の第3幕への前奏曲です。ワーグナーの曲を掛けたので別の指揮者の別の演奏も聞いていただこうと思いました。演奏はラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団です。

今日はもう一つアンコール曲を用意しました。私がクラシック音楽を聴き始めたのは今から47年前で19才の頃ですが、その頃日曜日の午後10時20分からNHKFMで江守徹さんの語りの「夜の停車駅」という番組がありました。江守さんの語りの間にクラシックの曲が流れる少し暗い番組でしたが、私には心地よくて心に沁みたのでよく聴いたものでした。その番組の初めにかかるテーマ曲がアンナ・モッフォのソプラノ独唱 ストコフスキー指揮アメリカ交響楽団が伴奏したラフマニノフの「ヴォカリーズ」でした。その曲を最後に聞いていただこうと思います。

これからもアナログレコードの音質の素晴らしさをこの名曲喫茶ヴィオロンの素晴らしいオーディオ装置で皆さんと一緒に楽しみたいと思いますので、今後ともご来店の程よろしくお願いします。