プチ小説「青春の光 103」

「は、橋本さん、どうかされたんですか」
「ううっ、船場君があまりに気の毒で嗚咽が込み上げて来る」
「そうですよね、8月は猛暑でどうしようもないとは言え、8月初旬から再び新型コロナウイルスが猛威を振るうようになって、緊急事態宣言が発令されないですけどいろんなことを自粛せざるを得ない状況になっていますね」
「そうさ、そんな状況だから、船場は早々と9月のLPレコード・コンサート開催は諦めてしまった」
「まあ、名曲喫茶ヴィオロンのマスターも開催を望んでおられますし、落ち着けばすぐにでも再開すればいいと思います」
「それから楽しみにしていた函館での夜景撮影、東北地方への旅行へも行けない」
「でもこのところ北海道や東北地方は天候が酷くて、秋田、山形では大きな被害も出ています。無理していくことはないと思います」
「それはそうだが、船場君が8月のうちにしておきたいと言っていた、LPレコード・コンサートの準備、函館の夜景撮影、伊吹山での星空観察が全然できないので、9月から小説を書くために母校の図書館に通うという気持ちが萎んでしまわないか心配だ」
「船場さんは、行きは暑い中、母校の図書館まで歩いておられると聞きます」
「でも、今は盆休みで母校の図書館や大学の食堂が休みのことが多くて不便だと言っていたよ」
「コロナの話に戻りますが、今はウイズコロナと言われているので、感染管理をきちんとしていればある程度までは思い切ってやっみてはと思うのですが...」
「いや、それは駄目だと思う。船場君にはお母さんがいて高齢だから、もし船場君が感染したら、自分の行動が制限されるだけでなく、お母さんに感染するリスクが出てくる。もしお母さんが感染したら...と考えると居酒屋で酒を飲むのを控えるだけでなく、コロナ陽性の人と濃厚接触してしまうことがないように気を付けないといけない。最近は一時のような厳格な規制がないからマスクを外している人を町中でよく見かけるのだが、これは要注意だ。増加傾向が収まる兆しは見えないが、船場君としてはそれを待つしかないだろう」
「でもそうなると船場さんは欲求不満でどうにかなるんじゃないですか」
「まあ、9月はクラリネット教室の谷上先生のライヴが9月17日に奈良であるし、10月にはクラリネットのレッスンが再開するからそれを楽しみにすればいいんじゃないかな」
「そう言えば、9月13日から立命館大学近くの名曲喫茶ムジークも営業再開されますから、CDを掛けてもらったりできますね」
「そう、東京の名曲喫茶、ライオンやヴィオロンのような迫力はないけれど、マスターは親切だし自由に会話を交わせるからこれはこれで楽しめるんじゃないかな」
「まあ、船場さんは懸賞小説に応募すると決められたんですから、そのことを頑張られるのが一番大事ですよね。37年間仕事委励まれたんだから、今度は小説を書くことに励まれたらいいと思います。LPレコード・コンサートや旅行は趣味に当たる訳ですから、今は本業として小説を書くことにやりがいや喜びを見い出されればいいわけです」
「まあ、そうなんだが、船場君の場合は息抜きが欠かせない。そうじゃないとストレスが蓄積されてある日大爆発することも考えられる。われわれとしては早くコロナが鎮静化して、LPレコード・コンサートが開催できるようにと祈るしかないんじゃないかな」
「そうですね、まずはLPレコード・コンサートの再開ですよね」