プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編12」

福居が阪急高槻駅で下車し南口を出て繁華街を通り抜け国道171号線の信号を渡っていると、M29800星雲からやって来た宇宙人が福居に声を掛けた。
「アンタガイクノハラーメンヤカカレーショップカチュウカリョウリヤバカリヤナ」
宇宙人は、そう言いながらも福居の後に続いて天下一品高槻八丁畷店に入った。
「モットコウキュウナステーキハウストカフランスリョウリテンニイッタラエエノニ」
「ぼくは外でお酒を飲みませんし、それに一回の食事で3~5千円も使う余裕はありません。1500円くらいで押さえるとなるとそういった店になるんです」
「ホタラ、アンタハコウキュウナミセニイッタコトハナインカ」
「実は60才(還暦)になったご褒美にと高槻駅近くのステーキハウスに行ったのですが、予約がないと駄目だと言われました。それで1週間後の予約を取ったのですが、予約日に風邪を引いてしまいキャンセルしました」
「ソシタラ、ナオッテカラヨヤクシナオシテイッタンヤネ」
「ところが1ヶ月しても咳が治まらず、ステーキは諦めました。そしてや~めたと思ったら、すぐに咳が出なくなったんです。この時以来ぼくは1万円以上のディナーは一生食えないのかなと思いました」
「ウーン、サダメトイウカ。ソシタラヤキニクデガマンシタラヨカッタノニ」
「貧乏性のせいか、最近、ぼくは牛肉を食べたいとは思わないのです。豚肉をオリーブオイルで焼いて塩コショウの味付けだけで食べるのがシンプルでお金がかからなくていいんです」
「ソレデモ、トンテキヨリサーロインステーキノホウガタベタイヤロ」
「最近、テレビで数万円の牛肉を1回の食事で食べているのを見て、それだけのお金を使うんだったら、他のことで使った方がよっぽど良いと思ったんです。予約をキャンセルした店も200グラムくらいの牛肉と前菜だけで1万円余りでしたから、行かなかった方が良かったのかなと思います」
「マア、アンタノバアイハコウキュウヒンニハエンガナサソウヤ。トコロデココハナニガウマインヤ」
「こってりラーメン大盛りと鶏のから揚げですね。もう少し食べたいときは餃子も注文します」
「トリアエズ、アンタトオナジノヲタノンデ、アトデツイカスルワ。キョウモクラシックノハナシシテチョウダイ」
「わかりました。今日は後期ロマン派の大作曲家リヒャルト・シュトラウスについて説明しましょう」
「シュトラウストイウタラ、ヨハン・シュトラウス、ヨハン・シュトラウス2世、ヨーゼフ・シュトラウスナンカガニンキガアルケド」
「彼らはウィンナ・ワルツだけを作曲したと考えているので、大作曲家というより職人さんという感じです」
「デモ、キカゲキ「コウモリ」ハウィンナ・ワルツトチガウヨ」
「でも、これといったストーリーがないですし、際立った登場人物もいません。喜歌劇「ジプシー男爵」「ウィーン気質」も同様だと思います」
「リヒャルト・シュトラウスハオトウサンガホルンソウシャヤッタンヤネ」
「そうです、2曲のホルン協奏曲を作曲していますが、多分父親に贈ったのだと思います。他にヴァイオリン・ソナタも楽しい曲ですが、やはりリヒャルト・シュトラウスはオペラと管弦楽曲です。管弦楽曲と言っても「アルプス交響曲」「ツァラストラはかく語りき」「ドン・キホーテ」「ドン・ファン」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」などの大編成の交響詩、交響曲のことで、「アルプス交響曲」「ツァラストラはかく語りき」「ドン・キホーテ」はぼくも大好きです」
「オペラハドウナン」
「「ばらの騎士」が有名ですが、この作品も17、8世紀の貴族社会を描いたモーツァルトの「コシ・ファン・トゥッテ」「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」、ロッシーニ「セビリアの理髪師」のような作品で、じっくり味わえば面白いのかもしれませんが、一度DVDを見ただけではどこがおもしろいのかわかりませんでした。「サロメ」や「エレクトラ」は全然聞きたいと思いません」
「ココロニユトリガナイトダメカモネ。モウヒトトオリオワッタノカナ」
「あと3回話させてください。マーラーとブルックナーの交響曲、イギリスの作曲家の作品、J.S.バッハ以外のバロック音楽をやりますので」
「オマケデモウイッカイヤッタラエエヨ」