プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編26」

福居は、以前来たことがあるカツアゲではなくて揚げ物専門店の松のやの前を通ると🐷ロースカツだけでなくアジフライも食べられることがわかったので、松のやで夕飯を食べることにした。食券を購入していると、M29800星雲からやって来た宇宙人が福居に声を掛けた。
「ココハナニガウマインヤ」
「揚げ物を中心にしていますが、この店はカレーも食べられます。ですからカツカレーがいいですよ。これなら谷さんが50杯食べられてもお店の方が喜ばれるでしょう。揚げ物料理はロース、上ロース、唐揚げがメインですが、マトン、アジフライなどが入れ替わりでメニューに加わります。ソースもいろいろあるようで今は激辛のソースの🐷ロースカツがメニューに入っているみたいですよ」
「ソウナンヤ。ホタラ、ゲキカラノカツアゲガノッタカレーヲトリアエズ3バイチュウモンシヨウカナ」
「いえいえ、そういうメニューはありませんから谷さんがどうしても食べたいのなら、カレーと激辛ロースかつ定食を注文されて、激辛ソースをかけたロースカツをカレーに浮かべるなり、かれーを塗りたくるなりされたらどうですか」
「ワシハヌリタクルヨリ、クリクリスルホウガスキナンヤ。ホンデアマッタゴハンハドウシタラエエンヤ」
「うーん、確かにそうするとご飯が余りますね。そしたら、谷さんがクリクリしたカツを定食のご飯に乗せて食べてはどうかな。ちょっとカレーのソースが足りなくなるかもしれませんが」
「タリントコロハトンカツソースヲカケルカラエエヨ。トコロデキョウモクラシックオンガクノハナシヲシテクレヘン」
「いいですよ、今日はオペラの名指揮者セラフィンについてお話ししましょう」
「ワシモプッチーニノ「ボエーム」トヴェルディノ「ツバキヒメ」ハモットルヨ」
「ミラノ・スカラ座管弦楽団を指揮することが多かったのですが、「ボエーム」や「椿姫」でカラスと共演することはありませんでした。また私が好きなヴェルディ「トロヴァトーレ」もレコード会社がグラモフォンだったということもありカラスは出演していません」
「ホンデモ、カラストヨウケキョウエンシトルヤロ」
「私はカラスとセラフィンが共演しているベルリーニの「ノルマ」を持っていますが、他のカラスのレコードを買う気になれません」
「ソレハナンデナノ」
「このオペラが始まって、3、40分したところで、「清らかな女神よ」というアリアがあるのですが、何度聞いても最初のところの行進曲とここしか聞いていて楽しいところがないのです。「清らかな女神よ」が終わったら、後は何もないという感じです。そういうことがあって、カラスの名盤と言われるレコードは興味があっても購入していません。オペラのレコード(CD)だと、2~4枚になるというのも慎重になっている理由です」
「ソレハナントイウレコードナノ」
「ヴェルディの「リゴレット」「アイーダ」、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」(これは短いオペラですが)、プッチーニ「トゥーランドット」などです。「リゴレット」は有名なアリアがいくつかありますし、「アイーダ」は有名な行進曲があります。「カヴァレリア・ルスティカーナ」は有名な間奏曲がありますし、「トゥーランドット」には有名なアリア「誰も寝てはならぬ」がありますから、聴きどころはあると言えますが...それから「リゴレット」はジュリーニ盤を、「アイーダ」はアバド盤を持っているんです。だから敢えて買おうとは思わないんです」
「ソンナコンナデ、タカイシカウノヲヒカエテルンヤネ。ハカリニカケテモキモチガカウホウニカタムカンノヤネ」
「それに通して聞くのが大変ですからね。例えばたまにならセラフィンの「トロヴァトーレ」と「ボエーム」、マゼールの「椿姫」、サヴァリッシュの「タンホイザー」、スイトナーの「魔笛」は内容が充実していて演奏もよいので聞いてもいいと思うのですが、「ノルマ」は「清らかな女神よ」だけなので時間を掛けて聞くのはもったいないなと思ってしまうのです。せっかく買ったのにもったいないと思うのですが」
「アリアシュウヲカッタラエエントチャウノン」
「やはり全曲盤と同じでアリア集で取り上げられるアリアも半分以上が知らない曲なので、買う気が起こりません。セラフィンはスカラ座管弦楽団を率いてたくさんの名演を残しているので、聞く気があるのですがボリュームがあることと聴きどころがよく分かっていない(多分、良さがわかれば聞く気が起こると思っています)からだと思うのですが、60代半ばを過ぎてもう一度オペラを聴き直そうという気が起こらないというのが正直なところです」
「ワシハナンマンネンデモイキラレルカラ、セラフィンヤカラスヲタビタビキクヨ」