プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 やりたいことは山ほどある編」

わしが幼少の頃に丁度万博があったんやが、その日本を上げてのお祭りによって世界の国々への興味が一般の人々に波及して浸透していったんやった。海外旅行への興味だけやのうて、文化についてもそうやったんやないかとわしは思う。そやけどクラシックやジャズへの興味が増したことによる、名曲喫茶やジャズ喫茶の隆盛、西洋文学への興味が増したことによる世界文学全集や翻訳ものの文庫の相次ぐ出版というのは万博の後からついてきたものばかりやのうて先行して一般の人々を啓蒙していったものもあったんやと思うとる。特に出版の場合、大衆に西洋文学への興味を持たせたということで後々へといろんな分野で大きな影響を与えたんやと思う。わしも船場の影響でいくつかの有名な世界文学の作品を読んだけど、古めかしいというだけやったらええんやけど、表現に問題なところがようさんある、詳しくはとても述べられへんが、用語の不適切な表現、残酷な表現、性的な表現、興味を持たせるような薬物・不法な嗜好品の表現なんかは素人のわしでも首をかしげるところがある。表現の自由というのがあるのであまり深く突っ込むのはやめるけど、このあたりのことがクリアできひんと作品になる前から編集者がチェックする日本文学の方が安心して読めるからこっちを宣伝しよう、それから最近翻訳された西洋文学は編集者がチェックしているから大丈夫やということになって1970年代以前の中野好夫氏とかの名訳と言われとったもんがちっとも人の目に触れることなく、すべて姿を消すということにならんのやろかと思う。問題表現のある所を削除すればよいという簡単な作業で解決するんやったら、大手出版社も改訂版を出しているのかもしれんけど、削除することで話の脈絡が保てないようなら諦めんとアカンようになる。本の終わりのところで、表現に問題があるところがあるがうんぬんと記して読者の了解を得たりするが、余りに問題箇所が過激で了解が得られないような場合はそのままでの出版はしないやろうと思う。船場が学生の頃には愛読されとったイギリス文学やフランス文学にはそんないろいろの問題があるけど、『こんにちは、ディケンズ先生』は何の問題点もないユーモアが満載された作品なんやが、一向に日の目を見ない。自費出版やからしゃーないんかもしれんけど、多くの大学図書館や公立図書館に受け入れてもらっているんやから、もうちょっと何とかならんのかなと思うとる。船場はこの前、やけを起こしたんか伊吹山登山を敢行したみたいやけど、ぶくぶく太った身体は膝に堪えると思うのにようやるちゅー感じや。あいつ、何を考えてそんなことしたんか訊いてみたろ。おーい、船場ーっ、おるかー。はいはい、にいさん、もしかしたらわたしが何かおもろいことをするんとちゃうと考えておられるのですね。そうや、お前はだいたいせこい人間やから、利益と結びつかんことはほとんどしよらん。きっと伊吹山に登ったんも何か魂胆があってのことやろ。ええ、兄さんの言われる通りで、わざわざ伊吹山に登ったのは、山頂近くの駐車場が見たかったのです。7月から8月に掛けて伊吹山星空観光バスが運行され、私は7月に一度行くつもりなんですが、わずか1時間30分しか滞在しないので山頂近辺の地図を頭に入れておこうと思って行きました。帰りにバスが乗れるとの思い込みは大きな間違いでしたが、行く必要はあったと思います。そうか、ほんでーお前はそれだけがこの夏休みの楽しみになるねんな。いえいえ、今年はこのあといくつか考えていることがあります。その前に星空観測の問題をやっつけておきたいと考えています。やっつけるってどういうことや。ひとつは、満天の星空を見たいということですが、私の場合欲張りなもので、新月の頃に天の川銀河を肉眼で見ることと既に購入しているケンコースカイメモにライカM9を取り付けて天の川銀河を撮りたいということがあります。新月の頃に伊吹山山頂近くでならもしかして天の川銀河が近視のわたしでも肉眼ではっきり見えるのではないかと思いました。それからできたらスカイメモでの撮影も一緒に伊吹山でできないかなと思い、6月10日に下見(この時にバスも乗っておきたかったのですが)に行ってきました。それから7月22日にも固定撮影のために伊吹山星空観光バスの予約を取りました。そやけどその日は月齢23やからだいぶん明るいんとちゃうん。でもこの頃なら空いていると思うので申し込みました。スカイメモで撮影することになると大きなリュックと大型三脚を持って行かないといけないので、それだけの荷物がバスに乗っけてもらえるのかが問題になります。ほんでー、あかんかったら、諦めるんか。いえいえ、無理な場合は星のくにで撮影しようかと思っています。こちらは9月に予定しています。そうか船場は天の川銀河の観測や撮影をこの夏から秋で完結させたいんやな。そうです、それからもうひとつあります。ほー、まだあるんかいな。ええ、神戸と長崎の夜景撮影が充実していたので、今度は函館に行ってみたいんです。そやけどどれも天候にされるもんばっかりやな。そうなんです、伊吹山は事前予約で雨や曇天なら諦めるということになりますが、星のくにと函館は、天気が晴れと分かってから予約しようと思うので、いつになるかわかりません。でも寒くなると来年に持ち越しになるので、何とかその時は晴れてくれと願うばかりです。そうか、ほたら、おっちゃんも祈っとったるわ。ぜひよろしくお願いします。