プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編16」
福居は8月3日にコロナ感染してからは感染後5日間の外出禁止と10日間は極力人との接触を回避することを守って来た。また、5日目になっても咳が止まらないためもう一度近医を受診した。福居は8月8日のクラリネットのレッスンを休んだだけでなく、楽しみにしていた8月5日淀川花火大会の写真撮影、8月8日の茨木弁天の花火大会の写真撮影、8月12日の伊吹山星空観測会への参加を取りやめた。今のところ、8月16日の京都五山の送り火の撮影は行かないつもりだが、8月19日の伊吹山星空観測会は晴れて参加できるようにと願っている。最近は近くのスーパートップワールドとコノミヤ高槻店に行く時しか外出しないが、福居がコノミヤ高槻店のお惣菜のコーナーをウロウロしているとM29800星雲からやって来た宇宙人が福居に声を掛けた。
「ココノポテトサラダハオイシイネ」
「ああ、谷さん。谷さんもこちらによく来られるのですが」
「コノチカクノサンパツヤサンデソノジョウホウヲエタンヨ」
「そうでしたか、そういう情報は確かですからね。じゃあ、他にも美味しいものをご存じじゃないんですか」
「ホカハキイテナイワ。トコロデクラシックノハナシヲキキタイネンケド。アレデオワリナノ」
「ぼくなりの音楽史の外観の話をしただけで、話したいことはまだまだあります」
「ドンナナイヨウカナ。ボリュームハアルノカナ」
「楽曲を概観したので、次は演奏家の話か、名盤の話になると思います」
「エンソウカハダレヲトリアゲルノカナ」
「指揮者ではカラヤン、アバド、メータ、ショルティ、ジュリーニ、ベーム、ワルター、クレンペラー、ミュンシュ、オーマンディ、セル、ハイティンク、サヴァリッシュ、アンセルメ、パイヤール、シェルヘンくらいでしょうか」
「マゼール、カルロス・クライバー、アーノンクール、ムラヴィンスキー、スヴェトラーノフ、ロジンスキートカオペラノシキシャハドウナン」
「いくつかの名演はありますが、マゼールについて言えば、ヴェルディの歌劇「椿姫」だけ、アーノンクールの場合はバッハのカンタータ第140番と第147番のレコードだけ、スヴェトラーノフは幻想序曲「テンペスト」だけ。カルロス・クライバーはベートーヴェンの交響曲第5番と第7番、シューベルトの交響曲第3番と第8番、ブラームスの交響曲第4番が名盤だと言われますがぼくはあまりに味気ない印象でこちらもヴェルディの歌劇「椿姫」くらいしか好きになれないのです」
「マア、スキキライハダレニモアルカラ、アンタガキライナモノヲスイセンシテクレトハイワンヨ」
「じゃあ、そのあたりのことをご容赦いただけるなら、次回からひとりの指揮者、独奏者を取り上げてエピソード、名盤などのお話をしたいと思います」
「サッキハシキシャヲアゲテクレタケド、ドクソウシャヤアンサンブル(ゲンガクシジュウソウダンナド)モイマイッテチョウダイ」
「いいですよ、まずヴァイオリンですが、オイストラフ、ハイフェッツ、リッチ、ミルシテイン、グリュミオー、シェリング、フランチェスカッティ、カンポーリなどでしょうか。一つだけ素晴らしいという演奏家を3人あげておきます。マルツィはバッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータ第1番、ヌヴ―はシベリウスのヴァイオリン協奏曲、クーレンカンプはシューマンのヴァイオリン協奏曲でしょうか」
「オルガンハヴァルヒャデ、フルートハランパル、ハープハサバレタカナ」
「そのあたりはあまり聞いていないので何とも言えません。取り上げるとしたら、ピアノ、チェロ、クラリネットあたりですか」
「クラリネットハアンタガスキナガッキヤカライロイロイイタイヤロケド、ウラッハ、ライスター、ランスロ、ド=ペイエ、プリンツクライニシトイテ」
「クラリネットについてはじっくりお話したいと考えています。ピアノはたくさん名演奏家がいるのですが、ここにあげてみましょう。ここにもぼくの独断が入りますがご了承ください。ホロヴィッツ、アシュケナージ、ブレンデル、リヒテル、フランソワ、グルダ、グールド、ルービンシュタイン、ベネデッティ=ミケランジェリ、バックハウス、ケンプ、ゼルキン、カサドシュ、ギーゼキング、リパッティくらいでしょうか」
「ハスキルモエエントチャウ」
「ベートーヴェンの第3番もなかなか良いですが、一番いいのはモーツァルトの第20番と第24番です。これは病弱だったハスキルが信じられないくらいの体力と技巧で弾きますが、他の演奏はこれに比べるとかなり劣ります。ハスキルはリパッティを支援したり温かい心の持ち主だと思うのですが、モーツァルトもベートーヴェンもファリャもショパンも今一つです。、グリュミオーとのヴァイオリン・ソナタのレコードはグリュミオーが素晴らしい演奏をして良くできていると思いますが、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番と第24番のレコードには及ばない気がします」
「ポリーニトアルゲリッチハドウナン」
「ポリーニもアルゲリッチもたくさんのレコードを聞きましたが、これが一番というレコードはありませんでした。たくさんのレコードを残しているのに全然ないというのは一枚一枚丁寧にレコードづくりをしなかったからだと思います。敢えて言うなら、ポリーニがベームと共演したベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、アルゲリッチのショパン前奏曲集は名盤にあげてもいいと思いますが少なすぎます」
「アルゲリッチハショパンヤラヴェル、ポリーニハベートーヴェントショパンガウリヤッタケド、アンタニハアワンカッタンヤネ。チェロハダレガエエノン」
「チェロはカザルスが大きな存在で、その次にフルニエ、シュタルケル、トルトゥリエあたりが来るのでしょうが、ぼくはヨーヨー・マの音色が好きになれません。ヨーヨー・マはバッハの無伴奏チェロ組曲やベートーヴェンの5つのチェロ・ソナタそれからいくつかの協奏曲を聞きましたが、技巧第一で深みがないというかチェロらしくない音が好きになれませんでした。唯一パガニーニの曲などの小品を集めたレコードはよく聞きました」
「マアスゴイドクダントヘンケンヤトオモウケド、ワシハツキアウヨ。ホタラ、アンタノタイリョクガカイフクシタラ、マタアンタノタンスウムリョクセツヲキカセテチョウダイ」
「よろしければお付き合いください」