プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 108回までは頑張りまっせ編」

わしが幼少の頃は夏休みの前半は天国で、後半は地獄という感じやった。前半は父親の実家の田舎に帰って川遊びをしたり、虫捕りをしたり、スイカやトウモロコシを食べたりして楽しい毎日を過ごしたんやが、盆が過ぎて高校野球の決勝戦が終わった辺りから夏休みの宿題のことで頭を抱えるようになったんやった。いつももう少し早くから始めとったら、一日中机の前に座らんでもよかったのに花火大会にも行けたのにと悔やんだもんやった。それでも中学生までの夏休みの宿題は時間を掛けたら何とか処理できるもんで、わしが高校1年生の時の数学の先生のように生徒が解けんような問題を一杯出して生徒の夏休みを台無しにしてしまうようなことは決してなかった。地道にやってたら何とかなるという学問探求の基本を身につけさせるための宿題なら価値があるんやが、生徒を自暴自棄に追い込むような無茶な宿題の出し方は絶対やめてほしいと思うんや。わしも小中学校の担任の先生の温かい配慮のお陰で地道にやっていたら何とかなるちゅー気持ちで小中学校の頃は勉強を何とか続けることが出来たんやが、船場の場合はコロナ禍でいろんな活動が出来んようになっとる。クラリネットのレッスンは10月に再開し、泊りがけで旅行に出掛けることはコロナ禍が鎮静化したら再開出来そうやが、LPレコード・コンサートの方はどうなんやろ。あいつ、落ち込んでへんか心配や。おーい、船場ーっ、お前、どうするつもりや。はいはい、兄さん、いろいろご心配していただいて有難うございます。ここのところの猛暑で、懸賞小説の執筆が思うように捗りません。それで、ここは、LPレコード・コンサートのこれからの日程を考えてみてもいいかなーと思いました。そら、出来る時に出来ることをしておけば行き詰まることは先送りできるわな。そうですね、ぼくの場合も今までも物事をきれいに最後まで仕上げたわけではありませんから、今の兄さんの表現は的確だと思います。まあ、考え方はどうであれ何とかやる気を起こしてプロセスを先に進めていくことは大事だと思います。ほんでー、どんな風に進めていくつもりなんや。5月に東京に行った時に、名曲喫茶ヴィオロンのマスターに9月から再開したいことを伝えて承諾を得ました。それで8月初旬にフライヤー(チラシ)と台本を持って行って店内にフライヤーを置いてもらうように頼むつもりでしたが、急にコロナ感染の人が増えて自粛ムードとなりました。感染者が出て営業に支障が出るようなことになってはマスターに迷惑を掛けてしまうので、8月の初旬にLPレコード・コンサートを延期することを伝えました。今のところは感染者が増加傾向なので見通しは立たないですが、6~7月のような状況に戻ればすぐにフライヤーと台本とを持ってヴィオロンのマスターを訪ねようと思っています。どちらも既に出来ているので、日付を変えるだけでいいのです。それはわかったけど、今後の予定はどうなるんや。誰の特集をするとかの内容は決まっとるんかいな。ええ、72回は2020年3月に予定していたものと同じタイトルで「色とりどりのカラヤン」というタイトルで、カラヤンの特集をします。ぼくの場合、アーティストの特集というのが基本ですから、今までの演目を参考にして、フライヤーを作ります。もう一度聴きたいなぁというレコードも沢山入れました。因みに73回はバックハウス、74回はゼルキン、75回はミュンシュ、76回はコルトー、77回はモーツァルトのクラリネットの名曲、78回はバリリのモーツァルト、79回はウィーン・コンツェルトハウスのシューベルト、80回はサンソン・フランソワ、81回はウィーン・コンツェルトハウスいろいろ、82回はストコフスキー、83回はワルター、84回はセル、85回はナタン・ミルシテイン、86回はルッジェーロ・リッチ、87回はヘンリク・シェリング、88回はダヴィッド・オイストラフ、89回はヤッシャ・ハイフェッツ、90回はメータ、91回はショルティ、92回はクレンペラー、93回はアンセルメ、94回はフルトヴェングラー、95回はベーム、96回はアルチュール・グリュミオー、97回がリパッティ、98回がケンプ、99回がリヒターのマタイ受難曲、100回がバルビローリの特集となっています。そうか100回まではチラシと台本を作ればできるなー。そやけどバルビローリが最後になるんか。いいえ、できれば108回まではやりたいと考えています。誰の特集をするかも決まっとるんか。ええ、101回はアバドのマーラー、102回はブレンデル、103回はパイヤールのモーツァルト、104回はフリッツ・クライスラー、105回はジュリーニ、106回はルビンシュタイン、107回はグールドです。ほんでー、108回の最終回は誰の特集をするんや。いろんな曲を紹介してくれたという意味でカラヤンは素晴らしい偉大な指揮者だと思います。彼の名演と言われる3つのレコードを会場の方に聴いていただきお開きにしたいと考えています。そやけど、108回までやるとして、今のように年4回のペースでやっとったら、お前も高齢になるやろ。仰る通りです。あくまでも仮にの話ですが、来年の3月から再開したとしたら、108回まであと37回ですから9年と3ヶ月かかります。となると2033年3月で終わりですから、私が74才になる直前と言うことになります。コロナ禍の前は100回を70才までに余裕をもって終えられると思っていたのが、誤算が生じました。仮に年に4回開催するとかして、もうちょっと早めに終えるというのも考えたらええんとちゃうのん。ぼくの活動の中心がLPレコード・コンサートなら優先して考えてもいいのですが、クラリネットのレッスンも懸賞小説の応募も旅行も同じ比重ですから、3ヶ月に一度位がいいと思います。そうなんや、お前のライフワークやから、滞りなく終えることが出来るよう祈っとるわ。そうですね、これからも地道に頑張りますよ。