プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 完全燃焼できるやろか編」

わしは、物心ついた頃から映画を見るのが好きやった。もちろん親に連れられて行った子供向けの映画やったが、「わんわん忠臣蔵」や「ガメラ対×××」を見て、何となく悪い奴はええもんが力を合わせたり、ガメラみたいなちょっと変わった感じの正義の使者が現れて懲らしめられると思うようになったんやった。と同時に親からちゃんと勉強せえへんかったら、偉いええ人になられへんよと言われたから、わしは小学校に入ると人並み以上に勉強したもんやった。というのも小学校の頃に体育の授業でやったスポーツはすべて駄目で(上手くなれへんで)、わしは勉強で頑張るしかないなと思うたからやった。そう思うて自分なりに頑張ったんやったが、それほど頭の良くない努力型の人間が行ける高校は知れとる。今振り返ってみると平凡な人生やったなぁと思うんやが、地道に働いたお陰でいろんな人に助けられて困ることなくここまでやって来れた。小さい時に見た映画に触発されて真面目に人生に取り組んできたことは、良かったんやなーと今にして思うんや。そやけどわしと同じように真面目に人生に取り組んで来た船場は、8月から仕事をやめて母校の大学に通って懸賞小説に応募すると言うとる。船場の話では、63才でまだ第2の定年までに1年9ヶ月あるけど、少し前倒しにやめて小説を書くことに専念したいと言うとる。船場は37年間いろんなことがあったけど、真面目に働いたお陰で今までいろんなことを楽しむことができたので働き続けたことは良かったと言っとる。そやけど船場が今後やって行こうと計画したいくつかのことが、ここ1週間ほどで猛威を振るうようになった新型コロナでお先真っ暗の状態になっとる。あいつが滅入ってへんかも気になるし、どう乗り切って行くんかも気になるから、ちょっと訊いてみたろ。おーい、船場ーっ、おるかー。はいはい、兄さん、私は落ち込むこともなく、頑張っておりますよ。そやけどこれだけコロナが蔓延したら、行動制限せんとあかんのとちゃうんか。そうですね、それでまず浮かぶのが、9月から再開しようと思っていたLPレコードコンサートのことですが、これからも名曲喫茶ヴィオロンのマスターと連絡を取り合って9月11日(予定)に向けて詰めて行くつもりですが、状況によっては中止せざるを得ないかもしれません。そら、安全第一やろな。その次に浮かぶのが、函館に夜景を撮りに行くという計画ですが、これは今すぐしないといけないというものではないので、急ぎません。でも年によっては11月頃から寒くなって雪が降るみたいですから、10月中に行けない場合は来春以降ということになります。なるほど、ほんで、母校の図書館に通うのは8月から、クラリネットのレッスン再開は10月からというのは変わらんのかいな。そうです、それは思いがけない突発的なことが起きさえしなければ可能と思います。他にはないんか。もちろんこのHPは私のライフワークと思っていますから、私がいなくならない限りは続きます。ディケンズ・フェロウシップの会員でありますし、ディケンズをモチーフとした小説は書き続けます。山登りや夜景の撮影はどうするんや。今母親が86才で一人で隣の家に暮らしていますが、いつ動けなくなるかわかりません。そう言うことがあるので、長期の不在や遭難のリスクがある登山は難しいと思います。それで夜景や花火の撮影をしたいのですが、遠出をすることや花火会場のような密集する場所での写真撮影はコロナの状況を見てと言うことになります。高齢の母親にコロナをうつすようなことがあってはならないので、危うきには近寄らないように心掛けています。そうは言うても、お前がどうしても行きたい場合はけんかになるんとちゃう。そうですね、今まで母親の言うことに従ってきましたが、決断のためにいろいろ考えてぐるぐる目が回るような瞬間がやって来るような気がします。まあ、お母ちゃんとは仲良くせんとあかんよ。常にお前が譲歩する。母親が言うことはすべて正しいと思うたらええんや。もしお前が感染したら取り返しがつかんことになるから。そうですね、心しておきます。