京都五山の送り火探訪 2年目

                                           

私は京都市民ではありませんが、以前からこの伝統行事に興味がありました。それでも午後8時に開始(点灯)され1時間程で終わり、撮影スポットは込み合うということで、写真が趣味の私も五山の送り火を撮影することを考えたことはありませんでした。しかし昨年、父が他界し、帰って来ていた亡くなった人の霊を見送るこの伝統行事が身近に感じられるようになり、初めて8月16日の夕刻に京都へと出掛けたのでした。

残念ながら、当日は豪雨でしたが、五山の送り火は雨天決行されました。それでもし山肌に灯る大文字が朧げにでも見られたなら、雨の中、来た甲斐があったということになったのですが、ガスが厚く大文字山を取り巻いていたためか、全くその灯りを見ることができずに、意気消沈して家路についたのでした。

それでも次の年のために何かを残そうと思い、五山の送り火から3日経過した8月19日の昼間に五山の送り火の撮影スポットを辿ったのでした。その日は天気も良く、晴れ渡った空のもと、点灯されていない五山を見て回ったのですが、地上から見上げる形ですべてを撮影しようとするとタクシーを使ったとしても、2、3時間はかかるのではないかと思いました。五山の送り火は午後8時にまず大文字に点火され、8時5分に妙法、8時10分に舟形、8時15分に左大文字、8時20分に鳥居形に点火され、40分程で全てが終わるのですから、一度ですべてを見ようというのは、まず不可能なことと考えたのでした。それで1年ですべてを撮り終えるのではなく、何年かかけて五山の送り火を撮影しようと思ったのでした。

そういうことで、昨年は阪急河原町駅で下車して、鴨川河岸を今出川通まで北上し、加茂大橋の西側で大文字の点灯を待ったのですが、果たせず雨の中ずぶ濡れになって、地下鉄今出川駅に辿り着いたのでした。今年は京都在住の昔からの友人が一緒で、ゆとりを持って五山の送り火を見ることができました。

どこでということは京都市内某所(建物の屋上)とだけ言っておきますが、天気も良く、前日の雨で大気中の湿気も取り払われたようで、「大」「妙法」「舟形」「大(左大文字)」が夜空にくっきりと浮かび上がっていました。私はその素晴らしい眺めを撮ろうとズームレンズ(24〜120mm)がついたニコンD90のシャッターを押し続けました。

5枚ほど撮ってはモニター画面を見るという感じで撮影を続けましたが、三脚を使わず手撮りだったので、76枚のうちの1枚だけがほとんどブレのない写真という成果でした(大文字が撮れたので満足しています)。それでもいろいろ工夫はしました。柵の上に肘を乗せたり、脇を固めて撮ってみましたが、3〜5秒動かないというのは難しいようでした。

友人は、建物自体が揺れていてぶれるのかもしれないが、露出を開放近くにして、シャッタースピードをもう少し短くすれば、手振れも改善されるのではないかとの意見でした。私は、このカメラを購入して以来、そういった細かいことを考えずにシャッターを押してきたので、すぐに対応することはできませんでした。次回までにマニュアルを読んで勉強しておこうと思います。

「妙法」「大文字」「舟形」「左大文字」の順で、送り火は消えていきましたが、「左大文字」が消えてしまわないうちに撮影スポットを後にしました。

昨年はひとりで黙々と撮影に臨み、五山の送り火の写真は1枚も撮れなかったのですが、今年は友人に協力してもらったおかげで、よい写真が1枚撮れました。何より友人と楽しい会話ができてよかったと思っています。夜間の撮影は難しいのですが、来年以降もこの京都の伝統行事を撮り続けたいと思っています。

なお次回は、地上から、「妙」「法」を狙ってみたいと思っています