京都五山の送り火探訪 4年目

   

私の京都五山の送り火探訪も4回目となりました。昨年のこの探訪報告の中で宝ヶ池自動車教習所で「妙」と「舟形」を撮ってみたいと記しましたが、それよりも一昨年に京都市内某所(建物の屋上)で撮った際に反省点がたくさんあり、もう一度同じ場所で撮影したいと思いました。

そこで一昨年もお世話になった、24年近くおつき合いのある友人に無理を言って案内をしてもらいました。その友人とは最初の頃はよく河原町の居酒屋で杯を傾けたものでしたが、お互い仕事が忙しくなって、一時は直接対面して話をすることがなくなりました。ここ数年は1年に1、2回会いますが、とても忙しくされているので、この送り火の時に会うか、年末に会うかになります。久しぶりに会うのでと言われ、居酒屋の予約を取ってくださったのですが、仕事を終えてその友人と会ったのが、午後6時50分頃でした(遅くなったのには私の待ち合わせ場所の思い込みがありました)。居酒屋に入ったのが、7時頃で、場所取りをしないといけないので、7時30分には店を出ようということになりました。話が弾み、料理も美味しかったので、このまま2時間程酒を酌み交わしてもいいかなと思ったのですが、今度こそきちんと写真を撮ろうという変な使命感があり、友人も名残惜しそうでしたが、店をあとにしたのでした(今から考えると、もう30分位、楽しい時をそこで過ごしてもよかったかなと思います)。

一昨年の時は、ニコンD90に24〜120ミリのズームレンズをつけて撮影したのですが、手持ち撮影だったためほとんどの写真が手ブレ写真でした。その反省から、今回は三脚を用意しました。さらにニコンD90がうまく作動しなくなった場合を考えて、もう1台ライカM9に90ミリのレンズをつけて撮影することにしました。8月8日と10日に花火大会に行き、うまく撮れたので、夜の撮影にはにわかな自信がありました。M9をメインにして、D90は友人に使い方を教えて、好きなだけ撮ってもらい、たまに私がD90で写真を撮ろうと考えていました。仕事帰りなので、なるべくコンパクトな機材と考え、脚が15センチくらいのミニ三脚をD90に取り付け、伸ばすと足が80センチほど伸びる携帯用の三脚をM9に取り付けました。
りの写真が撮れるのですが、D90の扱いには苦労しています。突然、バッテリーがなくなったり、シャッターが切れなくなったり。分厚いマニュアルを通読すればわかるのかもしれませんが、シャッタスピードをAに合わせて、ひたすらシャッターボタンを押すのみです。M9については、花火の撮影が上手く行ったので、自信過剰なほどでした。こちらもシャッタースピードをAに合わせてレリーズを押すことしか考えませんでした。設定をきちんとして(実際は穴だらけでした)三脚で撮れば、思うように、「大文字」「妙」「法」「舟形」「左大文字」が撮影できると思って、撮影に臨んだのでした。

7時45分頃に場所取りができたので、テスト撮影をまずD90からしてみましたが、三脚で固定しているのに画面が揺れます。またうまくシャッターが切れないことがあります。そこで今度はM9で試してみましたが、露出オーバーの写真ばかりでまともな写真が撮れません。絞り値が高い(絞り込んでいた)ので、具合が悪くなっているのかなと思った私は絞りを開放にして撮ってみましたが、やはり露出時間が長く露出オーバーの写真しか撮れません。大文字はすでに点灯されており、「妙」も「法」も点灯されました。

隣にいる友人は、心配そうに私の様子を見ていましたが、光が振動している写真を見て、三脚に問題があるのではと言いました。露出決定もできず、写った写真は手ブレのままということで私はパニックになってしまいました...。

その後、場所を3メートルほど左手にずらしたり、D90に携帯用三脚をつけたりしました。左にずらしてたくさん写真を撮りましたが、そのうちのひとつが今回掲載できた唯一の写真です。どのようにして撮影したか覚えていませんが、この写真だけほとんど手ブレがなく適正露光なのです。D90に携帯用三脚を付けるとD90の重みで三脚は傾きました。この携帯用三脚はM9に取り付け、うまく花火を撮影できたのですが、D90では使用できないことがわかりました。友人はD90にミニ三脚を取り付けて、下(床)に置きかがみこんで撮ってみてはと言ったので、その通りにしてみましたが、やはりうまくいきません。「妙」「法」が消えたので、船形、左大文字を撮りましたが、やはりシャッターが切れなかったり、撮れても手ブレ写真でした。友人は何とかシャープな写真を撮って、と励ましてくれましたが、残念ながら、収獲はほとんどなしという結果に終わりました。

左大文字の光が薄くなる頃に機材を片づけ始めましたが、友人は無言でした。私は、ここでの撮影は難しい。充分準備したが、うまく行かなかった。せっかく時間を取っていただいたのに、申し訳ない。もしもう一度来るとしたら、シャープでブレのない写真が撮れるという確信を得てからにしますと言いました。

夜間の撮影は極めて難しい。それは太陽光だけでなくいろいろな灯りがあるから、暗くてカメラ本体やレンズの目盛が見づらいから、露光時間が長くなり三脚を付けての撮影になるから、人が集まることが多く雑踏の中での撮影になることが多いから、それになにより慣れない状況での撮影で機材も多くなるから。もし1枚でもシャープな写真が撮れたら、あとに続いたのかもしれませんが、今回はうまくいきませんでした。再々チャレンジは機会があればするとして、次回は新たな場所で撮影してみたいと思います。