本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても一般の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。
今回は、「音の魔術師、レオポルド・ストコフスキー」ということで、ストコフスキーの色彩豊かな音楽を堪能していただこうと思っています。
レオポルド・ストコフスキーは、1882年にロンドンで生まれ、1977年イギリスのハンプシャー州ネザーワロップで没した指揮者です。最初オルガニストを志しましたが、オルガニストとして渡米後、指揮者としても活躍するようになります。1912年には、音楽監督として1936年まで4半世紀にわたり、フィラデルフィア管弦楽団の黄金時代を築きます。1937年にはユニヴァーサル映画「オーケストラの少女」に出演し、クラシック音楽の普及に大きな貢献をしました。この映画の中で主演女優と共演した、モーツァルト「踊れ、喜べ、汝幸いな魂よ」の第3章「アレルヤ」やリスト「ハンガリー狂詩曲第2番」を指揮する場面は映画の中で特に印象に残るものとなっています。その後いくつかのアメリカのオーケストラを率いましたが、1960年代後半になってからはイギリスに本拠地を移し、1977年に95才で他界するまで多くの印象に残る演奏を録音しました。本日は、ストコフスキーの残した印象深い演奏のいくつかをお聴きいただきます。
まず、お聴きいただくのは、スメタナの交響詩「モルダウ」です。連作交響詩「わが祖国」の2番目の曲です。「わが祖国」は6つの交響詩で構成されていますが、他に1曲目の「高い城」や4曲目「ボヘミヤの森と草原より」も美しい旋律に満ちたすばらしい曲です。「わが祖国」には、ターリッヒ指揮チェコ・フィルの心に残る名演もあります。「モルダウ」に続きまして、リストの「ハンガリー狂詩曲第2番」をお聴きいただきます。私の住む関西では、運動会のリレーのときによく流れるのですが、こちらではどうでしょうか。オーケストラの団員が螺旋階段に陣取り演奏を始めるとストコフスキーが驚いて姿を表し、そのあとは使命感からか指揮を始める「オーケストラの少女」の一場面を思い浮かべられる方もおられるのではないでしょうか。指揮はストコフスキー、共にオーケストラはRCAビクター交響楽団。演奏時間は「モルダウ」が約12分、「ハンガリー狂詩曲第2番」が約9分です。
次にお聴きいただくのは、シェーンベルクの「浄められた夜」です。シェーンベルクは最初、後期ロマン派と同様の作風でいくつか作品を残して居ますが、この曲はその中の代表的な曲と言えます。その後、シェーンベルクは無調、十二音音楽へと作風を変えて行きました。「浄められた夜」はドイツの詩人、デーメルの詩にもとづいて作曲された標題音楽です。女性の心の動きを弦楽合奏の繊細な音で表現した美しい曲です。指揮はストコフスキー。演奏は、彼の交響楽団。演奏時間は、約28分です。
ここで10分間の休憩をいただきます。
後半は、ロシアの作曲家の作品を2曲お聴きいただきます。まず、作曲家自身がストコフスキーと共演した、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番です。ラフマニノフは、ピアノ演奏家としても活躍し、レコードもいくつか残しています。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の名演として、リヒテルの演奏がまず思い浮かびますが、それに劣らずダイナミックで歌にあふれた演奏です。演奏時間は、約31分です。
プログラム最後の曲は、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」です。アラビアン・ナイトから材料をとり、リムスキー=コルサコフが作曲した曲で、それぞれの楽章にタイトルがつけられています。この曲を鑑賞するときに役立つと思いますので、紹介させていただきます。「海とシンドバッドの船」「カレンダー王子の物語」「若き王子を王女」「バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終局」の4つの楽章で構成されています。ストコフスキーの極彩色のオーケストレーションは色彩に富んだこの曲をさらに魅力のあるものにしています。演奏時間は、約46分です。
コンサートの最後に、アンコール曲を用意致しました。シベリウス作曲、交響詩「フィンランディア」です。ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏で、今日は合唱の入った演奏でお聞きいただきます。演奏時間は、約8分です。
本日は、長時間にわたるレコードコンサートにおつき合いいただき、ありがとうございました。今後とも、このレコードコンサートをご愛顧いただきますよう、よろしくお願いいたします。また、プログラムの一番下にありますように、私のホームページも、是非ご覧下さい。よろしくお願いします。