奈良より向こうにある浄瑠璃寺に行ってきました(紀行文)
今から10年程前、有名な京都の神社仏閣を訪ねてライカM6+エルマリート21で撮ってホームページに掲載していましたが、その時は浄瑠璃寺が京都市内にないということもあってこのお寺のことを知りませんでした。このお寺のことを知ったのは松本清張著『京都の旅』で紹介されてあったからで、有名作家の普通のガイドブックと違った解説に興味を持ったのでした。この2巻本には40余りの神社、城、寺、離宮が紹介されていて、二条城、金閣寺、銀閣寺、大徳寺、苔寺、天龍寺、神護寺、龍安寺、広隆寺、北野天満宮、上賀茂神社、下鴨神社、平等院、南禅寺、東福寺、三千院、仁和寺、大覚寺、東寺、修学院離宮などの有名な神社仏閣の紹介も面白かったのですが、日野法界寺、勧修寺、大石神社、蟹満寺、岩船寺、方広寺、浄瑠璃寺という全く私が知らなかった社寺への興味も持たせてくれたのでした。特に興味を持ったのが、蟹満寺と浄瑠璃寺で、浄瑠璃寺は紅葉も美しいとガイドブックにあったので(清張氏も阿弥陀堂前の紅葉が美しいとこの本に書かれています)出掛けてみることにしました。大阪からだと奈良の向こうになりかなり遠いとの私の認識だったのですが、摂津富田から新大阪に出ておおさか東線に乗り終点の久宝寺で大和路線の快速に乗れば、2時間余りで行けることがわかりました。北摂に住む者にとって誠に役立つ路線で、おおさか東線の天王寺経由と違う奈良へのアクセスの利便性を新たに認識しました。
加茂駅で降りて真直ぐにタクシー乗り場に行き、タクシーの運転手さんに時間と料金を訊きました。というのも加茂駅で大勢の方が(と言っても20名ほどですが)バス停に並ばれたからでした。でもタクシーの運転手さんが20分位で2300円ですと言われたので、400円のバスに乗ることにしました。京都市バスのような大きなバスではないので25名ほどが乗るとバスは満員です。岩船寺でそのほとんどが下車されたのでほっとしました。約25分のほとんどが山道だったので、タクシーで2300円は仕方ないかと思いました。浄瑠璃寺と言う表示がある門をくぐってすぐに拝観料を払うところはなく、阿弥陀堂の入口のところにありました。三重塔も国宝ですが、このお寺の見所は阿弥陀堂に集約されていると言えます。九体の阿弥陀仏(国宝 一体は東京国立博物館に貸し出されていました)、四天王立像(国宝)、吉祥天立像(重要文化財)が阿弥陀堂の中に安置されていて、吉祥天立像は期間限定のようで拝見できたのはラッキーだったと思います。阿弥陀仏は真ん中の阿弥陀仏が他の八体の阿弥陀仏に比べて大きく目立ちますがそれぞれ個性があってしかも900年以上の歴史がある仏様なので、最初は圧倒されましたがやがて安らかな気分になって来ました。そうして吉祥天立像も間近でじっくり見ました。いずれも撮影禁止で残念だったのですが、出口近くに大判の写真が300円で販売していました。そこにおられた70代の女性と会話を交わして、九体の阿弥陀仏と吉祥天立像の写真と吉祥天の絵が書かれた絵馬2枚を購入して阿弥陀堂を出ました。阿弥陀堂を出ると池を挟んで向かい側に三重塔が見えました。
紅葉のシーズンであれば三重塔も際立ったかもしれませんが、どちらかというと地味で小さな建造物でしかも手前の樹木の枝が三重塔を取り囲む(文学的に言うと抱きしめるでしょうか)ますます撮影しにくい被写体になっていました。そのあと池の向かい側に行き、近くで三重塔を写して阿弥陀堂を見ました。あれほどの貴重な仏像がたくさん安置されているのに阿弥陀堂も地味な建物で撮影するのを躊躇しましたが一応撮影しました。
今回はいつも写真を撮影する時に使うライカM9が修理中のためニコンD90を持って来ましたが、浄瑠璃寺境内で咲いていた(ノ)コンギクの接写が出来たので今日はD90の方が良かったかなと思いました。
加茂駅に戻ったのが午前中だったので、前から行きたかった彩華ラーメン奈良店に寄ることにしました。JR奈良駅からタクシー(1580円)で店に行き、彩華ラーメン(このラーメンがおいしいのはたっぷりの白菜と少量のニラとニンジンが中華スープで煮込んでいるところでスープもとてもおいしいです)大とチャーハン小と餃子を食べて、近鉄西大路駅まで歩き(徒歩で30分以上かかりました)鶴橋経由で摂津富田まで帰りました。
本日の浄瑠璃寺の紅葉は2割ということだったので、お土産の柿羊羹が美味しかったので、阿弥陀様を拝みにまた浄瑠璃寺に行くかもしれません。1020年に藤原道長が建立した阿弥陀堂に九体の阿弥陀仏が安置されました。九体阿弥陀仏は今までに30例程あるそうですが、藤原道長のような信仰心がある裕福な人が現世にも現れて浄瑠璃寺とほぼ同じようなお寺が交通アクセスの良いところにできれば100年くらいは大切にされると思うのですが、900年以上廃寺になることなく続くと言うのは国宝指定や重要文化財指定となるほどの仏様、吉祥天様でなければならないのかもしれません。