プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 天体望遠鏡の寄贈はその後どうなったん編」
わしは小学校4年生の時に切手収集を始めて以来、今までいろんな趣味を楽しんで来た。音楽鑑賞、ベリカード収集、読書、レコード収集、深夜放送なんかやが、大人になってからは一人で収集とかを楽しむのもええけど、中学生、高校生の頃はお互い自分の持っているレコード、マンガ本、単行本なんかを貸し合うのも有意義や。そうして貸してもらった本がその人の人生に大きな影響をもたらすこともあるから、ちいこい頃から友達付き合いを大切にしとかんと一生を悔いることになると思う。わしも学生の頃は友達付き合いを大事にしたもんやが、小学生から高校生までの同級生で今でも親しくしているという友達は全くおらん。年賀状のやり取りをしとったが、これで年賀状は終わりですと宣言する同級生が多なったから年賀状友達もおらんようになるのかもしれん。大学に入ってから、社会に出てから、学校や会社や親睦団体で親しくしていた人とのつき合いはこれからも続いて行くと思うけど、会う機会がなくてメールや年賀状だけでいつまでも続けていくのは難しいと思うんや。やっぱり会って直接顔を合わせて、どないしてまっかとか、元気そうやなぁとか、おもろいことないかとか言って笑顔で情報交換するのが友達関係を続けて行くために何より必要なことやと思う。船場は母校の天文部の部員さんに26年前に使っとった天体望遠鏡を寄贈して新しい友達を作ろうとしたんかもしれんが、天体望遠鏡の赤道儀が動かんばかりか、バッテリーも経年劣化でへたっとる。ピント合わせもでけんしで蒼い顔して困っとったようやが、部員さんに天体望遠鏡のショップに発送してもろうてショップの人に点検してもろうて見通しがついたみたいや。あいつ悲愴な顔をしてたけど、昨日会うたら、ご心配をお掛けしましたけど何とかなりそうですちゅーとった。その経緯がどうやったんか、訊いてみたろ。おーい、船場ーっ、おるかーっ。はいはい、そうなんですよ、天文研究会の部員さんに天体望遠鏡を自宅まで取りに来てもろて、動作確認して、よっしゃ、ほんなら、これを大切にしてちょうだいねでは終わらんかったんです。11月17日に部員さん5人が天体望遠鏡と赤道儀と三脚とバッテリーを取りに来てくれたんですけど部活の月曜日と木曜日に担当の部員さんと私となかなか日程調整ができんかったんです。12月の始めに日程調整ができたんですが、生憎の雨だったので部室で望遠鏡を組み立ててバッテリーの動作確認をするだけになりました。この時はバッテリーのランプが緑に変わらず、赤道儀が全く動かないので、修理が必要で引き渡しが終わるまで時間がかかりそうだなと思ったのでした。それからすぐに修理に出したんか。いいえ、バッテリーの充電を長い目にして緑のランプが点きさえすれば赤道儀は動くと確信していたので、次は晴れの日にテストをしようと決めただけでした。それで年内はその日しか無理(学生さんだから後期試験で忙しいのです)という12月18日(この日は晴れでした)にテストをしたのですが、バッテリーを12時間充電しても赤ランプのまま、望遠鏡のピント調整をするところのカムが嚙み合わない、赤道儀も全く動かないという状況でした。修理が必要と考えた私は最初三重県津市にあるアイベルという中古天体望遠鏡などを扱う店を考えました。以前、中古のオリンパスOM1を購入したことがあるからです。そのカメラで月の写真を何枚が撮ったのですが、月食も満月も半月もうまく撮影できたのでした。その印象が強かったのですが、東京の秋葉原にも天文ショップがあることを思い出したのです。大阪にも天文ショップはあるやろ。26年前に望遠鏡を購入した時は購入してからのメンテナンス、アイピース(接眼レンズ)の購入もテレスコハウスで済ませたので、他の天文ショップは天文ガイドの広告を見るくらいでした。テレスコハウスは今はありません。アイベルが思い浮かんだのは広告にオリンパスOM1の中古が1万円と出ていて購入したということがあったからで、その時は使い慣れたカメラと同じ機種の天体写真用のカメラを持っておいた方がよいと考えて購入したのでした。他にも大阪に協栄産業がありここは今でもあり東京にもお店があるようですが、以前、スターベース東京がタカハシ製作所の直営店と宣伝していたのを思い出して、まずはスターベースさんに相談してみようと考えたのでした。ここに相談するまではどうなることかと思ったのですが、電話に出た方が親切に対応して下さり、もちろん修理も引き受けて下さり、見通しがついたのでした。私が故障箇所のことを伝えて、おおよその修理箇所の見積もりを出してくださったのですが、それは20万円程でした。私はどうせ母校に寄贈するならきちんとしたかたちでと考えたので、上限20万円までは出そうと考えたのでした。そんでいくらかかったんや。さっきも言いましたが、学生さんなので発送まで時間がかかったのですが、1月13日に発送できました。届いてすぐに担当の方が故障箇所を調べてくれたのですが、調整(カムを嚙合せる、曲がっているピンを真直ぐにするなど)だけで済み、メンテナンス料と送料を合わせて、15,240円と連絡がありました(バッテリーについては経年劣化で修理不能だから。新しいバッテリーJACKERY240 定価29,800円の購入をするようにとの説明が以前ありました)。連絡があったその日に請求金額を納入したので、後は指定日に送ってもらうようにすれば天体望遠鏡などが使えますし、バッテリーも2月1日に部員さんと京都のヨドバシカメラに買いに行くつもりです。ほたら、2月の初めからは天体観測ができるんやな。そうですが、私を含めて初心者ばかりなので、慣れるまで時間が掛かると思います。そうしてレンズの保護のためには花粉のシーズンは天体観測を避けた方が良さそうです。1月から2月に2回ぐらい天体観測に参加させてもらい。11月にアンドロメダ星雲などを見せてもらえたらと思います。そやけど写真撮影なんか、あんたが教えんとアカンのとちゃう。そうですね、だからもし彼らから要請があれば、その時にも望遠鏡を覗かせてもらうつもりです。