プチ小説「インパチェンスの花が咲く頃に 2」

「ねえねえ、お母さん、今年もインパチェンスの花が咲いてとてもうれしいわ。去年の倍以上の数の花が咲いているんじゃないかしら」
「そうねえ、今年は去年よりもずっと多いわね」
「私、インパチェンスの花が大好き。だって赤、ピンク、紫、白、オレンジとか、いろんな色の花があるんだもの」
「そう、お母さんも花の色がいろいろあるからこの花が好きよ」
「それにとっても元気な花だから」
「いっぱい咲くし、今年は11月の半ばになってもこんなにたくさん咲いているわね」
「毎年、秋になるとインパチェンスから元気をもらっている感じだわ」
「そうなの、そんなに気に入ってくれたら、お母さんも育てる甲斐があるわ」
「もう少ししたら、インパチェンスは枯れてしまうけれど、12月になったらまたチューリップの球根を植えるの」
「そうよ、おかあさん、明るくて、いろいろな色の花が咲くからチューリップも大好きなの」
「でも...」
「でも何」
「私、他の花も見たいわ」
「どんな花が見たいの」
「私が小さい頃にプランターで栽培していたサクラソウを最近は見ないし」
「そうね、最近は栽培していないわね」
「近所のお家でいろんな花を栽培しているけど、私は朝顔や桔梗が好きかな」
「そうだ、あなたがそんなにお花が好きなら、来週にでも植物園に行きましょうか」
「わーっ、小学校の遠足で行ったことあるけれど、お母さんと一緒に行って、いろんなお花を見て回るのはもっと楽しいでしょうね」
「そう、来週なら大丈夫よ」
「今の季節はどんな花が見られるの」
「そうねえ、この前、どこかでアオイが咲いているのを見たけど、今はどうかしら。コスモスは10月くらいまでかな。今は落ち葉やドングリを拾うくらいかな」
「イチョウや紅葉の葉っぱね」
「お花を摘むことは禁止されているけれど、葉っぱやドングリなら少しなら大丈夫よ」
「そうなの、イチョウや紅葉の葉っぱを探すのも楽しそうね。でも...でもやっぱり、植物園は春にチューリップやヒヤシンスを見る方がいいかな」
「そうだわ、確かに」
「だからお母さん、春には必ず連れて行って、そうして植物園の中を走り回るの」
「わかったわ、わたしもその日が来るまで楽しみに待っているわ」