プチ小説「青春の光 101」

「せ、船場さん、どうかされたんですか。私と橋本さんのコーナーに最初から登場されるのは異例なんですが、何か仰りたいことがあるんですか」
「私からも言わせてくれ、コロナ禍で船場君が疲れてしまって私たちやいちびりさんや鼻田さんの登場の機会が少なくなり途方に暮れている。何か明るい気持ちになるようなことを船場君から言ってもらえたら有難いのだが...」
「そう、それがわたしが生み出したプチ小説の登場人物だけでなく、私の小説を愛読してくださっている方々、LPレコード・コンサートの会場を提供してくださっている名曲喫茶ヴィオロンのマスター、LPレコード・コンサートに来ていただいている方々の願いだと思います。それで今日はみなさんが明るい気持ちになることばかり話したいと思います。それはこれから先の予定の話になりますが是非とも完遂しようと思っています」
「どのような内容ですか」
「まず私の年齢ですが、現在、63才です」
「そう、船場さんは定年になられて再雇用で医療機関に勤務されていますね」
「ええ、長年縁の下の力持ち的な仕事をしてきました。それもこれも東京でのLPレコード・コンサート、クラリネットの習い事、ディケンズ・フェロウシップの会員となり全国のディケンズ・ファンとの交流を深めることなどの楽しみがあったので気持ちをリフレッシュさせて続けることができましたが、昨年の今頃辺りからコロナの影響もあり仕事がより厳しくなりリフレッシュされないため体調が悪化してきました。睡眠が浅くなり、食事も楽しめません。私の場合、しんどくなると飛蚊症が酷くなるのですが、最初は黒い糸くずのようなものが端っこに現れるだけだったのが、それが枯れ枝のようになり、遂にはバケツに黒い油を入れたように大小の丸い粒が視野の半分くらい出て来るようになったのです。それで出勤日や仕事量を減らしてもらったのですが、やはりしばらくすると症状が出てきます。それでゴールデンウィークの頃に退職願を提出しました」
「5月に提出されたのですか。退職日はいつなのですか」
「7月末日です。仕事の内容は言えませんが、多岐にわたって事務の仕事をしてきたので昨年の夏ごろから少しづつ引継ぎをしてきたのはよかったんだと思っています。仮に私が事故などで突然いなくなっていたら大混乱になったでしょう。そうして引き継きできるようにして勤務している医療機関の役に立とうと思って来たのですが、先程言ったようにLPレコード・コンサート、クラリネットの習い事、ディケンズ・フェロウシップの集まりが思うようにならないため、ストレスの解消ができません。ディケンズ・フェロウシップの春季大会、秋季総会はコロナの終息を待つしかありませんが、LPレコード・コンサートとクラリネットの習い事は医療従事者で三密を回避しなければならないため自粛して来たのですが、医療従事者でなくなればどちらもできるのです」
「なるほどそれで長年勤めている病院を離れる決心をしたというわけですね」
「それに体調のこともあるだろう」
「そうです、第2の定年にあたる2024年4月まではあと1年9ヶ月ありますが、それをやり通す体力が残っているかということが問題としてあります。それに決心すれば2020年1月以降開催していないLPレコード・コンサートが開催できますし、2020年3月以降受けていないクラリネットのレッスンも受けられます」
「1年9ヶ月もやりたいことを我慢して仕事を続けるのがいいのかどうか」
「そうですね、それでここ1年はいろいろ考えました。そうして4月の終わりごろに自由になることを決心したのです」
「でも、LPレコード・コンサートは年に4回しか開催しませんし、クラリネットのレッスンは月に3回でしょう。他の時間はどうされるのですか」
「『こんにちは、ディケンズ先生』の続編、おふたりやいちびりさんや鼻田さんが登場するプチ小説を書き続けて来ましたが、これはすべて休日に自宅で創作したものでした。でも最近ホームページに掲載したプチ小説のいくつかは別のところで書いたんです。「名曲喫茶ムジークでの会話」「クラシック愛好家のクイズ合戦」なんかは母校立命館大学の平井嘉一郎記念図書館で書いたんです」
「でも自宅から立命館大学まで片道2時間はかかるでしょう」
「午前6時35分に家を出て最寄りの駅で7時の阪急電車に乗ると、7時40分に西院に着きます。大学まで歩くので東門に着くのは8時35分くらいでしょうか」
「今のお話だと8月以降は図書館通いをされるということですか」
「勿論、卒業生が図書館を貸していただくということなので、好きな時に好きなだけ利用するということになります。LPレコード・コンサートを開催する時や旅行に行くときは休みます。」
「で、船場さんはそこで何をされるのですか。『こんにちは、ディケンズ先生』の続編やプチ小説を書かれるのですか」
「少しはそれを書くかもしれませんが、長編小説を書いて懸賞に応募しようかと考えています。ですからここに掲載する小説は減るかもしれません。なるべくは現状を維持したいですが」
「それでは少し整理したいと思いますが、8月の真夏から、週に4日から5日大学図書館に通われるのですか」
「8月は函館で夜景を撮るための旅行を考えています。函館だけではもったいないので久しぶりに青函トンネルをくぐって青森に出て、仙台に一泊して帰ろうかと考えています。それから星のくにで天の川銀河のガイド撮影をすることも9月までにやっておきたいと考えています」
「LPレコードコンサートとクラリネットのレッスンはどうなりますか」
「どちらも感染対策は必要だと思います。それでLPレコード・コンサートは会場内ではマスク着用を奨励、最大10人までとして午後4時までで終える(今までは午後5時20分頃まで開催していました。収容人員についてはマスターとの話し合いが必要です)。こちらは9月から。クラリネットのレッスンは個人レッスンを30分だけ取りあえず1年間受けようと考えています。こちらは10月からと考えています」
「他にはないのかな」
「今まで収入があったのがなくなるのですから、貯金を切り崩しながらやって行くしかありません。懸賞小説でお金が入れば、どこかに行くことも可能でしょうが、そうでなければしばらくは旅行も我慢しなければなりません。しばらくはLPレコード・コンサートの開催で東京を訪れることが唯一の旅行による楽しみと言うことになるでしょう」
「それがいいですよ。船場さんの場合、お金があると使うことばかり考えて創作活動がお留守になるから」
「でも楽しみがなければストレスが溜まる一方だ。だから早く出版社からよい連絡が入るといいと私は思う」
「そうですね、橋本さんや田中さんが言われるようになれるよう頑張ります」