本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても一般の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。
今回は、「巨匠ブルーノ・ワルターの名演」ということで、ワルターが指揮した名演をお聴きいただきます。録音の時期はいずれも最晩年の1958年〜61年の頃のもので、ワルターの晩年の円熟した演奏をお聴きいただきます。
ブルーノ・ワルターは、1876年ドイツのベルリンに生まれ、1962年ニューヨークで没しました。幼少の折から、ピアノの演奏に秀で、9才の時に、シュテルン音学院に入学します。その後、ハンス・フォン・ビューローの指揮する音楽に感銘を受け、指揮者を志します。当時、ワーグナーの音楽に共鳴する音楽家が多く、ワルターも大きな影響を受けました。そのためか1893年ケルン歌劇場で補助指揮者として音楽活動を始めています。1907年には、マーラーの紹介でウィーン・フィル指揮しています。1939年渡米後は、ニューヨーク・フィル、コロンビア交響楽団を指揮しています。
ワルターは、ベートーヴェン、ブラームス、モーツァルト、シューベルトの曲を指揮した中に名演が多いのですが、マーラーやブルックナーの曲にもいくつか名演があります。本日のプログラムにある「新世界交響曲」は、ドイツ音楽の指揮が中心であったワルターにとって、非常にめずらしいものと言えますが、私自身が非常な名演であると考えましたので、あえて本日お聴きいただくことにしました。
まずお聴きいただくのは、ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」です。ワルターは、ブルックナーではこの他、第9番が名演と言われていますが、この第4番第1楽章の雄大さは、彼のブルックナーを指揮したものの中で最もすぐれたものと言えます。オーケストラはコロンビア交響楽団、演奏時間は、約19分です。
次にお聴きいただくのは、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」です。私が通っていた、吹田市立山手小学校では、この曲の第2楽章が下校音楽になっており、平日は午後4時半頃、土曜日は午後1時半頃全校に流れていました。下校音楽は、他にマスネのタイスの瞑想曲等もつかわれているようです。それはさておき、この曲は、日本人に人気があり、名演もたくさんあります。第2楽章があまりに有名なため、他の楽章を聴かない人もいます。実は私も最初の頃は、この曲の荒々しい部分がどうしても好きになれなかったのですが、このワルター盤のティンパニーの演奏に魅せられ、全体が好きになり、終楽章が最も好きになりました。オーケストラは、コロンビア交響楽団、演奏時間は、約42分です。
ここで10分間休憩をいただきます。
後半は、シューベルトとブラームスをお聴きいただきます。まずお聴きいただきますのは、シューベルトの交響曲第8番「未完成」です。戦前(1933年)の映画に「未完成交響楽」という映画があり、その映画では「わが恋の終わらざるごとく、この曲も終わらざるベし」としており、4楽章の完成された交響曲とならなかったのは、シューベルトが恋に破れたためとなっています。「未完成交響楽」はシューベルトの曲に満ちた佳作ですので、是非一度見ていただければと思います。オーケストラは、ニューヨーク・フィル、演奏時間は、約25分です。
プログラム最後の曲は、ブラームスの交響曲第4番です。ブラームスは交響曲を4曲作曲しており、どの曲も骨組みのしっかりした建築物を思わせる熟練した作曲技法を堪能できる作品ですが、特にこの曲は、晩年のブラームスの孤高な心境が感じ取られて胸を打たれる作品です。そんな作品を、80才を過ぎたワルターが心をこめて指揮し、心にしみる感動的なものにしています。今から7年前に私は、SOUND PALという雑誌の1997年2月号のヴィオロンの記事を見て初めてこの店を訪れました。その際、リクエストしたのがこの曲です。その時の音がすばらしかったので、何度も来店するようになり、本日のようにコンサートをするまでになりました。オーケストラは、コロンビア交響楽団、演奏時間は、約42分です。
コンサートの最後にアンコール曲を用意しました。プログラムの下のところにありますように、私はホームページをしています。相互リンクもしていますが、本日はその中の1つシリウスをされているakeさんが来店されており、その方からのリクエスト曲をアンコール曲としておかけします。名演ですのでお楽しみいただけると思います。ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番で演奏はオイストラフのヴァイオリン独奏、オーケストラはマタチッチ指揮ロンドン交響楽団です。演奏時間は約24分です。
本日は、長時間にわたり、LPレコードコンサートにおつき合いいただきありがとうございました。今後とも、このレコードコンサートをご愛顧いただきますようよろしくお願いします。また、プログラムの一番下にあります、私のホームページも是非ご覧下さい。よろしくお願いします。