プチ小説「こんにちは、N先生 71」

私が大学に入った頃、大手食品会社から○○○○Zという栄養ドリンクが売り出され私も数回飲んだことがあるのですが、その独特の味わいは、これが効くんだと思わせるところがあり徹夜をした翌日などは飲んでまた飲もうと思ったものでした。○○○○Zはいつの間にか姿を消し、今ではその代わりにある製薬会社がいろんなヴァリエーションで売り出しているユン○○という栄養ドリンクがありますが、こちらは高価なので私は今までに1度しか飲んだことがありません。○○ナミンCや○○ビタンは私が小さい頃からあるドリンクですが、○○ナミンCは半年に一度くらい飲みたくなって自販機で購入して腰に手を当てて飲みます(昨日もこうして飲みました)が、○○ビタンは薬局でしか購入できず強い薬のようなイメージがあるので最近はまったく飲んでいません(1、2度飲んだくらいです)。また以前、末梢神経不全などよく分らない病名で栄養剤を処方してもらっていたのですが、最近はそういった薬の処方がなくなったので、私はその代わりにニンニクがたっぷり入った料理を食べています。大好きなのはもちろん餃子ですが、私は王将やぎょうざの満州の餃子のように厚い皮のひと口で食べられないようなものは苦手で、天天有の餃子のような薄皮のあまり大きくないものが好きです。でも餃子で思い出すのは20年程前まで烏丸北山にあった、日本一ラーメンと言う店で食べることができたど根性餃子でした。これは王将の餃子の3倍ほどの大きさの餃子が3個確か400円位でメニューにありました。私は餃子を食べても臭いが余り気にならないのですが、ど根性餃子を食べると全身からニンニク臭が吹き出ていることがよくわかり、帰りの電車もなるべく人がいないところにいようと意識したものでした。でも味はとても美味しくて病みつきになる味でした。京都の辺鄙なところの店でなければ月に一度くらい食べていたかもしれません(それでも5、6回は食べました)。その他私の好きなニンニク料理として、チューブニンニクと塩コショウをたっぷりかけたトンテキがあります。2枚5、6百円で堪能できるので、節約したい時には家で料理してよく食べます。ガーリックトーストも好きですが、オーブンが壊れているので我慢しています。そんなことを考えながら、四条烏丸にある天天有の店内に暖簾を上げて入ろうとするとN先生が、元気にしているかいと言われて先に店に入られたのでした。
「いいえ、あんまり元気ではありません。コロナが治ってすぐにできた頭頂部の粉瘤が外用薬で治らないので近く外来手術をすることになっています。財布の盗難に遭ってまだ手元に戻りませんが、そこには名刺や大切なカードが入っていたのでどうしようかと思っています」
「まあ、人生いろいろあるさ。でも挫けちゃいけない。君が最近読んだ松本清張の『風紋』の主人公今津章一も会社の人員整理という憂き目にあうが、落ち込まないで人生をV字回復させている」
「うーん、先生が言われることにちょっと違和感がありますが、今津はいろいろ落ち込むことがありましたが、確かに好きやんのおかげで編集者に転職して頑張っているようですね」
「そうだね、今津はそれまで勤めていた会社の栄養食品(錠剤)で心身を回復させたのではなくて、思いがけない縁で親しくなった女性の励ましで新たな人生を明るく楽しいものにしようとしている」
「でも、この小説は健康食品というものだけでなく薬についても考えさせられます。病院で処方される薬、ドラッグストアで販売される医薬部外品、コンビニなどで販売される栄養剤などについてそれぞれ効くことを確信してお店は仕入れているのだと思っていたのですが、そうでない場合もあるのかと。それからこの小説に登場する杠社長、大山常務、工藤部長は突き詰めると悪い人なんですが、ユーモラスに描かれています」
「ぼくは登場人物では芸者の小太郎が好きだな。処方薬は先生の処方が適切であれば効いて治癒するだろう。でも抗生物質の選択はとても難しくて、闇雲に処方すると耐性ができて効かなくなると聞く。栄養剤や咽喉の薬は専門家(医師)の処方なしに自分の判断で好きなだけ購入できるが、栄養剤などを飲みすぎると臓器に負担がかかりかえって体調を悪くすることがある。ほどほどにしないと後悔することになる。徹夜などをして体調が悪い時の栄養はスタミナ料理や焼肉なんかで自然に摂取するに越したことはない」
「ぼくは1回の食事で3~5千円もかかるような焼肉にはとても行けないので、中華料理屋やラーメン店で餃子を食べることにしています。また栄養ドリンクも後に尾を引く気がするので風邪を引いたら薬代わりに飲むことということはしません。また疲れたから飲むということもしません」
「ぼくが風邪を引いた場合はそれよりまずは睡眠、あとは民間療法かな」
「タマゴ酒ですか」
「タマゴが入っているのは栄養を取るためなんだろうけど、どうもあの味はいただけない。だからぼくは紙パックのお酒を温めて飲むだけなんだ。あとは布団をかぶって一晩ゆっくり休む」
「そうですね、それでも駄目ならお医者さんに診てもらうのがいいですね」」
「そうだよ、今はインフルエンザも流行っているしコロナの変種もいろいろある。こじらせるとやっかいだから、早い目に行くといい」