プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 わしもお餅が好きなんやで編」

わしは幼少の頃、正月になると岡山の親戚から丸もちと豆餅が届いたから、年が明けると母親が雑煮を作って食べさせてくれたんやった。丸もちはもっぱら雑煮やったけど、豆餅はストーブで炙って砂糖醤油につけて喰うたもんやった。わしは今でもそうやが、塩っ辛いのが好きでな、子供の頃から、餅全体が醤油色に染まるまで濃く塗りたくって食べたもんやった。中学生の頃までは、正月の雑煮と醤油色の豆餅がわしの楽しみやったんやが、高校の頃から、虫歯治療の詰め物が餅と合体して危うく飲み込んでしまいそうになってからは、わしは警戒しながら餅を食べるようになって、無心に味わって食べることがでけんようになってしもうた。そやから家族が一緒に食事をせんようになってからは、自分で餅を調理することがなかったので、餅を食する機会はなかった。たまにきな粉もちはしたんやけど、やっぱりクラウンやブリッジが取れへんかと心配しながら食べてた。そんなことが重なるうちにわしは餅を料理して喰うのんが面倒になって、ほとんど食べんようになった。年末に親戚から餅が届いたから、ちょっと食べたらと言われて、10個ほどもろて帰るけど、そのまま冷蔵庫に入れてしまって、気が付いたら、青黴だらけということが毎年のこととなっとった。そやけど今年は1月1日にその親戚からの餅で弟の嫁さんが雑煮を作ってくれて、えらい旨かった。それでわしもダイコンとニンジンとうすアゲとネギで味噌汁を作って、そこに丸もちを放り込んだら、雑煮みたいなのが出来るんとちゃうかと思うて、挑戦したんやった。案ずるより産むがやすいちゅー通りで、作ってみたら意外と旨かった。それで豆餅焼いて醤油を塗りたくるのもやりたくなってな。いろいろ準備したんやった。うちのガスコンロはコンピュータ制御やから、餅網を使うと制御が働いて大きな火が使えなくなる、言い換えると強火で調理が出来なくなりよる。それで、20分ばかり弱火で様子を見ていたんやが、やっぱり火が通らんで硬いままやった。しゃーないから、魚を焼くためのグリルに小ぶりの餅網を乗っけて火をつけたんやが、これがうまくく行って、程よいぐあいに餅に火が通ったんやった。ただ天上が近いからか、ちょっと焦げすぎたんやけど。最近買うて、割合とええ味の「あまくておいしい醤油」をつけて喰うたら、旨かった。これで作ることが出来る餅料理がきな粉もちだけやなくなったんで、いろいろやってみよかなと思うとる。餅入りラーメン、餅入り鍋焼きうどん、雑炊なんかやねんけど、餅を入れるだけやから、手間が掛らんでええわ。船場は、昨年の6月から半年にわたって自分で作った料理をホームページに掲載しとったけど今年はせんのやろか。いっぺん訊いてみたろ。おーい、船場ーっ、おるかー。はいはい、にいさん、私も一人暮らしが長いからいろいろな料理が作れると思うていたんですが、ランチとなるとメインディッシュとサイドメニュー1つないし2つという感じで、どうしてもご飯ものをひとつつけなあきません。コシヒカリのチンご飯を茶碗に盛ってごまかしてもいいんですが、それでも頻繁にはできません。それで他人丼、夏野菜カレー、きつね丼、木の葉丼、サバ缶カレー、親子丼、シーフードカレー、ビーフカレー、スタミナ丼、牛丼、焼うどん、各種スパゲッティなどをメインディッシュにしたのですが、もうネタ切れになってしまいました。サイドメニューならいくらでもあるんですが、メインディッシュがマンネリ化してきたので、撤退したのです。丼や焼うどんはそんなにいろんなんはでけんかもしれへんけど、スバゲッティは、明太子をたらこに変えたり、ミートソースの中に茄子や目玉焼きを入れたりしていくらでもメニューができそうな気がするんやけどな。標題が自分で作ったランチのページとなっていますから、ランチを掲載しなければならないのです。ハンバーグ、オムレツ、肉じゃが、クリームシチュー、麻婆豆腐、ほうれん草とベーコンのバター炒め、青椒肉絲、八宝菜、ビーフシチュー、豚汁、金時豆煮、きんぴらごぼう、芋煮、おでんなんかはメインディッシュにはならないのです。お餅を使こうた料理、雑煮、きな粉もち、焼きもちをメインディッシュにしたら、あと3回はできるで。まあ、それもありだと思いますが、自分で作ったランチのページはとりあえず終了して、別のことをやってみたいと考えています。ほう、それはどんな企画やのん。全国のあちこちのあまり有名でない商店街を訪ねて、その商店街で2つか3つ美味しそうな食べ物を掲載するのです。おでんとか、惣菜とか、揚げ物とか、和菓子とか、洋菓子とか、パンとか、一銭洋食とかを掲載しようと思っています。そら、時間とお金がかかるんとちゃう。自分で探さなあかんのやで。もっと他のがあったらその方がええで。実はもうひとつあります。それは美味しいと評判のものを買って帰って、自分の家でその写真を撮ってホームページに掲載するのです。許可がいりますし出来上がってすぐに食べるわけではありませんから、帰ってから食べると味が落ちているかもしれません。盛る器は私のうちの器ですので、見栄えもしないかもしれません。そこまでしてやらんとあかんのん。コロナがなければ、休日はにいさんと同じように餅を食べて英気を養い、3ヶ月に一度東京に出掛けたり、公立図書館巡りをしたいのですが、医療機関に勤めていますので、三密は避けなければならず、LPレコードコンサートは開催できませんし、クラリネットのレッスンは受けられません。『こんにちは、ディケンズ先生」第3巻、第4巻が大学図書館に受け入れられない限りは、公立図書館に行っても受け入れられる可能性は極めて低いのです。今は限られた範囲内で、精一杯のことをするしかないのですよ。わしは、お前が限られた範囲内でようやっとるのはわかるんやけど、最近、目立ったことをしとらん。急がば回れともゆうし、直接結果に結びつかんでも、のたうってでも、なんか目立つことをやってほしいと思うわ。