プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 やりたいことがいっぱい編」

わしは60超えたら少しは自由に使える小銭ができて時間にゆとりができると思っとたんやが、どうもそんな余裕はできそうもない。そやからせいぜい頭の中であーでもない、こーでもないと考えて、暇な時を過ごそうと考えた。ほんでー、とりあえずは、「70才までに行っておきたい、日本の観光名所」を今回は考えてみることにしたんや。20個言うて、その中の1つでも叶ったら、夢が叶ったということになるけど、こんな欲のないことを言うわしはホンマにお人好しやと思うわ。まず北からいこか。北海道やったら、やっぱり大雪山は行っておきたい。もちろんタイガーマスクのように特訓するわけやないで、夏に出来る限り大雪山系のあちこち回りたいんや。函館の夜景を撮影したいというのも叶えたいなぁ。函館には2回行ったけどもういっぺん函館の朝市で何か食いたいなぁ。札幌でジンギスカン、小樽でお寿司も食いたいなぁ。食うことばかり言うてたら、切りないから止めとこ。それでも1回行ったところはもう一回行ってみたいと思うんは誰もが思うんとちゃうんか。ほやから、わしは青森市と奥入瀬はもういっぺん行きたい。ほやはもうええけど、青森も美味しい新鮮な海産物が食べられる。わしが今一番行きたいのは、岩手県なんやけど、ここは大阪の何倍もの(約8倍)の広さやから、どこに行ったらええかホンマに迷うわ。まずは盛岡市内をぐるぐる回って、遠野や花巻に行ってみたい。秋田も興味があるけど、どこに行ったらええのかな。ネコバリ岩なんか面白そうやけど、目的地に着くまで半日かかるんとちゃうやろか。宮城県も山形県もいっぺん行ったことのある。2回目ちゅーたら、仙台、山形、石寺ということになるけど、どうしても行きたいという程でもないかな。それより新潟県は、いろいろ行きたいところがある。どこに行ったらええかは後で考えるとして、佐渡島もあるしこの魅力がある地域をあちこち旅したいもんや。同じことが長野県や岐阜県にも言えるけど、北アルプス登山なんかはもうでけんやろな。そう思うたら、涙がこぼれるけど、まあ無理をして人に迷惑を掛けるんはあかんわな。それにわしが行った槍・穂高のコースは整備されていて、登山客のマナーが良かったから安心して登れたけんど、それがどこの山でも大丈夫なんかなぁ。富山県にある立山は山頂まで登ったけど、浦堂辺りをぶらぶらするつもりやったんが時間があったんで、結局、革靴で頂上まで登ったんやった。ずっとガスが出てて、写真が全然撮られんかった。ここやったらわしが70才になっても登れると思うから、もういっぺん頂上まで行ってみたいと思うわ。日本の上半分はこのくらいやろかな。後は別の機会に譲るとして、船場は昨年、日帰りで甲府市内をぶらぶらしたと言うとった。あいつも旅行に飢えとるみたいやけど、ホンマのところは、LPレコードコンサートを再開できて、東京をぶらぶらするのが一番したいみたいや。年末にレコード棚を整理した言うとったから、これからのプログラムを考えたんとちゃうやろか。訊いてみたろ。おーい、船場ーっ。おるかー。はいはい、にいさん、まだ60才を超えたところなのにLPレコードコンサートのことまで考えてくれるなんて、まるでぼくのマネージャーみたいだね。そら、あんた、NHKが金曜日の晩にやっとるバラエティー番組でよく聞くフレーズやないか。年末年始に何回も見たんで、つい口から出てしまいました。LPレコードコンサートは2019年12月のイツァーク・パールマン特集を最後として中断しています。今まではある演奏家を取り上げて、その人の特集で4、5枚アナログレコードを聴いていただくというものでしたが、再開後は、音の良いレコードを聴いていただくことを最優先にしようと思っています。そやけんど、次の第72回はカラヤン特集やんか。そうです、もちろんしばらくはある演奏家の特集やある作曲家の特集なんかで行こうと思いますが、せっかくプレミアム盤を購入したのになかなか特集が組めなくてあぶれているレコードがいくつかあるんです。それを聴いていただきたいと思っているのです。プレミアム盤というと、デッカとかEMIのか。そう大デッカ、小デッカと呼ばれる、SXLで始まるレコード番号のレコードやEMI盤のASDで始まる番号のレコードです。それからぼくは一時ウエストミンスター盤を集めていた時がありますから、ウエストミンスター盤であぶれたプレミアム盤を聴いていただこうかと思っています。そんないかがわしいことをして何とか100回に辿り着きたいんやな。まあ、地道にやれればよいのですが、なにせ東京で中古レコードを購入する機会がないので、今持っているレコードでプログラムを作るしかないんです。名曲喫茶ヴィオロンのマスターがLPレコードコンサートを始めるにあたり、出された条件はプログラムを作成することと解説をすることです。それをやっている限り問題は起こらないと思います。年賀状にも「今年こそはLPレコードコンサートできると良いですね」と書かれてあるので、マスターも再開を望んでおられると思います。ところでどんなんをお前は考えとるんや。今のところは、カラヤン特集を何回かすること、ウエストミンスター盤の特集を何回かすることくらいしかないですね。やはり3枚まではなんとかなるんですが、特集を組むにはあと1枚足りないということが多いんです。ずっと続けて開催している時にはこういうことは起きなかったんです。そやけどカルロス・クライバーやオペラのレコードで組めそうやけどなぁ。カルロス・クライバーは、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスの交響曲で1回はできますが、レコードが薄っぺらで、演奏も好きじゃないので他に出すものがあれば出しません。彼のオペラ、ヴェルディ「椿姫」、ウェーバー「魔弾の射手」、J.シュトラウスⅡ世「こうもり」、ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」なんかも人気がありますが、レコードがぺらっとしていてコンサートで掛けたいと思わないんです。カール・ベームの多くのレコードもそんな印象があります。長年カラヤンとベームを遠ざけて来たのですが、最近はカラヤンびいき、ベーム嫌いになったみたいです。とにかく再開して何回か開催しているうちにいいアイデアが生まれると思います。そうか、ほんなら、わしも早くLPレコードコンサートが再開することだけを祈っとるわ。有難うございます。