京都五山の送り火探訪 2024年10月5日下見

2016年4月に父親が亡くなり、これからも何か父親との繋がりを保っていたいという気持ちから私の京都五山の送り火探訪は始まったのでした。最初の年は豪雨で大文字山の送り火を見ることは出来ませんでしたが、家に帰ってニュースを見ると雨は降っていたが五山の送り火は実施されたとのことでした。私はそれを聞いてがっかりしたものでしたが、毎年行われる行事なので毎年参加していればいいことがあるかもしれないと思って気を取り直して、それから直近の休日のお昼に送り火の山々を訪ねて歩きました。そうして2017年と2019年は友人が住むマンションの屋上から送り火を拝み、2016年は妙法の両方を一度に撮影しようと奮闘したのでした。2020年も2021年も五山の送り火を見る予定にしていましたが、規模が縮小(火床を大幅に減らして実施)されて開催されるということだったのでどうせならきちんと形のある送り火を見ようと京都には行きませんでした。2022年には元通りの形で五山の送り火が実施されるようになり、私は今まで見たことがなかった鳥居形(友人のマンションから鳥居形は見えませんでした)を見てできれば写真を撮ることにしました。松尾大社駅を降りてすぐの桂川にかかる橋の上から撮るか、嵐山の渡月橋の際から撮るか迷いましたが、鳥居形からの距離が近く賑やかだろうと思って渡月橋の近くで撮影に臨みました。しかしなぜか露出計が働かずしかもシャッターが切られず撮影を断念したのでした。また2023年は8月2日にコロナに感染し体力が回復せず五山の送り火の撮影を断念したのでした。
2年連続して撮影がうまく行かなかった私は、渡月橋からの鳥居形の撮影がうまく行かなかったのはきっと遠方に被写体があったのでカメラで露出が計れなかったのだろうと考え、すぐ近くで撮影できる五山の送り火を撮影してみようと考えたのでした。そうして今年は体調も天気も良かったので、被写体の近くでの撮影も簡単に出来そうな、宝が池自動車教習所の向こうにある妙法の「妙」だけを撮影することにしたのです(「妙」と「法」はともに午後8時5分に天下され20分ほどで見られなくなるので両方を一度に撮影するのはまず無理です)。宝が池自動車教習所は解放されて自由に出入りできるので、2、30分前に行って場所取りさせすれば三脚を立てての撮影も可能でした。私は1時間前に行って点灯を待ちました。この方法が功を奏して満足できる写真が撮れました。それで他の五山の送り火の撮影スポットも調べておこうと昼間涼しくなるのを待っていましたが、最高気温30度以上の日々が続きました。そうしてようやく10月5日は30度以上にはならないと聞いて、すべての撮影スポットを探しに行くことにしました。

最初は一昨年撮影に失敗して気を挫かれた鳥居形の撮影スポットを探しました。アクセスの下調べをして大覚寺まで91番の市バスで行き、そこから化野念仏寺まで広い道を歩いて行けば鳥居形の撮影スポットが見つかると考えました。大覚寺のバス停から化野念仏寺のある方向へ7、8分歩きましたが鳥居形は見つからずどうしようかと思いましたが、住宅地で女性が花壇の手入れをされていたので鳥居形はどちらでしょうかと尋ねました。女性は親切に教えて下さり、五山の送り火の時はたくさんの方が来られるんですよと言われました。女性は鳥居形が点火される山を示されましたが、そこからしばらく歩くとよく見えるようになりました。
 

最寄りのバス停は京都バス護法堂弁天前で1時間に1本ですが35分のバスに乗ることができました。阪急嵐山まで行き、次の目的地舟形に向いました。



舟形は上賀茂神社の近くで撮影できるので、阪急電車で烏丸まで行き(四条大宮でもよかったのですが)46番のバスに乗りました。来年の五山の送り火で撮影しようと考えている舟形は2016年の下見の時にも近辺を歩き回りました。上賀茂神社に一番近い御園橋の北側(御園橋からはなぜか舟形はきれいに見えません)にまず行きました。



もう少し北まで行きましたが、草だらけで賀茂川が見えなくなってしまっていたので今度は御園橋の南に行くことにしました。その前に取り敢えず御園橋からも一枚撮影しました。うまい具合に自転車が3台やって来ていい感じで撮れました。



前の下見の時にはわからなかったのですが、上賀茂橋からは舟形が綺麗に見えるだけでなく大文字もきれいに見られます。

 

それで大文字の撮影スポットも探しておこうと思いましたが、徒歩で30分のところに北山通りがあるので、先に「妙」の撮影スポットである宝が池自動車教習所に行ってから、「法」の撮影スポットを探すことにしました。宝が池自動車教習所からしばらく行くと松ヶ崎大黒天のバス停がありました。そうしてしばらく歩くと駐車場の向こうに大黒天の鳥居がありその向こうに「法」がありました。

 

残るは左大文字だけですが、まだ午後4時前だったので、大文字山の撮影スポットも調べておこうと思いました。出町柳近くの賀茂川の西側が撮影スポットですが、ここはたくさんの人が集まるので三脚を立てて撮影はできません(もちろんスローシャッターになるので三脚は取り付けなければブレてしまいます)。ただそう思ったのは、雨の中、いつまで経っても現れない「大」を待っている時に思ったことなので、晴れの日であれば撮影する場所が見つかったかもしれません。2016年8月16日は悪天候のため、賀茂大橋の下でぎゅうぎゅう詰めになって点灯を待ったのです。その後、今出川通を百万遍まで歩くことが何度かあり、望遠レンズ(エルマー90ミリ)を使えばいい写真が撮れそうな気がしました。今回は広角レンズ(ズミクロン35ミリ)だけで撮影しましたが、送り火は望遠レンズでも撮ってみたいと思いました。



百万遍まで行った時はいつも伝丸で北海道ラーメンを食べるので、食べてから206番のバスで金閣寺道に向いました。北大路バスターミナルが終点で乗り換えに時間がかかったので金閣寺道に着いたのは午後5時過ぎでした。予定通りに西大路通を挟んでカトリック衣笠教会の向こうにある大文字を見ましたが、やはりここが大きく「大」が見えるベストの撮影スポットです。そこから金閣寺の前を通って立命館大学前まで歩きましたが、建物の陰に隠れて左大文字は見られませんでした。



急いで歩いたので、立命館大学前午後5時41分のバスに乗ることが出来ました。1100円の一日乗車券を初めて利用しましたが、合計6回利用しましたし長距離乗車したので充分元は取れたと思っています。

私は来年4月で66才になります。「妙」は今年撮りましたから、来年舟形を撮って、その後、鳥居形、左大文字、「法」を撮って大文字山の送り火を撮影して締めくくりたいのですが、いろいろ予期せぬことがあり伸びることもあります。でも予期せぬ出来事があったり満足しない(遠くから写したいとか)としても、それで楽しいことやいいことが期待できるなら大歓迎です。