プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編22」
福居は高校を卒業するまでは、茨木市内にある三平苑という中華料理店でチャンポンを食べたというのだけが外食ラーメンを食べたという記憶だった。高校を卒業して浪人になってからもJR吹田駅地下街のひぐまゴンに行くくらいで、社会人になって情報誌でラーメンの名店の特集があるまでは1杯700~800円もするラーメンを食べるのはお金がもったいないと思っていた。それでもひぐまゴンにはしばしば(月に1、2回)足を運んだ。味噌ラーメンが500円だったと記憶しているが、北海道味噌(道産子味噌?)に炒めたひき肉とにんにくが混じったスープがとにかく美味しくいつもスープを飲み干していた。ひぐまゴンは5年程していたと思うが、浪人時代にひもじい思いをしていた時のお腹に沁みたおいしい食べ物として記憶に残っている。そうは言ってもひぐまゴンの味噌ラーメンは唯一無二のものなので懐かしくって食べたくなってもその類似品を食べるしかない。ネット検索で百万遍交差点近くに伝丸という北海道味噌ラーメンがメニューにあるラーメン店があることを知り、いままでに福居は3回行ったことがある。今日もひぐまゴンの味噌ラーメンが目の前に浮かび立命館大学前のバス停から59番のバスに乗り、河原町今出川のバス停で下車し百万遍のラーメン店に向った。店内に入ったところにある食券販売機で、福居が野菜たっぷり北海道味噌ラーメンの券を購入して近くの席に座ろうとすると、M29800星雲からやって来た宇宙人が福居に声を掛けた。
「ココハナイガウマインヤ」
「醤油、味噌、塩、とんこつ、担々麵となんでもありますが、北海道味噌を使った味噌ラーメンが美味しいですよ」
「ソウカ、デモオオモリイッパイダケヤッタラモノタランシ、ヒトトオリモラウワ。ニイチャン、ヒトトオリチョウダイ」
「谷さん、ここは食券を買わないと駄目ですよ。最初に醤油ラーメンと味噌ラーメンと担々麵を注文して、ちょびっとずつ食べてそのミラクルな味を楽しまれたらいいと思います。その後で味噌ラーメンととんこつラーメンを頼んで...」
「アンタモソナイナタベカタヲスルンカ」
「もちろん私はラーメンを一杯ずつ食べるのでまだミラクルな味は未経験です」
「ショウユトミソトシオハシンセキミタイナモンヤカラエエカモシレンネ。ラーメントカレートオコノミヤキヲイッペンニタベルンハシンドイカモシレンケドナ」
「他にも唐揚げと餃子がありますがどうされますか」
「ソレモタノンドッテ、ホタライツモノヨウニクラシックオンガクノハナシヲシテチョウダイ」
「今日はアメリカのオーケストラで活躍した指揮者たちということで、ワルター、ミュンシュ、セル、、メータ、ジュリーニ、ショルティ、オーマンディについてお話しようと思います」
「ワルターガシキシタコロンビアコウキョウガクダンヤセルガシキシタクリーヴランドカンゲンガクダンハカレラノモトデエンソウシタイトヨーロッパカラタクサンノエンソウカガヤッテキタンヤッテネ」
「そうです、よくワルターやセルが鍛えて世界一流のオーケストラにしたと言われますが、実際はヨーロッパ(オーストリア、ドイツなど)で音楽教育を受けたヴァイオリニストなどが多数混じっていたと考えられます」
「ソウシテセッサタクマシアッタンヤロネ」
「ですからワルターが亡くなってからはワルターのために作ったコロンビア交響楽団はなくなり、クリーヴランド管弦楽団と名称が変わりセルが率いることになります。このオーケストラはセルの死後、マゼールが責任者になったように思うのですが、ニューヨーク・フィルのメンバーが混じっていたという話もあり、実態がわかりません」
「デモワルターシキコロンビアコウキョウガクダンノレコードモセルシキクリーヴランドカンゲンガクダンノレコードモメイエンガヨウケノコットルカラエエオーケストラヤッタントチャウ」
「その通りですね。これに対し一からオーケストラを鍛え上げたのはオーマンディと言えます。1924年にキャピトル劇場オーケストラのコンサートマスターをしていたオーマンディは急病で倒れた指揮者の代わりに指揮をしてデヴュー、その後1931年にフィラデルフィア管弦楽団の定期公演の指揮を勤め、1938年には同管弦楽団の音楽監督になります。1984年の引退までフィラデルフィア管弦楽団を指揮して数多くのレコードを残しました」
「ワシハロスフィル(ロサンゼルス・フィル)ガスキナンヤケド」
「やはり大きな貢献をしたのはデッカレーベルにたくさんのレコードを録音したメータが功労者と言えるでしょう。その後を継いだジュリーニもグラモフォンにいくつかの名演を残しています」
「ボストンコウキョウガクダンノミュンシュ、シカゴコウキョウガクダンノショルティハジモトノヒトノオウエンガスゴカッタミタイヤネ」
「他にもぼくの好きなオーケストラがあって、パレ―指揮デトロイト交響楽団、こちらは特殊な録音方法で有名です。サンフランシスコ交響楽団もモントゥー指揮でベルリオーズの幻想交響曲の名演を残しています」
「コレハレコードトチガウケド、ストコフスキーガシュツエンシタエイガ「ファンタジア」ト「オーケストラノショウジョ」ハタノシイネ」
「「オーケストラの少女」の内容は切実ですが、ストコフスキーが登場するところは明るく楽しい場面で、ストコフスキーも輝いています」
「ストコフスキーミタイナヒトガアラワレテクラシックオンガクニキョウミヲモタセテクレタライイノニネ」
「そうですね、ストコフスキーが偉いのはそれほどクラシック音楽に興味のない人にも面白そうやなと思わせたところだと思います」