プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 9月からは心機一転頑張ろう編」

わしが中学生の時、夏休みにプール通いも昆虫採集も図書館通いもせんかった。そんなわしの夏休みの楽しみのひとつはお盆を挟んで開催される夏の甲子園やった。14インチの白黒テレビとか父親が昔(昭和30年頃)に買うた日立社製の携帯ラジオをつけて高校野球を楽しんどった。父親は大の巨人ファンであらゆる野球観戦が好きやったから、自分で審判の資格?を取って毎日曜日に尼崎の市民球場で審判をやっとった。物心ついた頃に木造長屋の部屋の片隅に主審のプロテクターが置かれてあって、これ何やろーと思うたもんやった。そんな父親やったから野球観戦をすることについては何も言わんかった。昼に高校野球を4試合見て、晩に巨人戦中継を見ても、勉強せいとか、夏休みの宿題は大丈夫なんかとか言わんかった。わしはそれをいいことに夏の甲子園の頃はただひたすら白黒テレビの前に座って野球観戦したもんやった(札幌オリンピックでカラーテレビを買うたんやった)。もしその時にええ加減にしなさいという人がいたら、一所懸命勉強しとったかもしらんが街を徘徊して悪いことしとったかもしらん。そんな少年時代を過ごしたから、野球観戦は今でも大好きや。この夏休みはわしも船場と同じようにコロナ感染したために高校野球が始まった頃からずっと家でテレビ観戦しとった。もちろん48試合全部見たわけやなかった。最初から最後までほとんど見たのは、土浦日大対上田西 大垣日大対近江 北陸対慶応 高知中央対履正社 智弁学園対徳島商業 クラーク国際対花巻東 大垣日大対おかやま山陽 浜松開誠館対北海 花巻東対智弁学園 日大三対おかやま山陽 慶応対沖縄尚学 土浦日大対八戸学院光星 土浦日大対慶応 慶応対仙台育英と14試合も見てしもうたんやった。わしがこんなに夢中になったんは決勝を闘った慶応、仙台育英をはじめほとんどの高校がよう鍛えられとって、緻密な玄人好みの野球をしたからや。50年以上も野球観戦して来たわしでも面白いと思う試合がぎょうさんあったからや。船場もわしと同じようにコロナ感染して外出禁止、行動制限があったから久しぶりに高校野球をようけ見て堪能したみたいや。あいつ立命館宇治が初戦で神村学園に負けてやっぱり常連校が強くて仙台育英が順当に優勝なんかなと思うて興味が消失しかけたみたいやけど、慶応が沖縄尚学に勝ってからは中学生の頃のような高校野球ファンに戻ったようや。船場は慶応に何の繋がりもないけど、面白くて堅実な野球をしてくれるチームが好きになって感情移入してしもうたようや。そんな特定チームへの感情移入をしてしまうとあいつしばらくはテレビで追っかけをしたくなるみたいやけど、どう思っとるんやろ。訊いてみたろ。おーい、船場ーっ、おるかーっ。はいはい、私がかつての早大ラグビー部(清宮、今泉、堀越が活躍していた頃)、近鉄バッファローズ(西本監督の頃)、ヤクルトスワローズ(広岡監督の頃)のように慶応高校野球部の追っかけをするかということですね。高校野球の場合、大会が終わるとメンバーが入れ替わります。大学に進学するか、プロになるか、社会人野球で活躍するか、別の舞台(分野)で活躍するかの選択をしてそれぞれの道を歩むわけですが、慶応球児の中に慶応大学に進学して野球を続ける人がどれだけいるでしょうか。そうやな、慶応大学と言えば医学部もあるし、学者にならはる人もようけおるからな。それから来年の慶応高校のことを言うと2年生が中心になると思いますが、エースの小宅さんと話題の多い清原さんの他、決勝戦で先発した鈴木さんもいますが、キャプテン大村さんをはじめ大活躍した丸田さん、延末さんは引退して次のステップとなります。4年間にわたって清宮さん、今泉さん、堀越さんが活躍した早稲田大学ラグビー部、マニエル、アーノルド、、鈴木、柳田、村田、小川、大石、羽田、石渡、平野、佐々木、栗橋、藤瀬などが活躍した近鉄、マニエル、ヒルトン、松岡、安田、大杉、杉浦、船田、などが活躍したヤクルトのようには興味が続かないように思います。そしたら9月から何すんのん。慶応高校野球部の3年生の卒業後の進路は気になりますが、来年の選抜以降のチームについては今のところ興味はありません。高校野球のことより、自分のことでやることがいっぱいあります。9月3日には、第74回のLPレコードコンサートがありますし、10月7日にはディケンズ・フェロウシップの総会が中央大学であります。9月からは気合を入れて懸賞小説の原稿を書き始めようと思いますし、合間を縫ってネタ探しのための日帰り旅行もしたいと思っています。クラリネットのレッスンも続けますし、大学図書館通いも続けます。もう山登りは無理かと思いますが、11月になったらこれ以上体力が落ちないように近距離のジョギングをしようかなと思っています。毎日のように長時間椅子に腰掛けて作業するのが腰を痛めいかに危険かということがわかりましたので、そうゆうことも必要だと思うのです。そうやな今までは背筋で大過なく過ごして来たけど、そういうわけにはいかんかもしらん。背筋をしなくなったからやなくて全身の体力が落ちたことがこの前の急性腰痛の原因やと思うから、ジョギングするのはええかもしれんなぁ。まだまだいろいろなスポーツ観戦が楽しみを与えてくれるかもしれませんが、それをいつまでも楽しむためには自分が健康でないといけないと思います。コロナでいろいろしんどい思いをしたので、そのあたりのことが身に染みてわかりました。原稿の作成だけでなく、体力づくりも大切だなと思った次第です。