プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 憧れの東北旅行編」
わしが幼少の頃は一人旅はようせんかったから、父親と一緒に出掛けたくらいやった。一番記憶に残っているのは、日生球場に近鉄の試合観戦に行ったことで確か先発投手は鈴木啓示やった。選手は米粒くらいにしか見えんかったけど、背番号1が投げているのはよう覚えとる。父親のお気に入りは鈴木投手と酒豪打者の永淵洋三選手やったみたいで、土井正博選手がホームランを打ったのにあんまり喜んでへんかった。父親は巨人ファンやったが、阪神巨人戦は甲子園球場がちょっと遠いしチケットがなかなか手に入らへんかったから近鉄の試合を見に行ったんやろけど、その時に近鉄にちょっと興味を持ったから、西本監督になってラジオ大阪が中継するようになって、わしは近鉄ファンになったんやと思う。もう一つは茨木市内にある竜仙峡へ行ったことや。飯盒でご飯炊いたのが初めてでよう覚えとる。その後大学生になって竜仙峡の近くをわしは自転車で通ったんやが、河岸整備したからか巨石が取り除かれて何にもないところでいったいどこでキャンプしたんやろと思うほど殺風景なところになっとった。小学校高学年になってからは母親、弟、妹も一緒に出掛けたから、父親とふたりでどこかに行ったちゅーのはそれくらいなんやけど、父親と2人だけで立ち飲みでもええから一杯やりたかったなぁと思う。そやけど父親の場合永淵選手級の酔い方をすることもあったから、一緒に行ったら1軒や2軒では済まんかったかもしれん。船場は最近節約のためお酒は、うすいカナディアンクラブの三ツ矢コーラ割ばっかりみたいやが、ストレスがたまってしょうがないから食べ物が美味しい東北旅行に行って美味しい酒を思う存分飲みたいと思わんのやろか。パーッとお酒を飲みたいと思わんのやろか。いっぺん訊いてみたろ。おーい、船場ーっ、おるかーっ。はいはい、なんで私が永淵選手みたいに仕事のことも忘れて、深酒せーへんのかということですね。そうや、お前、7月末で仕事はやめたし、小説の執筆に専念するちゅーけど別に出版社から依頼があるわけやないから小説はいつでも自由に書いたらええ。無理して大学図書館に行かんでもええんとちゃう。それは確かにそうなんですが、この規則正しい生活を続けるのは生活のリズムを崩さないために必要なことだと思いますし、いろいろな酒を飲むのがいいものなのかと思います。特にアルコール度数の高いウイスキーやブランデーの飲みすぎ、痔になりやすい日本酒、腸炎になることがあるビールを飲んでしまうことは避けなければなりません。そら、二日酔いを凌げば何とかなるやろ。若い頃は二日酔いをやり過ごせば良かったのですが、今はそれが蓄積されて成人病、基礎疾患というのになります。ちょっとお酒が過ぎてしまってある日突然糖尿病になってしまったら取り返しが付きません。高齢の母親もいますし、まだまだやりたいことがたくさんありますから、お酒はちょびっとだけというのがいいと思っています。ほんなら前にも言うとった。東北旅行はどうやねん。それは山海の珍味をウーロン茶で楽しむという方法でやろかなと思っています。お酒は大概のみましたし、1本10万とか100万とかするのを一度飲んでみたいという欲望もまったくありませんし瓶の収集癖もありません。レコードや古本なら興味がありますが、ちょっと重くて壊れやすいガラス瓶の中の液体には私は興味がないんです。最近、京都の和菓子屋さんで購入したおはぎや栗大福が美味しかったのですが、お酒を飲んでそんな楽しい感じになったことは正直言ってありません。もちろん友人と親交のためには飲み会は欠かせませんが、お酒はほどほどがいいと思います。ヴィンテージだから美味しいというのは高級酒を味わう味蕾を持った人だけに与えられた愉しみで、私のように平凡な舌を持ったものには味わうことが出来ませんませんので美味しい和菓子を食べる方がお腹もふくれていいかと思います。そういうことで、青森、仙台、山形は行きましたが、まだまだ東北には八戸、弘前、盛岡、花巻、秋田、米沢、鶴岡、新庄など魅力的な訪れてみたい街がたくさんあります。そして行くことが出来たら、ソフトドリンクを飲みながらたらふくその土地の名産品を食べたいと思っています。ほんまやな、あんたはそれで行き。好きにし。