プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 野球が好きやった編」
わしが幼少の頃は巨人がV9の頃で長嶋や王だけやなく、野手は柴田、高田、土井、黒江、国松、末次、森、投手は堀内、高橋一三、城之内という今でも胸がすくようなプレーをする選手が山ほどおった。さっき堀内、高橋一三、城之内の雄姿をYOU
TUBE で見たんやが、ほんまにかっこええなあと思うた。わしの小さい頃は今みたいにサンテレビでの野球中継はなかったから、読売テレビで放送される巨人の試合しか見られんかった。父親が大の巨人ファンやったから、ナイター中継でV9戦士が活躍するのを見て巨人が好きになったんやった。そやけど父親は他の野球を見ることも好きやったみたいで、高校野球もよう見とった。プロ野球はリーグ戦でいっぺん負けても次があるわいなちゅーて諦めもつくけど、高校野球はトーナメント戦やから負けたらしまいや。ほんでープロ野球は選手が技を競うちゅー感じでどちらかというと監督さんの影は薄いけど、高校野球は監督の采配がすべてで選手という駒をあーでもないこーでもないと動かして勝利に導いていく。もちろん将来の大打者や大投手も出て来るんやけど、わしは監督がどのように采配してチームを優勝させるかが高校野球の一番おもろいところやと思う。中学生の春休みや夏休みはこれといった楽しみがなかったもんやから、昼は高校野球の中継ばかり見とった。野球を見ない人にはわからんかもしれんけど、大差がつかない限りは至るところで手に汗を握るから1日4試合8時間くらいテレビの前に座っとっても退屈せえへん。そんな風になったら野球観戦中毒と言えるんやが、わしは高校を卒業をしてからも10年くらいはその中毒やった。わしが社会人になってからは阪神、近鉄なんかの中継を民放でかなりするようになったから休日なんかは一日中野球ばかり見ているという日もあった。そやけどな、ある日わしは野球を見ることで本を読む時間や勉強せなあかん時間をつぶしとったらほんまのあほになってしまうと思うて、ちょびっとだけ本を読む時間に当てることにしたんやった。そういうわけでわしが中学生の頃に高校野球中継が始まるのを待っていたように船場が、LPレコード・コンサートやクラリネットのレッスンの再開を心待ちにしとる、楽しいことの再開を心待ちにしとるのはようわかる。それにあいつ、コロナ禍が鎮静化したら他にもいろいろやってみたいちゅーとった。あいつ、今、どんなことを楽しみにしとるんやろ。あいつ最近カルビーのプロ野球カードを集めとるから、もしかしたらまたプロ野球に興味を持つようになったんちゃうやろか。これから上位3チームのクライマックスシリーズや日本シリーズがあるし、来春にはワールド・ベースボール・クラシックもあるからな。おーい、船場ーっ、お前どう思っとるねん。はいはい、にいさん、プロ野球のことどう思っとるんかということですね。私もにいさんと一緒で城之内や高橋一三が投げるところを見てかっこええなぁと思うてプロ野球中継を見とったんですわ。そやから投げるフォームが奇抜な投手は大好きでした。ほう、どのピッチャーやねん。そら一番はなんといっても近鉄の柳田ですわ。それから阪急ブレーブスの山田や足立も好きでした。そうかあんたはサイドスローやアンダースローのピッチャーが好きなんやな。そうですね、それからジャイアンツの斎藤も好きでした。でも柳田はタコ踊りと言われるように個性的で見ていて楽しかった。そんな面白い人はもう一人しかいません。ほう、それは近鉄の小川とかか。いいえ断然中日の宇野ですね。あのヘディング事件で有名な選手やな。そうですね、私はその宇野選手の誰も真似ができないような珍プレーに魅せられ、翌年大学に入った時に親しくなった人が愛知県出身だったので1982年に中日が優勝するまでにわか中日ファンになったのでした。宇野の好感持てるプレーが中日ファンにさせたんやな。そうです、だからこれから先、柳田のようなかっこいいフォームで投げる投手や宇野のようなおもろいキャラクターの選手が出てきたら、その球団の野球中継を見るようになるかもしれません。そら、あかん、あんたは自分でやらんとあかんことがあるやろ。ええ、もちろん。それに全試合を見るようなことはまずありません。というのは今では野球中継はゴールデンタイムであまり放送がされなくなりましたから。私と同じように世間一般の興味の対象も時代の流れとともに変わったと言えます。テレビ中継を見ながら晩酌がよろしなーと言っていたのは、昭和の頃ではないでしょうか。まっ、そう言うことやな。